なぜ私がAIを手に取ったのか (前編)<br> ~コミュニケーションがもたらす意思決定の質を高めるために |コラム|スコラ・コンサルト
なぜ私がAIを手に取ったのか (前編)<br> ~コミュニケーションがもたらす意思決定の質を高めるために

なぜ私がAIを手に取ったのか (前編)
~コミュニケーションがもたらす意思決定の質を高めるために

辰巳 和正 | 2017.10.31

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なぜ私がAIを手に取ったのか (前編)<br> ~コミュニケーションがもたらす意思決定の質を高めるために

○○を決めるための話し合いをする○○の会議。

「責任あるメンバーばかりなのに、みんな自分の意見を言わない」
「それぞれの思うところを聞こうとしても事情説明や建前的な見解が語られるばかりで本人の意思が出てこない」
「会議の場では発言がないのに場外では本音が飛び交っている」

そんな悩みを抱える経営者や管理職は多いのではないでしょうか?

 

経営会議をはじめ事業や商品、営業の方針・戦略・課題などの検討、意思決定がなされる大事な会議の場でこのようなことが日常的に起こっているとしたら、場の運営だけの問題ではありません。会議自体の生産性の悪さはもちろんのこと、メンバー同士が十分に話し合えないことが判断や意思決定の内容や質にも影響するからです。

出席者同士でやりとりされるはずの情報や意見、思いや知恵が隠れたままで行なわれる合意形成や意思決定は、事実や意思を反映しない形だけのものになりがちです。さらに、決めた内容そのものも、出席者のコミットメントを伴わない“その場だけ”のものになってしまいます。

こうした「起点となる場のコミュニケーションの問題」はドミノ倒しのように連鎖していき、最終的には方針が浸透しない、戦略が実行されないといった全社的な問題に膨らんでいくのです。

このようなかたちで、経営の深部にまで影響を及ぼすのが「コミュニケーション」の問題です。
逆にいえば、大事な局面、大事なポイントでのコミュニケーションの様相や状態をみれば、このところ立て続けに発覚している大手メーカーの品質問題のようなリスクも予見できるということです。


「会議の場で決まったこと」の行方は、面従腹背?

これまで私たちがお手伝いしてきた企業でもよく問題視される傾向ですが、こんな調査結果があります。
経営やビジネスの実行に影響の大きい「会議」というポイントを取り上げ、会議に関わるコミュニケーションの実態として企業人(一般職~部長以上の役職者)445 人を対象に行なったアンケート調査結果です。

会議の場では合意したものの職場に戻ると納得性の問題などで決定内容に対して消極的にしか対応しなかったとする、いわゆる“面従腹背的な対応”の有無について尋ねたところ、「ある」と答えた人の割合は全体の6割。

40代以下のミドル層に限れば「ある」と回答した人が8割以上、「よくある」と答えた人も4割以上に及びました。

さらに、その理由を尋ねたところ、「決定内容に納得できなかったが、会議で波風を立てたくないので」が40%。「仕事が増える、やる意味がないなど周りから批判されるから」が37%。「自分の業務量が増えて大変になるから」が30%でした。

 

会社としての意思決定に、全体の6割もの人が「面従腹背」的な対応をとったことがあり、なかでも、決定事項を現場展開する実行の責任者であるミドル層の4割以上が日常的にそうしているとしたら、会社の意思決定は適切に機能しているとは言えないでしょう。そして、その原因のほうへさかのぼっていくと、そもそも会議の場での意思決定について、「納得できない」「現場でうまく展開できるとは思えない」と何かしらの問題を感じているのに、そのことを意見として口にするのをあきらめている状態が見てとれます。

見方によれば、集合的な会議が中身としては不成立状態で行なわれていると言えなくもありません。意思決定の場において、明らかに適切なコミュニケ―ションがなされていないのです。

まさに、「起点となる場のコミュニケーションの問題」が負のベクトルをはたらかせ、管理ポイントを通じて展開・実行の現場にも及んでいくというメカニズムが浮かんできます。

 

自分たちで「コミュニケーションの状態」をモニタリングできる
エビデンスベースドなツール

変化の激しい今のような時代になると、複雑な要素が多すぎて、経営もセオリーどおりにはいきません。まさにアートのように経営するしかないとしたら、経営トップとはいえ、自分にこれという答えが持てるわけではない。判断や意思決定は難しくなる一方なのが現実だからです。

本当は、もっと役員同士、管理職同士、そして社員とも意見をぶつけ合い、思いを語り合って、一緒に会社の課題に取り組んでいきたい。自分たちなりの経営の答えを、チームで一緒につくっていきたい。そう思ってはいても、現実には、そんな話し合いはなかなか実現しないのが実情です。

 

私たちがこれまで展開してきた「オフサイトミーティング」は、オープンなプロセスの中で生まれる創発によって変化・発展する、結果を予定できない創造的な対話の場です。そこでは、認識の共有による全体像の形成、相互理解による関係性の構築、共にめざすものの明確化、創発によるアイデア生成と実行、といったことを可能にする質の高いコミュニケーションが行なわれます。立場や階層を問わず、条件さえ整えば、重要な経営課題についても腹蔵なく話し合える役員チームをつくることもできました。

けれど私には心のどこかで、「もっとエビデンスベースドに状態を把握したい、プロセスの質を上げたい」という要請には応えきれていない、という思いがありました。プロセスデザイナーの持つ専門性の強みだけではない、さらに「金棒」がほしいと思っていたのです。

たぶん3年前と今が同じような環境なら、もっとぼんやりと構えていたでしょう。でも、この2年ぐらいの間に、いろいろな分野の身近なテーマにおいて急速に学習するAIの活用が始まりました。私たちの手の届くところまでAIが降りてきたのです。

 

このような経緯があって、「コミュニケーションの状態を見える化・把握することで質的レベルを上げていく」という課題にアプローチすべく、AIを活用した新しいサービス〈DIAdiver〉の開発に着手しました。1年前のことです。この間、いろいろと紆余曲折はありましたが、このたびようやく実用化に向けてのシステム面のメドがつき、めざすイメージに向けてサービスとしてのトライアルをスタートすることができました。

次号では、そのサービスのあらましと背景にある意図についてご紹介したいと思います。

著者プロフィール

辰巳 和正

辰巳 和正

KAZUMASA TATSUMI

大手金融会社管理職で組織変革の経験をもつ。2015年7月、スコラ・コンサルト代表取締役に就任。

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