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目的を理解していても難しい実行プロセス
私が参加したときには、経営革新をめざす企業のケースにおいて、このプログラムを活用した具体的変革プロセスを描く、という課題に取り組んだのですが、興味深かったのは、討議の結果として以下のような実行プロセスを描いたグループがほとんどだったということです。
(1) 社長が変革の方針を示す。
(2) 社長直轄で「経営品質向上推進プロジェクト」を立ち上げ、部門横断的に選出したメンバーが社長方針を実現するための課題抽出と解決策の検討を行なう。
(3) (2)で検討した解決策を現場が実行する。
このやり方はまさに多くの会社が従来行なってきた「トップダウンによる変革プロセス」に他なりません。そこでは経営品質向上プログラムで大切だといわれる「社員の自主性と創造性の発揮」が早々に置き去りにされて、プランにはまったく反映されないということが起こっています。このように、目的としてはその大切さを理解していても、それを実現していくやり方として、自主性を尊重する実行プロセスをつくり出すことに成功している会社は少ないのではないでしょうか。
社員の自発性と創造性を引き出すために、条件を一つひとつ丁寧に整えていく
それは決して簡単なことではありませんし、手間や熱意をかけないで、社員の自発性と創造性を引き出すという難課題を実行する方法があるとも思えません。私たちの場合は、経営層や現場の人たちと一緒に、以下のような条件を一つひとつ丁寧に整えていくことで、それを実現しようとしています。これらの条件が整えば、おのずと社員の自主性や創造性は発揮されやすくなります。
◆経営(上司)への信頼感
◆仲間への信頼感
◆「ありたい姿」の共有
さまざまな経営革新活動を目的にそったものにするためには、「どのようにやるのか」というプロセスを無視することはできません。けれど、「実行プロセス」に目を向けてその質的転換をはかるという点は意外に見落とされている気がします。