結果を出すプロセスの中身によって充実度や満足度は異なる

「達成感がやりがいにつながる」ということがよく言われますが、与えられた目標がクリアできたときの達成感と、自分で設定した目標に取り組んで結果を出したときの達成感とでは、その重みが違うような気がします。
もちろん、結果を出すことにも喜びはありますが、一人でたどりついたのか、仲間からの知恵や力を借りながら自分では考えつかなかったようなプロセスを踏んで結果に至ったのか、その結果を出すプロセスの中身によって充実度や満足度は異なるでしょう。

以前、お手伝いしていた企業の女性社員の方が語った言葉が私の心に今でも残っています。
彼女は決して改革の中心にいたわけではなく、どちらかというと後から改革についていくというタイプの人でした。しかし、会社が変革を方針として打ち出し、仕事のしかたやスタンス、判断基準などが大きく変わっていく中で、今まで当たり前にやっていた自分の仕事やものの見方を彼女なりに一つひとつ問い直しながら、自ら考えて行動を変えていきました。

お客様の立場に立って想像をめぐらし、考えて仕事をするように

「以前も一生懸命仕事をしていなかったわけではないけれど、職場のメンバーと話し合いながら、お客様のために自分が何をすればいいのか、を真剣に考えました。お客様のためにという視点に立って見直してみると、問い合わせの電話に対しても単に聞かれたことに丁寧に答えるといったことではなく、“相手が本当に必要としているのはどんなことか、どのくらい急いでいるのか、どのような状況で問い合せてきているのか”と、お客様の立場に立って想像をめぐらし、考えて仕事をするようになりました。
そういうふうに視点を変えると、今までやってきたことが必ずしもお客様の利益に結びついていなかったり、お客様の情報自体が不足していたりして、新たにやらなければならないことがたくさん出てきます。今までよりも仕事の量は増えることもあり、ずっと忙しくなるけど、でも仕事は楽しくなったんですよね」と、彼女は心の底から力強く語ってくれました。

その表情はいきいきとしていて、うらやましいほどに輝いているのです。

「仕事の中で充実感を味わう」ということは、「この仕事は何のためにやるのか」を自分で考え、これだと思える答え=目的を自分なりにはっきりと持ち、その状態を実現するためには何をすればいいかを徹底的に考え抜いて実行してみること。
自分から動いてみようという内発的な動機は、こういうプロセスの中から立ち上がっていきます。
変革に携わる多くの人が、自分で考えて答えをつくり出していった彼女のように輝いてほしいと思っています。