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地方創生は「人」から~気仙沼市長の挑戦

2016年03月10日

東日本大震災から5年が経ち、被災地では、高台移転、防潮堤や災害公営住宅の建設、沿岸部のかさ上げ工事など、見える所は着実に整えられつつあります。しかし、復興の担い手や方法は、自治体によってさまざまのようです。

昨年、第4回社会イノベーター公志園*で私が半年間伴走させていただいた菅原茂気仙沼市長の復興への挑戦についてご紹介します。

大震災で7万4千人の人口の1割が減った気仙沼市では、それ以前からあった産業の衰退、少子高齢化、人口減少などの社会問題が10年分、一気に押し寄せました。

元商社マンで地元の水産会社の後を継いだ菅原市長は、就任10カ月後に自宅を流され、直面した難題に向き合った時、「復興と併せて地域の社会問題を解決しなければならない」と決意しました。

日本各地から集まった人達から刺激や勇気をまちにもらい、リスクを取って何でも受け入れよう。「人」に投資をし、まちを変えられないかと、菅原市長は様々な取組みを始めました。

大震災の翌年、まだがれきが残る気仙沼市に社会イノベーター公志園結晶大会を誘致し、中央のノウハウや人材を積極的に巻込んでいったのです。若手経営者を対象に、人材育成道場「経営未来塾」を開講し、手弁当で通ってくれた経営のプロに指導された塾生たちが、地元で新たな事業を起こす核となってきました。豊富な水産資源を使って付加価値の高い産業をつくろうと、プロジェクトがいくつも立ち上がり、フカコラーゲンを使った化粧品やこれまでに無かった調味料が開発されました。

気仙沼市の震災復興計画の副題「海と生きる」には、都会の真似をしないで、地域のよさを活かし、「自然との共生」と国外にも開かれた「地方にある世界の港町」を市民と一緒に追求していく強い意志が込められています。

市民の間でも、避難所生活を通して、各地から集まった大勢のボランティアや“善良なよそ者”に刺激を受けて育った新しいリーダーたちが、まちづくりに動き始めました。そんな若者を更に育む場として「気仙ぬま塾」・「ぬま大学」を開設し、さまざまな世代やセクターで自ら行動するリーダー達が育っています。

このようなリーダーたちを中心に、気仙沼市の地方創生戦略作りでは、ぬま塾生、Iターン者、子育てママやベテラン自治会長などが大勢参加し、都会で活躍している気仙沼出身者や高校生・大学生たちも加わって、賑やかに議論を重ねてきました。さらに、誰もが主役になれる地方の強みを最大限発揮して、コミュニティ、子育て、介護など、参加者各自が自ら提案したプロジェクトに参加し、まちづくりの担い手となっていくしくみを回そうとしています。

昨年11月3日、菅原市長は、3年前に気仙沼市に誘致した社会イノベーター公志園結晶大会の舞台に、今度は自ら挑戦者として立っていました。

そこで、「産業に、まちづくりに、一部の限られた集団だけじゃなく、自立し、自ら考え、行動する大勢のリーダー達をつくりだす。
さらに彼らが繋がりを持ち、大きな力を発揮する。そんな地方創生モデルを作り出したい。」と、力強く宣言しました。

多くの国や人の助けを受け入れた菅原市長が気づいたこと。それは、この地方でしかできないこと、ここで暮らす人が自らそれに気づくこと。そして、行政が扉を開けば、よそ者が本気で住民と一緒に動いてくれる、市民の目が輝いていく、ということでした。

大勢を巻込みながら、やる気のある人を生み出し、行政がそれを支えていく。菅原市長は、衰退する地方の課題にチャレンジするために、市長という枠を超えて、気仙沼から日本の地方創生のあり方を生み出す首長のリーダーシップを実践しようとしています。

*関連コラム「気仙沼から社会起業家の志に共感の嵐を起こす」  参照

宮入 小夜子

宮入 小夜子(みやいりさよこ)

メーカー(日系・外資系)、サービス、物流業など多くの企業変革における風土改革のプロセス支援の実績を持ち、また自治体や運輸などの公共組織支援にも注力している。

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