3社3名のさまざまな変化

まず、3社3人の社員の方々の変化を紹介します。
この社員の皆さんは、風土改革の推進役(世話人)でした。風土改革に取り組む前、彼らは下記のような思いや考えをもっていました。

● A社のNさん
「自分は年下だから、上司や年上の部下に遠慮して、言いたいことも我慢していた」

● B社のOさん
「社長だからできて当然。社長のできる事を拡大解釈をして、社長が困っていても助けなかった」

● C社のFさん
「何でも、一人で解決できると思っていた。まわりにもそれを望んでいた」

この皆さんは、トップから見れば、少しクセのある個性豊かな人たちでした。不平・不満は言うものの、仕事では実績を出し、自部門ではリーダー的な役割を担っています。その反面、トップの悩みの種になる存在でもありました。例えば、方針や施策を実行しようとする際、ブレーキ役になってしまうことです。トップからすると、“経営がめざす事と、逆方向にひっぱられる感覚”を感じるのです。いつも本音で行動するぶん、仲間からの信頼は厚い。だからこそ、その人たちの本気度や納得度がまわりに影響し、時としてブレーキ役になってしまうのです。

「中途半端な理由では、この人たちは本気では動いてくれない」
とわかっているものの、なんとかこの社員たちに「会社の将来をつくる役割を担って欲しい、果たして欲しい」というのが、トップの思いでした。

何が変化を促したのか

先に紹介した3人は、今、トップにとって頼れる存在であり、仲間からもリーダーとして信頼を得て活躍しています。彼らの今の思いを紹介しましょう。

● A社のNさんの変化
「年齢に関係なく、正しいと思ったことは、遠慮なく伝えていこう」

Nさんは、トップの後押しで実施された異世代間の話し合いの場で、自分の考えを肯定してくれる仲間の存在に気づいたのでした。

● B社のOさんの変化
「社長にもできないことがあって当然。それを自分たちがフォローすればいい」

Oさんは、社長を「全部自分で決めたい人だ」と思っていました。
でも、話し合いの場で社長が初めて自分が苦手なことを話してくれたとき、社長にもできないことがあって当然だと思えたのです。

● C社のFさんの変化
「まわりが協力してくれると、自分が考える以上のことができる。問題は宝の山だ。チームワークで壁を乗り越えられる」

Fさんは、自分の意見に反応をしてくれる人はいないと思っていました。けれど、若手社員との対話の場でFさんの意見に対し、「もっとこうすればよくなるんじゃないか」と言われ、その意見に耳を傾けたことが変化のきっかけでした。

どの事例も、いちばん変化を促進したのは、腹を割った話し合いの中で、自分が想定していた事とまわりの人の反応の違いがあった事でした。
「きっとこう返ってくるだろう」という相手へのレッテルや自分の思い込みが、まわりの人の強みを引き出しながら前に進めていくことにブレーキをかけていたのです。

話し合いに費やしたのは、総業務時間の”25分の1”。その話し合いを通じて、自分の役割を再認識すること、そして、社長も含めたまわりの社員を、お互いが”チームのメンバー”として関わって仕事をしていくことにつながっていったのです。

 

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