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日本企業がふたたび輝くために「はずすべき枠」は何か(前編)
――スコラ式のルーツにある視点と組織風土改革の焦点

2017年12月04日

10月の後半、私はドイツにいました。学問と文化の町で知られるハイデルベルク市が主催するカンファレンスに参加するためです。

ハイデルベルクという都市の名前自体は日本でもよく知られていますし、訪れたことのある人も少なくないと思います。
ハイデルベルクはドイツで最も歴史の古い大学のある町として名高く、人口の1割以上が大学や大学病院、研究施設などで働いています。
ある意味では非常に学究的な雰囲気を漂わせている町です。
生命科学関連の世界的な研究施設がいくつもあることでも知られています。

このハイデルベルク市はもう何十年も前から、ハイデルベルク・クラブ・インターナショナルという友好組織をつくって、ニュ―ヨークやシカゴ、ロサンゼルス、ロンドン、北京など、世界各地との交流をはかっています。
かつては、観光関係の航空会社やホテル関係の方々が中心的なメンバーになっていたようですが、最近では、学術センターとしての性格が強まり、生命科学関連やその他の学術関連のメンバーも増えてきました。

日本にも大阪と東京に支部があり、大阪のプレジデントは安井建築設計事務所の社長である佐野吉彦さん、そして東京は私です。
先のハイデルベルク市で開催されたカンファレンスは、そのクラブの活動の一環として、3年に一度、各国から百数十名のメンバーが一堂に集まる世界大会で、そこに私たちもメンバーとして参加してきたのです。
今回の大会テーマは〈スマートシティ・ハイデルベルク〉。
新しく会員になったノーベル化学賞受賞のProf.Dr.Stefan.W.Hell氏による講演などもありました。

■スコラ式風土改革の視野とルーツ〈教育者の目、海外からの目、経営者の目〉

よく、柴田さんは何がきっかけでスコラ式の風土改革を立ち上げることになったのですか、という質問を受けることがあります。
この仕事を始めた当初から今のような改革のスタイルを想定していたわけではないのですが、間違いなく「これがスコラ式風土改革のルーツだ」と言えることはいくつかあります。


1 教育者としての経験

その1つは、大学卒業後、高校の教師を3年間経験したことです。

教師として、「人が成長していくとはどういうことなのか」という問いと真剣に向き合うことになりました。
職業として教育にかかわり、学ぶことができた貴重な経験は、今も風土改革の中にしっかりと生きています。
風土改革とは、まさに人の成長が促される場、かかる人の人生を結果として変えていく機会そのものだからです。

教師を辞める時に、その3年間の活動をふり返って総括した記録が残っています。
そこに書かれているのは、一人の教師として生徒と“互いに
引き出し合い学び合う”という姿勢で向き合い、葛藤をしてきた記録です。
そういう意味で、スコラ式風土改革で培ってきた“人と向き合う姿勢”の原点は教師時代にある、と感じます。

▼ホームルーム改革
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2 ドイツで暮らし、外から日本を見た経験

2つ目は、教師を辞めて行ったヨーロッパでの経験です。

20代の半ばで初めて外国に行き、そこに住むことになったこの強いインパクトがなければ、今の私も、スコラ式の改革のスタートもなかったのではないかと思います。
若い頃に経験したヨーロッパでの生活が、日本という国を客観的に見ようという姿勢を私にもたらしてくれたのです。
日本に帰ってきた時、日本人の生き方やその働き方に、それまで感じたことのない大きな問題意識を持ったのは、そうした経験の結果です。

「人間らしい生活とは果たして何なのか」という根源的な問いが、その問題意識の出発点でした。
“当たり前のことを、当たり前の感覚でやる”ことができていない、という現実。
そして、そのことに多くの人が“無自覚である”という現実。
私はそこに立ち向かいたいと考えるようになったのです。

今でこそ、働き方改革が人々の注目を集める社会的なテーマになっていますが、当時感じた日本人の働き方に対する違和感が「スコラ式改革をしなくては」という発火点になっていることは間違いありません。
そういう意味で、スコラ式改革は、30年前のスタート当初から働き方改革を裏のテーマとして持っていた、と言えます。


●労働生産性の低さと「考えさせない」教育

私の考える働き方改革は、労働生産性改革が出発点です。
よく知られていることですが、ドイツと日本とでは労働生産性に1.5倍くらいの差があります。
日本人は長時間、一生懸命働いているのに、なぜこんなに労働生産性が低いのだろう。
それは、仕事に優先順位をつける能力が磨かれていないから、というのが私の仮説です。

仕事というのは、価値をもたらす2割と、こなせれば良い8割とに分かれます。
問題は、「何が大切なのか」という価値判断をする能力と習慣が私たちには決定的に欠けている、ということです。

欧米先進国の教育は、基本的に「そもそも」と前提や価値を問う教育です。
それに対し、日本は知識を詰め込む教育が主流です。
考えるのはいつも「どうやるか」なのです。
結果として、意味や価値を問い、「何が大切なのか」という判断をする習慣が身についていない。
そのために、仕事の優先順位をつけられず、目の前のことすべてに頑張ってしまう。
この点を自覚し、努力を続ければ急速に変化は起こせます。

日本の働き方には確かに見直すべき点がある。
しかし、スコラ式の風土改革は、欧米的なそれとは明らかに違いがあります。
日本的なもの、その独自性を強く意識しています。

というのも、日本独自のタテマエ文化を無視して欧米的なやり方を持ち込んでも、教科書的な形だけのものになりがちだからです。
そういう現実認識が一方にあって、スコラ式の改革理論は、欧米的な輸入ものの改革理論とは常に一線を画してきたのです。
こうしたことも、私のヨーロッパでの体験がなければ意図し得なかったでしょう。

私が今もヨーロッパとのかかわりを持ち続けている理由の一つは、主にこの2つ目の理由によるものです。

(後編につづく)

柴田 昌治

柴田 昌治(しばた まさはる)

80年代後半から企業風土・体質改革のコンサルティングに取り組む。 変化を妨げている価値観を変えながら変革のプロセスをつくり込んでいく「プロセスデザイン」というやり方が特徴。

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