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三浦工業株式会社

 

交流と問題発見・解決を促すオフサイトミーティング

 

オフサイトミーティングは立場を超え、自由なテーマで自分のことを自身で語ることによって、人や組織同士が気を遣わずに交流し、問題の発見・解決を目指すものだ。原則として自分たちの職場以外の場所で集まり、コーディネーションも自分たちで行う。業務時間内での開催も認められている。

同社では2003年、スコラ社の提案をもとに、約207人の役職者全員が集まる12日体感型オフサイトミーティングに参加し、その効果や方法を体得してもらうことから始めた。

以降、役職者から一般社員にも展開していき、浸透していくにつれて、当初何をやっているのかわからないと不安や不満を持っていた社員にもオフサイトミーティングへの理解が深まったという。

 

オフサイトミーティングが根付いた理由は、あくまでも自主性を尊重したことだった。「オフサイトミーティングが職場に役立つと考えたら自由にやってほしい」「不平不満でもいいから、集まって話し合うことに価値がある」と経営陣から呼びかけ、自由に開催してもらったのだ。企画した社員が電話やメールで人を集め、そのうち毎月開催する社員も出てきた。当初は上司が業務時間内でのオフサイトミーティング実施をよしとしない場合、時間外や土日に開催する社員もいた。

 

時間以外の開催のハードルを下げたことも大きい。飲食費などの費用は“ノミュニュケーション支援”として会社が提供し、社員だけではなく、パート社員にも適用される。また、同窓会や同期会、県人会なども申請すれば補助が出る。さらに、本社の隣にある研修所を提供し、ついには設計完成間際の新・開発センターを設計変更して各階にオフサイトミーティングルームを作った。

役員には “押しかけスポンサーシップ”を持つように促し、社員のオフサイトミーティングに参加することを奨励した。また、経営陣に入ってきた情報に基づき、研修担当の事務局とともにスコラ社が立ち会うことも多かった。

そして、オフサイトミーティングの結果として、新人育成制度や本社のショールームのもとになる提案が生まれ、実現した。

何よりオフサイトミーティングで連携力や何か問題が起きた時に問題解決をしようとするスピードが培われたのが最も大きな成果だった。「例えば設計部門の中堅であれば、製造部門の同じくらいの立場の社員と話すほうが上司を通すよりも話が速い。こういうときに上司がガードしてしまうと交流がなくなってしまいます。ただ、同期は仲が良いので、部門が離れてしまってもオフサイトミーティングで会うことができ、関係をつないでおけます。オフサイトミーティングが見えないところで意外と機能しているのです」と西原さんは話す。

 

社員の多様化に合わせ、今後も続いていく風土改革

 

こうした“変化を促し続ける仕組み”が風土改革を実現し、三浦工業の社員の満足度を上げて、業績を伸ばす秘訣になっているといえそうだ。

一方で、これらの仕組みが機能していても、新たな課題は必ず出てくる。「役員からのトップダウンの提案が多くなり、社員の問題意識が低下してきたように感じます。また、他の部門には余計なことは言わないという雰囲気がまた表れてきました。業績が伸びているときには、改革の気質が出てきにくいことを覚えておかないと」と西原さんは懸念する。 

 

「とくに新分野に進出したときには強いリーダーがいて、例えば部下は上司に、上司は役員に、役員は社長にと何でも言える雰囲気がありました。今は部下の発言を上司が抑えてしまう、上司も直属の役員には言えるが、ほかの役員には言えないというような状況が見受けられます」(西原さん)。 

人財開発部部長の谷水恭子さんも「かつては“家にご飯食べに来い”“嫁さんを紹介してやる”というような兄貴風の上司がいましたが、今はそういう時代ではありませんね。今の社員は会社の飲み会に参加しないからといっても会社や上司を嫌いなわけではない。そういう人がダメな部下だと思われないようにしないと。上司にも部下にも多様性があるという理解が必要です」と話す。 

そこで、西原さんは「例えば、一般社員の集まりに部長がひとり、あるいは部長クラスの集まりに役員ひとり、統括部長クラスの集まりに役員ひとりというように、本音を聞くために同じクラスの社員たちを集めて、そこに上司がひとり入るオフサイトミーティングを試したい」と考えている。オフサイトミーティングや研修も社員の多様化に合わせた形でアレンジしていくということだ。

 

新しい取り組みもはじまっている。20164月に就任した宮内大介社長は、イントラネット上に社長への“David Hotライン”を開設した(Davidは宮内社長の米国勤務時代からの呼び名)。社員が直接社長にメールでき、何を書いてもかまわない。201610月にはムダだと思う仕事を社長に直接伝える“やめるキャンペーン”を実施し、2週間で320件の提案が社長に届けられた(図 3)。

図3 社長にダイレクトに届く"David Hotライン"


「口頭で済む用事でも書類で残す風習などが挙がって来たと社長に聞きました。これだけの数が送られて来たということは社員には問題発見ができている、活力があるという証拠だとうれしくなりました」(西原さん)。

これまでの“変化を促し続ける仕組み”に“David Hotライン”のような時代に合った新しい方法を組み合わせて、さらに風土改革を進めることが社員の満足度を高め、業績を伸ばすことにつながる、と西原さんや谷水さんをはじめとする経営陣は考えている。