異動の内示が出た際の主な引き継ぎ項目

異動の内示が出た職員は、現職場では新任者へ引き継ぎ、新しい職場では前任者から引き継ぐ。一度に二つの引き継ぎをこなさなければなりません。この短期間に、みなさんは、何を引き継ぎされているのでしょうか。

 

(1)職務分担について
(2)職務内容について
(3)職務に関わる法律や制度の情報について
(4)所管している事業概要について
(5)今年度の取組み内容と成果について
(6)次年度予定されている予算と目標について
(7)職務に関わる関係者(主要人物)と関わりについて 場合により、関係者への紹介、顔つなぎ
(8)オフィス環境や使用方法について
(9)職場でのチームワークと習慣について

 

引き継ぎは、主にこのような項目について行なわれているのではないかと思われます。

ただ、課長ともなると(1)~(7)の事項が職員の何倍も多くなります。それゆえ、なかなか(8)や(9)に時間をかけることができなくなるでしょう。また、課内の(8)(9)に関わることよりも、部全体の進め方である部課長会議の様子や他課との関わりに関することなどについて引き継ぐことが優先されるのではないでしょうか。

課長の引き継ぎで起こりうること

課長としてどうマネジメントしていたのかについての引き継ぎは、問題となっている事象や職員について課題共有する程度に留まり、日常的に行なってきたやり方が語られることはあまりないようです。それは、それぞれの課長がみずから考えているやり方があるだろう、職場のみんながわかっているだろうと敢えて自分から伝えなくてもいいという配慮や遠慮であったりするのかもしれません。

「課のマネジメント」は、担当業務内容とは違い見えにくいものです。そのため、つい後回しにされがちです。しかし、課長が日々どんな業務の管理やマネジメントを行なうかは、課全体の仕事の流れやリズム、時間の使い方に大きな影響を及ぼし、職場全体の空気をつくり出していくものです。

課員全員の関わり方を効率的にも非効率にもし得るので、本来は課長間の引き継ぎに委ねてしまうだけでは、すまされないものかもしれません。

組織目標を軸とした職場ぐるみの引き継ぎ体制

そんなとき、「組織目標」シートがあれば、その中に課長がどのように課の運営課題を捉え、職場のチームづくりを進め、新しい改革や改善、人材育成に取り組んできたのか、取組み内容と成果を示しておくことができます。新旧の課長どうしの間だけでなく、課員どうしの間でも、スムーズに課のマネジメントの引き継ぎとして活用することができます。今は自治体によって「組織目標管理」の仕組みがあるところとないところがあります。

また、仕組みがあっても記載する項目など様式が異なるので、「組織目標」と言われてもすぐに課のマネジメントと結びつかない方もいるでしょう。もし組織目標の仕組みのない場合は、日頃から自分たちの課でどのような運営をしているのかを書き留めて、職場みんなで共有しておくことをお勧めします。

課のマネジメントを見える化して備えておけば、年度ごとにメンバーが入れ替わっても、これまでの職場のチーム品質をできるだけ崩すことなく、さらによいチームづくりに向けて進んでいくことが可能となるでしょう。

そんな職場ぐるみの引き継ぎ体制を築いてみてはいかがでしょうか。