目標管理は、本来職員が自ら管理できるよう、主体的に目標設定することが望ましいものです。しかし、だからといって何を書いてもいい、ということにはなりません。適切に目標設定できるようになるためには、日頃から仕事にしっかりと向き合い、組織全体を見渡して、職場内で果たす自己の役割をきちんと理解しておくことが重要です。今回は、よりよい個人目標を設定するための準備プロセスについて取り上げてみました。あなたは、これらのプロセスを経て目標設定しているでしょうか。

「事業評価シート」で、事業の目標を確認する

各職場には、所管する職務があり、職員はその一部を担っています。この職務に関連した事業は、総合計画のもとに体系化づけられ、事業評価制度によって全体管理されています。それゆえ、個人目標を設定するときには、事業ごとに作成している「事業評価シート」を見れば、年度ごとの事業目標を確認できます。

しかし、実際には事業評価シートを評価の結果を記入するときしか見ていない、というケースがほとんどです。誰が何をやるのかの人事管理と事業管理は、表裏一体となるものですので、各帳票もタイミングを合わせて運用していきたいものです。

「組織目標」で、事業・業務の方向づけを確認する

ただし、自治体によっては、事業評価を重要事業についてのみしか行なっていないとか、人件費のみで行なっている「業務」については対象外としているところがあります。その場合には、上司が作成する「組織目標」が指針となります。組織目標には、それぞれの担当分野について、重要な事業・業務の目標が設定されていたり、改善・改革すべき課題の設定や、人材育成の取組みなどが記されたりしています。

職員は、組織目標から自分の担当職務に関わる目標や課題を理解するだけでなく、組織全体の構成や優先順位づけを知り、その判断基準を理解しておくことが、自己の目標設定と優先順位づけをするうえで大切です。

役割に応じて、果たす責任を明確にする

仕事は、一人でするのではなく、同僚や、上司、関係部署や関係団体とも協力し合うチームで進めています。職員には、行政が担う役割や、それぞれの役職に応じた役割を明確にして、責任を果たしていくことが欠かせません。個人目標を設定するにあたっては、これらの役割設定について、「人材育成基本方針」や人事評価制度の中の「能力評価項目」などに書かれている内容と意図を理解しておくことが必要です。

また、上司と面談をする前に、まずは職場で同じ仕事をしている職員同士で、それぞれがどの範囲、どの程度の責任を果たしていくのかについて話し合っておくことが大切です。同じ事業・業務を担当しているからと言って、上位者から下位者までが、同じ個人目標を設定してしまうことがないように留意しなければいけません。よりよい個人目標の設定は、それぞれが目標の達成に向けて邁進するためだけでなく、良好なチームワークをもとに組織の生産性を向上し、効率的効果的により高い成果を果たすことにつなげてこそ意味があるものです。

今一度目標の設定プロセスを見直し、よりよい個人目標づくりにお役立ていただければと思います。