全体像を広げ続ける

全体像を広げ続ける

高橋 秀紀 | 2016.02.01

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「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」は、 2015年9月に国連持続可能な開発サミットで150を超える加盟国首脳の参 加のもと採択されたもので、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、17の目標と169のターゲットが明記されています。
(以下の国連広報のホームページで参照できます)
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/15775/

 
ある企業の20代後半から30代前半の社員約20名が参加した場で、このアジェンダなどを材料に、「自分たちの会社のビジネスを通じて、何ができるのか? どんな貢献ができるのか?」をテーマに議論する機会がありました。

この議論の場は、もともと「うちの会社の若手は視野が狭く、考える力が低下している。その原因は組織のタテ割り化と過度な分業化にある」 という問題意識から生まれたもの。
始まる前までは、「普段の会議でも誰も意見を言わないので、ほとんど意見が出ないのではないか」という懸念が先行していました。
しかし、終わってみれば、一日で50を超える具体的なアイデアが創出され、いい意味で期待を裏切る結果となりました。

一つひとつのアイデアの精度は、すぐにビジネス化できるものではありません。でも、「自分たちの将来に期待が持てた」「仕事の目的意識が高まった」「自分たちの会社の中に、自分が知らなかった魅力を発見できた」など、参加者だけではなく開催した事務局にとっても貴重な学びや気づきを得ることができたのです。

 
終了後、事務局のメンバーとのふり返りで確認されたのは、若手の「視野が狭いのではなく、情報が不足している」そして「考える力が低下しているのではなく、考える機会が足りない」ということでした。

そして、もうひとつ大きな収穫だったのは、効率化を優先して高度に分業化された日常業務の中だけでは、若手社員の活力を向上させていくことは難しいと、育成の立場にある人たちが実感したことでした。

人はそれぞれ、意識、無意識を問わず、何らかの「全体」を認識しています。
この主観的な「全体」の中で、物事を考え、判断しているとするなら、個人の視野の広さが全体を超えることは難しいということになります。

今回、若手のケースが教えてくれたのは、細分化された日常業務の環境下では、どうしても見聞きする情報は限定的になり、目先の目標を追うことで視野も小さく切り取られてしまっているということです。
その結果、自ずと小さくなった全体を意識することなく、関心の範囲もまた狭くなってしまっているという典型的な例でした。

その一方で、場所を変え、日常とは異なる情報にふれ、それと自分との関わりを考える機会をつくることで、自分の「全体」を再認識できるようになります。
そのことが同時に、自分の今見ている「全体」を疑い、視野を広げようとする関心の芽を育むきっかけになったのです。

 

冒頭に紹介した情報のようにまとまったものでなくても、社内外を問わず、視野を広げる、考えるきっかけをつくれるようなちょっとした情報はたくさんあります。
育成に携わる人は、若手に対して少しでも有意義だと思った情報はどんどん取り上げ、考えてみようと投げかけてみる。

こういった「小さな情報提供」と「投げかけ」を継続すれば、今の日常の中でも、自分の「全体」を意識し、関心の領域を広げ続けることができる、厚みのある人材が育つ仕組みになるのではないかと考えています。

著者プロフィール

高橋 秀紀

高橋 秀紀

HIDEKI TAKAHASHI

「企業の風土改革を通して日本を豊かな国にしたい」が信条。業務の現場で経営課題の推進を妨げている風土の問題に焦点を当てて改革を支援している。

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