変化が起こらないマネジメント

過日、ある会社の執行役員の方と改革についての論議をしていたら、「何か変えようと会議などで提案すると、部下はまずは否定から入りますよね」と溜め息混じりに語り、「ああ言えばこう言うし、最後は『黙ってやれ!』と一喝してしまうんですよ」と反省ともつかない言い方で嘆いておられました。その気持ちは、私にも実感としてよくわかります。「それでうまくいきますか」と尋ねると、「ダメですね、まったく動かないです」と諦め口調でした。

変化が起こるマネジメント

一方で、かつて改革のお手伝いをしていた会社のある生産管理部長には相談できる部下がいて、特に何か新しいことをやる時は必ず彼に相談していました。部下である彼は、もともと現場の困っていることにていねいに対応していて、現場の多くの人たちからも厚い信頼がありました。
また、その会社では生産改革に取り組んでいる最中でしたが、部長と改革の目的を共有している彼は大きな視野で物事を考えられる人物でした。
彼は、現場で拾った声を部長に伝えたり、部長の考えを自分の思いとともに現場に伝えたりしていました。もちろん、部長に苦言を呈することも少なくありません。部長はそんな彼の意見も大いに参考にして、「いつだれがどんな手を打つか」を決めて、実行していたのです。改革当初は現場に不満が渦巻く悪戦苦闘の毎日でしたが、徐々に現場の自発性も高まり、持続的に現場の知恵で改善が進むたくましい生産現場に生まれ変わりました。

改革を組織に根付かせるマネジメントのポイント

両者のマネジメント・スタイルの違いは明らかですが、そこにはいくつかのポイントがあります。結論からいうとそれは、「個人の自律性の尊重」「改革参謀の活用」「信頼に基づく人のネットワーク」です。
この3つのポイントについて、“改革を組織に根づかせていくためには何が必要なのか”を具体的な事例とともに紹介するシンポジウムを11月12日(金)に東京・青山で開催いたします。詳細は近日中にホームページや当メールニュースなどでお知らせします。奮ってご参加ください。