チームの強さの源泉はコミュニケーション

もちろん、一人ひとりそれなりの体力と技術があります。けれども、チームの強さの源泉はコミュニケーションにあると考えています。
そのコミュニケーションはこんな感じです。「何でスペースにパスを出さないんだよ」「言ってくれないとわからないよ」「マークを外すなって言ってんじゃん!」「じゃあ、お前がやってみろよ!」「オレばかり走らせるな!」「どうしたいか言えよ」――。

言いたいことを言い合って、知らない人が見るとケンカをしているようです。ハーフタイムはもちろん試合中にも自分たちで修正していきます。見事な自浄能力なのです。概して強いチームには同じような傾向があるようです。

そこには、「勝ちたい」という彼らの強い気持ちがほとばしっているのですが、最初からこうだったわけではありません。実は一年ほど前からコーチが何でも教えるのではなく、試合前後あるいはハーフタイム中にもキャプテンを中心にして話をさせるようにしました。コーチは「相手に言いたいことをはっきりと言うこと」と言い残して、その場からは離れます。一年後には先述のような状況になりました。

少年サッカーチームのコミュニケーションから学ぶべき点

企業ではどうでしょうか。少年サッカーチームとでは確かに違いは数多くありますが、学ぶべき点も多いですね。

言うまでもなく、企業社会はスポーツ以上に、負けた場合に厳しい現実が待っているという意味で、過酷なゲームをしています。そんな環境で私たちは、お互いに言いたいことを言い合って、強いチームづくりをめざして切磋琢磨しているでしょうか。その前提として、日々「勝ちたい」「負けたくない」という気持ちを持っているでしょうか。
敵あるいは目的・目標は明確でしょうか。どの分野・領域で勝敗を競っているか明確でしょうか。レギュラーと控え選手の基準は明確でしょうか。そもそも、自分の仕事あるいは属している分野が好きでしょうか。

ようやく日本の企業社会がまともな自由競争社会に突入している今こそ、「勝つ」ためのコミュニケーションが必要だと思うのです。