「東北まちづくりオフサイトミーティング勉強会」から広がる

前半は、山形県内で地域づくりなどに取り組むメンバーが自主的に取り組んできたことを熱く語る事例発表、後半は佐賀県の前武雄市長・樋渡啓祐さんが基調講演を行なう二部構成で、とても充実した内容でした。
会場には、山形県内から3分の1、その他は県外北海道から九州まで各地から集まって来ており、盛り上がりは夜の懇親会へと続きました。

この会の発起人は、山形市の職員後藤好邦さん。
彼は現在『月刊ガバナンス』で「『後藤式』知域に飛び出す公務員ライフ」の連載を持つ有名人となっていますが、彼がこの会を始めた動機はいたって素朴。

2005年に関西学院大学専門職大学院の石原俊彦教授が始めたKGPMという自治体職員向けのフォーラムに参加して、「自分ももっと勉強しなければ」と刺激を受けたことにありました。
「関西に行くには旅費がかかる。であれば身近な仲間と集まるところから始めよう」と、2009年6月に小さな一歩を踏み出したことが始まりです。

その1年半後の2010年11月、私は時事通信社の仲介で山形市の教養講演「改善を生み出す組織の土壌づくり ?対話とプロセスを用いた『自ら考え、動き出す職員』の醸成?」に招かれました。
講演の中で私は、100人ほどの参加者に向けて「山形には東北まちづくりOMの取り組みがあっていいですね」と投げかけをしたのですが、皆さんキョトンとされている。

そこで、「東北まちづくりOMを知っていますか」と問い直してみたところ、手をあげてくれたのは、わずか二人。後藤さん本人とその隣のお仲間でした。そんな認知度の低さを残念に思いつつ、講演後に後藤さんと喫茶店で飛行機の時間ぎりぎりまで語り合ったことが懐かしく思い出されます。

その約半年後、2011年3月に東北は東日本大震災に遭いました。
そこから全国に、人と人との“絆”や地域のつながりの大切さを見直そうという機運が高まり、東北まちづくりOMの取り組みでも被災地の復興を支援するイベントが加わり、Facebookなどを通じて共感する仲間の輪がどんどん広がっていきました。

そこから派生して、群馬県高崎市の松田和也さんが上州OMを、香川県坂出市の福田倫丈さんが四国ОМを、そして、北九州市の佐藤陽介さんが九州ОМを立ち上げるアクションを起こしています。
それぞれに身近な職員どうしがつながり、地域に開かれた場をつくって、まちづくりに貢献しようという取り組みです。

「全国ОМサミット」開催

今回の東北まちづくりOM勉強会に続く翌5月10日には、そんな後藤さんたちと4人のOM仲間が発起人がとなって、地域づくりに役立つОМのような場づくりを考え合う「全国ОМサミット」をが開催されました。
私も「気楽にまじめな話をする場」をコンセプトにした「オフサイトミーティング」について基調講演をさせていただきました。

私自身も神戸で阪神大震災を被災した経験から、地域を支える公務員の新たな役割に関心を持ち、「公務員の世話人交流会」を始めた経緯があります。
職員がつくるこうしたネットワークの変遷なども紹介し、各ОМ発起人たちのパネルディスカッション、会場の参加者どうしが知り合うミニオフサイト、パネラーと参加者とのQ&Aにもコーディネーターとして関わりました。
※「東北ОМ勉強会第20回」と「全国ОМサミット」については、現在発売中の月刊『「ガバナンス』」2015年6月号に掲載されています。

▼「職員のネットワークづくり」についての関連記事はこちら
「共感・共鳴のネットワークで自治体の政策力を高める!」
https://www.scholar.co.jp/gyouseikeiei/media/

職員の小さな一歩が、周りの職員や住民と共鳴して波を起こし、渦となって回り始める地域が増えていくことを楽しみにしています。

ОМの発起人たちとは、今後も「全国地域づくりネットワーク世話人交流会」を通じて、それぞれの場づくりの進捗状況の情報や悩み、課題などを話し合っていく予定です。