「余暇ラボでInnovationトレーニング」のすすめ<br/>仕事の頭を楽しくほぐすプライベートのスカンクワーク|コラム|スコラ・コンサルト
「余暇ラボでInnovationトレーニング」のすすめ<br/>仕事の頭を楽しくほぐすプライベートのスカンクワーク

「余暇ラボでInnovationトレーニング」のすすめ
仕事の頭を楽しくほぐすプライベートのスカンクワーク

手塚 利男 | 2019.03.14

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「余暇ラボでInnovationトレーニング」のすすめ<br/>仕事の頭を楽しくほぐすプライベートのスカンクワーク

風土改革を通じた生産性向上(付加価値向上)の支援をしていると、新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出す創造やイノベーションの場に立ち会うことが多く、私自身もそこから心地よい刺激を受けています。

それらの活動にふれて思うのは「日々の業務の中で行なうイノベーションの試行錯誤こそトレーニングになる」ということ。それは、机上でイノベーションとは何かを学ぶのとは違い、ビジネスの本番でメンバーが一緒に学ぶ現場での実践的なトレーニングです。

イノベーティブな思考や行動が求められるのは開発や技術に従事している人たちだけではありません。もっと裾野を広げて、現場のメンバーやそれをサポートするスタッフや経営者、そして、私たちのような外部支援者にもイノベーションが起こっていくプロセスを体験することが必要だと感じています。

新しいものを生み出す「試行錯誤のプロセス」を体得する道場


トレーニングとはいえ、現物や現実を相手にビジネスとしてやることで本気の知恵が出てきます。しかし、同時に「楽しくなければ」自由で新しい発想は生まれません。

あまりハードルを上げないで楽しく真剣にやる。そういう環境を設定し、頭と身体の両面から刺激的な創造活動を行なっている場の一つに、広島県商工労働局イノベーション推進チームが力を入れている「チームイノベーション道場 in 広島」があります。昨年から、県のサービス産業の生産性向上支援事業という位置づけで始まった画期的なこのプログラムには、スコラ・コンサルトも全面的に協力して道場に参加する企業の支援(現地で企業を回る)をしています。

サービス産業の生産性を向上するポイントは“付加価値を高める”こと。まさに商品とその創出プロセスのイノベーションによるビジネスの革新にあります。

その場に立ち会う私の脳も弾んだ、プログラムの楽しい一場面を取り上げてみましょう。


◆新商品開発のための知恵を出す
「一串の炭焼きとタレにこだわり40年」の焼鳥屋さん、3店舗を展開しています。お客様を呼べる一品づくりをめざし、新商品を考えるオフサイトミーティングでは「一本の串に五感に刺さるストーリーがある」をお題に、各店舗から商品のアイデアを出し合いました。

各店のメンバーは、自分たちが考案した商品に込めた思いや工夫、原価や売価などを照れながら自信なさそうにプレゼンします。思いついたことを自由に言い合うやりとりでは、社長も社員も対等に意見を出し合います。意見が出尽したら挙手で順位を決め、最も支持の多かった一品に対して、さらに良くなるように改良案を出し合います。

その後、各店がそれぞれに一品を磨き込んだ試作品を持ち寄って食べ比べ、最終的な仕様を決定します。そうやって、全店で売り出す新商品が固まったら、それぞれの店舗でどんなふうに打ち出すか、独自のキャッチフレーズを考えます。あれこれ意見を言い合い、ワイワイガヤガヤ実に楽しそうです。

料理については門外漢の私もその空気に乗せられて「こういうものを試作してみました」と提案してみたくなります。のびのびと考え合う場に身を置くと、脳がつられて動き始めるのです。

▼老舗焼鳥屋 存続危機からの復活と挑戦
~株式会社キャピタルコーポレーション
http://www.jounetsu-k.com/web.php?menu=archives&cmd=detail&id=212
 

◆何でも染める老舗のイノベーション
大正7年創業の染料屋さん。長年培った職人技を持ってすれば世の中に染められないものはない、という自信はありますが、業界自体は衰退しています。

チャレンジ精神旺盛なトップは「海でも飛行機でも何でも染める染料屋」をめざし、もっと染めの価値を広めたいと次々にアイデアを打ち出します。それについていけない従業員は戸惑い、両者の関係はギスギスしていました。

お互いが考えていること、感じていることを分かり合えれば、一緒に同じ方向をめざしていくチームになれます。互いの思いやモヤモヤを聞き合う場をつくり、社長の危機感や言動の背景にある思いを理解し共感が生まれると、「何でも染める染料屋」を実現するためのアイデア出しをするにもメンバーのエネルギーが違います。

これまでのBtoBビジネスにとどまらず、一般消費者に染めを身近に感じてもらうための染め体験の場づくりが始まりました。「ソメラボ」と名づけた店のレイアウトやデザイン、自慢の染めをどう見せるのか、オープンを間近にして社長も従業員もなく立場を越えて知恵を出し合い、みんなワクワクと楽しそうです。脇で見ている私も染め作品をつくってみたくなりました。

道場で目にするこのような光景。同じ方向を向いたチームの力によって、現場で現物とともにビジネスのあり方が変わり、新しいものが形成されていくスピードや躍動感には目を見張ります。
 

道場レースで優勝できるマシンをつくる!~好きなことを掘り起こして「伸ばす」楽しさ


仕事の世界にとどまらず、遊びでやれるトレーニングもあります。名づけて「余暇ラボでInnovationトレーニング」。

失敗しても誰にも迷惑はかかりません。締切りや必ず成功させなければならないという縛りもなく、思う存分に没頭できて、成功したら事業化するという道もあります。

私の余暇ラボをご紹介しましょう。

「スロットカー」というものをご存じでしょうか? ミニチュアのレーシングカーによる世界最小のモータースポーツと言われ、世界中にたくさんのマニアがいます。1960年代にイギリスから初上陸し、何回かのブームを経て最近また国内での人気が再燃しています。

スロットカーのサイズは1/32とか1/24などさまざまですが、それ以外は実車さながらの機構をもつ本格的なもの。自作のマシンをミニチュアサーキットに持ち込み、スピードを競います。ハンドコントローラーで電流を調整しながらアクセルとブレーキをコントロールして走らせ、マシンのポテンシャルが上がれば最高時速は150キロを超えます。マシンの性能と走行テクニックを追求して改良・改造を重ねる、エンジニアにとってはワクワクするホビーです。

 

 
(写真は駆け出しの私が製作したマシンです)

このスロットカー、私が子供の頃に流行りましたが、小遣いなど十分にもらえなかった私は友だちがやっているのを側で眺めながら、自分もつくれたらいいのになと思っていました。

数年前、たまたま「子供の時にやろうと思ってできなかったこと」を考える機会があり、それがきっかけで思い出したのがスロットカーのことでした。ネットで調べてみると、自宅から近い場所(町田)にサーキット場があることがわかり、早速のぞいてみたのが余暇ラボの始まりです。

▼ワクワクする時
http://www.professi.co.jp/blog/2017/09/08/2655

お店の人に、安全に楽しく走るためのルールを教えてもらい、マシンを借りて、おそるおそるコントローラーを操作してスロットカーを走らせてみました。「こんな感じなんだあ」と感動でした。

サーキットでは、昭和のオジサンたちが自慢のマシンを巧みに操作してスピードを競い合っています。その日は夜にレースがあるらしく、走行テストとマシンの調整をしながら、レース仲間でありライバルでもあるメンバーが、モーターや潤滑油のことなどマシンの改造についてワイワイガヤガヤやっていました。

そのようすを見ていると、無性に自分でつくったマシンを走らせてみたくなり、店の人に入門者向けのパーツを一式選んでもらって持ち帰りました。あとは、自分の好きなマシンを決めてボディを製作し、シャシーに乗せれば完成です。

 

 
(自作でモーターやタイヤ交換など自由に改造できるシャシーにしてみた)


余暇ラボとはいえ、私は次のような目標をもってやっています。
◆オリジナルのスロットカーでレースに出る
◆レースで優勝する
◆手塚モデルを世に売り出し事業化につなげる

もともと自動車メーカーの生産技術にいたので、目標を達成するためのコツコツ改善や性能を飛躍させるための自由なアイデアを試すことが楽しいのです。


持続とスパイラルアップの秘訣は「楽しく」


先の事例でも私のスロットカーづくりでも、Innovationトレーニングのステップは以下の5つ。これらを「楽しくやる」ことが条件です。

_______________________________

1.考える場、刺激し合う場と時間を確保する
  私の余暇ラボでは「サーキット場に行く」ことがこれにあたる。
2.立場を離れて知恵やアイデアを出し合う
  私の場合は、お店の人に聞く、サーキット場にいる人に聞く、ネットで調べる、などしてアイデアを集める。製作は一人だが、「スロットカーが好き」を共有している仲間との仮想チームで取り組んでいる感がある。
3.できることからやってみる
  やってみると、上手くいったこと、上手くいかなかったことなど、必ず結果が出る。
4.やった結果を評価する
  私の場合は、走行性や走行タイムの変化で結果を確認して改善点を見つける。
5.次の策を出し合い、やってみる
  改善点に対する工夫の知恵を出して再びトライする。
_______________________________

この1~5までを、めざす状態に向けて、ぐるぐると早く回すことが大事です。プロセスの繰り返しであってもルーティンではないので、気づきのアンテナがどんどん研ぎ澄まされてスパイラルアップしていきます。会社の日常では、Innovationトレーニングの必要性がなかなか実感としてピンとこないものですが、余暇ラボでチャレンジをしていると「こういうことなんだ!」と身体でキャッチできるのです。

▼モノづくりでinnovationトレーニング
http://www.professi.co.jp/blog/2019/02/22/2762

著者プロフィール

手塚 利男

手塚 利男

TOSHIO TEZUKA

前職でいすゞ自動車の全社風土改革推進を担当し、変革当事者であり推進者の経験を持つ。その経験を生かし、自動車や電機、機械といったメーカー系企業の支援を得意とする。

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