部分最適から全体最適へ。

このプロジェクトでは、全国各地の拠点と関わります。
そういった業務に携わることで、仕事に対する考え方、捉え方等にどんな影響がありましたか。

 

水鳥 プロジェクトを進めていくうちに、帳票が統一されることによって私たちが得られるメリットが分かってきました。

例えば異動があったとしても、どの現場でも使用している帳票が同じであれば戸惑うことはありません。以前は、異動すると全く違う会社に入社したかのような状態でしたが、今では、北海道から人が異動してきてもすぐに通常業務をこなせるようになっています。

メンバー間で、メリットについて具体的に話し合ったわけではありませんが、自然とこうした考えが共有されていきました。

 

亀谷 プロジェクトでは「実現したい姿って何だろう」というテーマでメンバーと何度も話し合いました。

「せっかくつくるなら、皆が使えるものをつくりたい」という気持ちや、各拠点がストレスなく新しい帳票を使っている、といったイメージの共有をしていました。

プロジェクト後は、仕事の進め方ひとつとっても、自分の視点だけで考えるのではなく、全体最適で考えるようになりました。一人で考えることも大事ですが、自分が属するグループやそれ以外のグループ、上司等、さまざまな人の意見を聞いた上で考えると、より良いものになることがわかりました。

持続的な成果のためのサポート マネージャーは「何を」サポートしたのか

― 続いて、プロジェクトをサポートしてこられた柴崎様に伺います。
2012年に再開したプロジェクトでは、2010年の時とは違い、
各拠点が帳票をすべて出してくれました。
今回は何が違ったのでしょうか?

柴崎 最初のプロジェクトでは、本部が作ったものを使わせようとしたため、メンバーの理解が得られませんでした。こうした経験を踏まえ、2012年の時は「無理に進めない。本当に使える帳票にするために現場の意見を聞く。だから全部の帳票を出して欲しい。」と伝えました。

それに加え、マネージャー層には「漏れがないようマネージャーも本気になって取組んで欲しい」と伝えました。さらに各拠点のすべてのフォルダーを実際に点検しました。その結果、こちらが驚くほど出てきたんですね。

― 2010年はトップダウン、2012年はトップダウンとボトムアップの併用と、やり方を変えたのですね。

柴崎 意図的に変えました。

現場には「本気で話を聞く」と伝えました。プロジェクトメンバーには「現場の話をちゃんと聞くように」と伝えたら、「それでは収拾できなくなります」と反対されました。

しかしここは譲らずに、「ちゃんと現場の声を聞こう。まとまらなかったら、私の権限で最終決定するから。」と、彼らを何度も説得しました。

だからプロジェクトの過程では、メンバーから「拠点からこんな意見があったから、こう変えました」という声をよく聞きました。

また、各拠点からは「このごろ、話を聞いてくれるようになりましたね」という声が届くようになりました。現場に帳票が受け入れられたのは、こうした手順を踏んだからだと考えています。

― 今までしてこなかった意見の収集を、なぜ今回は実行されたのでしょうか。

柴崎 以前、赤字だった会社を黒字にしたディーラーの社長が、その理由を「赤字のときと反対のことをやった」と言っていたことを思い出したんです。それで「前回は現場に意見を聞かずに上手くいかなかったから、今回はやってみよう」と考えました。それから、役員から「やり方は任せる」と一任してもらえたのも理由の1つです。