MBOとは?

MBO(目標による管理)は目標管理手法の一つで、経営思想家のピーター・ドラッカーにより提唱されました。人事評価に活用されることが一般的です。半年~1年と比較的長い期間をもって評価され、その目標や評価は上司との間で共有されます。全社的な目標に紐づいたものではなく、人事評価と結びつく個々人の達成可能な目標が掲げられる傾向があります。

今では人事評価に結びつけられがちなMBOですが、ドラッカーは著書「現代の経営」の中で、自らの仕事を自ら管理することが最善を尽くす動機につながる、自己管理によるマネジメントに必要な要素が目標管理である、と提言していました。その際に使われた言葉は、自己管理の意味を含む”MBO-S”(Management by Objectives and Self-Control)でした。

目標の役割

そして、目標管理における「目標」の役割について、次のように述べています。

・目標は自らを方向づけるものであって人を支配するためのものではない

・組織に働く者が共通の目標のために貢献できるように、一つひとつの仕事を事業全体の目標に向けなければならない

・目標に照らして仕事ぶりと成果を測定し、その情報を本人に伝えることで必要な措置をとれるようにする

本来MBOが意味したのは、人事評価のために個人目標の達成を管理する手法というよりは、事業の成果と人の自由を実現するためのマネジメント哲学だったのです。

MBOとOKRの違い

MBOと比較されることが多いのがOKRです。OKRとは、Objective(目標)とKey Results(主要な成果)を設定することによる目標管理手法の一つです。MBOによくある運用と異なり、決定した目標と成果は組織内で広く共有して連携を促し、短期間(毎月~四半期)で振り返りを行います。挑戦的な目標を掲げる(目標のレベルを下げない)ために人事制度と直結させないことが推奨されています。

MBOやOKRなどのマネジメントツールを効果的に機能させるためには、個人と組織の自律的なマネジメント促進という目的のもと、目標の設定やその運用において対話を活用することが重要です。組織のビジョンを実現するための挑戦的な目標について、各階層で腹落ちできるように本音で話し合うことや、フィードバックやお互いの成果を認め合うことで、目標に向けた成果を出しやすくなります。

参考文献

『現代の経営』ピーター・ドラッカー ダイヤモンド社