イノベーションの5つのケース

イノベーション論の先駆者であるJ.シュンペーターは、約100年前に考えうるイノベーションの5つのケースとして

  1. 新しい財貨の生産
  2. 新しい生産方法
  3. 新しい販路や市場の開拓
  4. 原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
  5. 新しい組織の実現

を挙げました。

1から4はすでに多くのイノベーションが生み出されていますが、5つめにある組織のイノベーションに積極的に取り組む企業はこれまであまり多くありませんでした。しかし、この数年「イノベーションを生むために、まず組織自体をイノベートする」ことの戦略的な重要性に気がつき、第5のイノベーションである「組織イノベーション」に積極的に投資をし、専任部署を設けて取り組み始める企業が増えてきているのです。

「イノベーティブな組織」といったとき、皆さんは具体的にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

イノベーティブな組織

世界で最もイノベーティブな会社として注目を集めているIDEO。世界のトップ企業をクライアントに持つアメリカのデザイン・コンサルティング・カンパニーです。IDEOは、イノベーティブな仕事のし方のベースとなるデザイン思考で有名です。

デザイン思考とは、簡単にいうと「観察」→「アイデア出し」→「プロトタイピング(試作・試行)」を迅速に何度も繰り返しながら新たなイノベーションを形づくって(デザインして)いく、いわば「試行錯誤しながら形にしていく」方法論です。 デザイン思考を駆使してIDEOは多くのイノベーションを生み出していきます。

このデザイン思考を学び、取り入れようとする企業も多いようですが、デザイン思考が機能する前提となる組織原理(組織OS)をIDEOが持っていることを忘れて、デザイン思考を手法として導入するだけではうまくいきません。

多様な人材、自由なコミュニケーション、協力的なメンバーどうしのつながり、相互サポ―ティブな組織マネジメント、「いかなる個人より全員のほうが賢い」という共通の価値観・・・。こうしたIDEOの組織OSがあってはじめてデザイン思考は機能するのです。

まとめ

皆さんの会社は、どのような組織OSで動いているでしょうか? イノベーティブな組織をつくるためには、まず組織原理である組織OSをイノベーティブなものに書き換えていく必要があります。

「組織OSの部分から組織をイノベーティブなものにしていく」、これが「組織イノベーション」の基本的な考え方です。