面談の場を「打ち出の小槌」にする(前編)<br/>~ 予定調和を生みやすい「フレーム型」面談の落とし穴|コラム|スコラ・コンサルト
面談の場を「打ち出の小槌」にする(前編)<br/>~ 予定調和を生みやすい「フレーム型」面談の落とし穴

面談の場を「打ち出の小槌」にする(前編)
~ 予定調和を生みやすい「フレーム型」面談の落とし穴

神田 卓 | 2019.04.11

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面談の場を「打ち出の小槌」にする(前編)<br/>~ 予定調和を生みやすい「フレーム型」面談の落とし穴

上司と部下で1対1の個別面談を実施する企業が増えています。
変化の時代に適応するため、多様化する個性に対応するため、定期的な対話を通じて部下の成長を支援する、はたまた話題の1on1ミーティングを自社でも活用するためなど、何かしらの必要に迫られて組織的に行なわれている個別面談です。

意外に意識されていないのですが、面談には、目的に応じて大きく2つのスタイルがあります。たとえば、進捗確認や評価、目標設定など明確なフレームをもって進める目標管理のような面談と、対話を通じて信頼関係をベースに成長の手助けをしていく1on1ミーティングのような面談です。

後者の場合、狙いはあっても面談のプロセスや中身は「対話」によって一緒につくっていくものです。そこで共同作用を起こすことができれば、個別面談という機会は、さまざまな可能性を引き出すことができる「打ち出の小槌」になると私は思っています。


2種類の面談スタイル
~想定内におさめるか、その場で一緒につくるか



最近、1on1ミーティングを導入している企業の方々から共通して聞こえてくるのは、「いったい、どうやって面談を進めたらいいのか、正直よくわからない」という戸惑いの声です。
個別面談というだけに、面談相手も一人ひとりが違います。設定も、一回ごとに違います。真剣に向かい合えば合うほど、個別面談の正解がわからなくなるのは自然なことです。

そんな上司の方々の悩みにうなずきながら、私も「何を目的にしたらいいのだろうか」「その目的なら、どんなスタイルで進めるのがいいのだろうか」と、一緒に場をイメージしながら考えてきました。

個別面談には、大きく分けると以下の2種類があります。

1 フレーム型面談
組み立てにそって言葉や情報を主体にやりとりする。ある程度の結果が予定できる。

2 プロセス型面談
その場に流れる感情や空気、相手の状態や関係性など目に見えないものを追いながらやりとりする。結果はどうなるかわからない。

面談をうまくやろう、うまく話を引き出そうと考えると、どうしても質問項目やチェックシートを用意したり、話しやすい態度やしぐさなどを意識したりと、対処的な準備をしがちです。しかし、1on1ミーティングは、話し合う両者の“関係性がものを言う”即興的な対話の場です。アプローチを間違えてしまうと、せっかくの対話の機会が生かされなくなるため注意が必要です。


フレーム型面談のウィークポイント
~「上司には不用意なことを言えない」



フレーム型の面談の場合、毎回の面談の目的と進め方、着地点を事前に設定し、上司と部下の役割を固定した上で計画的に実施されます。たとえば評価や目標管理などの面談の進め方がこれにあたります。

双方が全体の流れを理解し、了解のもとに進めることが前提なので、事前に設定した目的を達成しやすい、大ハズレ(大きな混乱が生じること)が少ない、時間内に終了しやすい、などのメリットがあります。しかし同時に、以下のようなウィークポイントもあります。

〈上司と部下の関係が固定的だと「予定調和の範囲でしか情報を得られない〉

上司が計画や情報にもとづいて組み立てる面談では、上司は「情報を集める人」、部下は「情報を提供する人」というように役割が固定されがちです。上司のフレームにそって進んでいく面談では、もともと“脱線もあり”という遊びの想定がないため、部下や現場のありのままの情報は引き出されず、上司が想定していた情報しか得られない、という限界があります。

たとえば、経験豊富なデキる上司だと、無意識に部下を「この人は、こういうタイプだ」と分析し、その先入観や固定観念にあてはめた対処法で接します。明るい部下にはフランクに、口数の少ない部下にはソフトな言い回しで…などといったコミュニケーション術を駆使することで、その場の雰囲気も悪くなく、部下も前向きに話をしてくれて満足のいく情報を得ることができた…と、一見、面談はうまくいったかのように見えます。

しかし、そこには落とし穴があります。部下の口を滑らかにする工夫はできても、その懐の中にまでは容易に入っていけません。そこで得られる情報も、上司の意に沿い、上司の反応を見ながら的を外さないように配慮されたもの、ふだん部下が感じたり思ったりしていることとは別物だったりします。

上司が持つ枠を意識しながら取り交わされる面談での会話は、情報量は多くても、予定調和になりがち。質的に豊かなものではないと言えます。

一方で、部下の立場になってみると、評価者である上司をどうしても意識してしまうため、この面談をなんとかうまく乗り切りたい、的を外したくないと考えるのは、ごくごく自然なことです。その結果として、自分の持っているありのままの情報を伝えることを控え、上司が期待しそうな情報をうまく伝える、という“デキる”部下も出てきます。

本来、現場で動いている人たちは、その立場・目線ならではの貴重な情報をたくさん持っています。事実・実態にもとづいたイノベーションや本当の課題解決のタネとなる情報です。しかし、上司がフレームを持っている場合は、この磨かれていないモヤッとした情報を共有することは困難なのです。


〈目的と結果を固定しすぎると「効果がその場かぎり」で持続しない〉

何のための面談にするか、どんな結果を期待するのか、といった目的や結果のイメージを具体的に固定しすぎると、上司も部下も暗黙のうちに、いかにそれに向けてうまくやるかにフォーカスしてしまうという弊害が出てきます。予定外、想定外のものが生まれにくくなるのです。

仮に、有意義な話題が出てきたり、そこで盛り上がったりしたとしても、その場かぎりのやりとりになってしまいがちです。せっかく個人面談の場で距離が縮まったお互いの関係や、そこでめざめた問題意識も、その先につなげていかなければ萎んでしまいます。こうした、会社や職場全体に変化や波及効果をもたらすきっかけを見逃してしまうことは、組織にとっての損失でもあるのです。


私自身、前職で部下の面談をするときにはフレーム型の面談を行なっていました。毎回の個別面談にはそれなりの準備をし、気合いを入れて臨むのですが、「いい面談ができたのに、なぜか部下は動かない」のです。当時は、なぜなのかがわからず、どうしたものかと思い悩みましたが、もしも今の私が過去に戻れたなら、まったく別のアプローチをするでしょう。


もう一つの「プロセス型」の面談については、後編でご紹介したいと思います。

著者プロフィール

神田 卓

神田 卓

SUGURU KANDA

常に相手の立場を最優先し、自分の意図や意思を相手に押しつけないで話を聴くことを心掛け、感じたことをそのまま相手に伝えるコミュニケーションを得意とする。

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