職員が抱く“やらされ感”とは?

職員が抱く“やらされ感”とは?

元吉 由紀子 | 2017.07.25

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自治体の行革担当者や人事担当者と話していると、「職員が“やらされ感”を持たないようにしたい」という声をよく聞きます。
民間企業でも同様の言葉を聞きますが、同じ“やらされ感”でも、行政組織では特有の使われ方がされているようです。


●「首長にやらされている」

企業でも、社長が交代すると新しい経営方針が出されます。
しかし、企業の場合、社長の多くは社内の取締役から昇格しており、他にも取締役がいて、経営方針をともに考え、意思決定する役割を担っています。
それゆえ、社長に対してのみやらされ感を抱くことはあまりないように思えます。

一方、行政組織では、公選で首長が選出されますので、行政組織と全く関わりのなかった人がいきなりトップの地位に就くことがあります。
また、選挙時に掲げた「マニフェスト」を一刻も早く実現したいと思い、当選後すぐに取組みを始める傾向もあるでしょう。

特に、前首長と対抗していた首長の場合、これまでとはかなり異なる方針を打ち出してくる可能性があります。
長年前首長を補助してきた職員にとっては、新しい首長の意図を理解したり、方向性を共有したりすることが、すぐにはできにくいことがあるでしょう。

納得できないやらされ感を感じつつ、形式を急いで面従腹背することにならないよう、首長と経営幹部が双方向にやりとりする“対話”を早い段階からうまく行なっていくことが重要です。


●「管理部門にやらされている」

地方分権が進むと、自治体組織では自立的に経営する動きが出てきました。
従来の機関委任事務時代には、国の言う通り執行(Do)するだけだったのに対して、みずからビジョンや戦略を立て、PDCAサイクルを回す仕組みを作って、独自のマネジメントシステムを構築するようになってきたのです。

これは、企業で言えば、これまで親会社の指定した仕様に従って製造していればよかった下請け子会社が、独自に製品を開発し、新たな販売ルートを開拓して、広く市場から選択される協力会社へと自立していこうとするプロセスと似ています。

それには、親会社に依存した受け身の甘え体質から、みずから市場に出て打ち勝っていく厳しさを持てる体質へと転換していくことが求められます。

自治体もおそらくこれと似たところがあるでしょう。
しかし、地方自治体の職員には、「公務員」という共通のベースがあって、国が定めた法律や制度を守ることは必須の役割となっています。
全国一律の事務を切り捨てることはできないのです。

それゆえ、地域のビジョンや戦略の実現に向けて新しく独自の動きをつくり出すチャンスが到来したとしても、余計な仕事、付加してやらされる業務としてとらえてしまいます。
企画や人事、行政経営などの管理部門がつくる制度や仕組みが排除され、機能しきれなくなっていきます。

この二種類の“やらされ感”は、やらされ感があること自体を問題としてとらえ、避けて通ろうとしたのでは、いつまでたっても地に足付いた経営を確立することはできません。
やらされ感を行政組織特有の課題としてしっかり受け止め、向き合い、乗り越えていく中で新しい自治体経営のあり方は築かれていくのです。

著者プロフィール

元吉 由紀子

元吉 由紀子

YUKIKO MOTOYOSHI

生活者起点で時代最適の価値を創造し続ける経営を実現できるよう、トップと現場の有志たちが連携・共振していくプロセスを一緒に築きあげている。

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