- イノベーションや競争優位性を継続的に生み出す組織能力を獲得したい
- 会社として組織開発を導入することになったが、何から始めたらよいかわからない
- 対話やワークショップだけの組織開発に限界を感じており、経営や事業に資する組織開発展開を求めている
- 会社全体に組織開発を戦略的に展開したいが、そのノウハウや技術がない
- ジョブ型雇用やテレワークの進展で新たな組織のあり方への転換が求められている
- M&A後の組織統合や新たな文化構築が大きな経営課題となっている
[対象]人事・経営企画ご担当の方
スコラ式組織開発
〈組織ケイパビリティ開発〉
経営環境の不確実性が増し、変化のスピードが早い時代にあって、2020年代の企業経営には、事業継続のための競争優位性の確保、新たな価値創造を通じた社会への貢献が求められています。
それとあわせて日本でも、持続可能な企業の成長ポテンシャルとして、人的資本、組織資本や組織能力、企業文化といった無形資産に注目が集まり、企業価値評価の対象として重視されるようになりました。
企業価値を高めるための投資の対象は、従来の人材開発にとどまりません。
多様な人材の能力や個性、意欲が引き出され、オープンで創造的なチームワークが発揮される企業にしていくためには、組織開発への投資が不可欠です。
個人能力の開発である人材開発と、個人能力の総和以上の組織の力を生み出す組織開発を両輪で行なっていくこと、これが人的資本経営の基本戦略になります。
これまで日本企業で展開されてきた組織開発の多くは、職場での対話や関係性再構築に活動が限定されていました。これからの組織開発は、「人と組織」を事業や戦略と連動させ、企業全体の能力や価値を高めるものにしていかなければなりません。
ここでご紹介する「組織ケイパビリティ開発(Organizational CapabilitiesDevelopment:OCD) 」は、日本発の組織開発といわれる「企業風土改革」を進化させた戦略的な組織開発です。
コンセプト「組織ケイパビリティ開発」の基本コンセプト
競争優位性の源泉として注目される「組織のケイパビリティ」
地球規模の問題、今日のつながった世界の問題が予期せぬかたちで産業や経済を直撃しています。
この環境変化の波を受けとめ、適応力を高めて持続していくことは、すべての企業にとっての共通課題です。
歴史的にも例を見ない、この難しいVUCA環境下では、多様なリソースを組み合わせて新たな価値を生み出しながら自らを進化させていく組織ケイパビリティを持った企業が、持続可能性と競争優位性を獲得できるとされ、そのケイパビリティの構築と獲得が経営の最優先課題になっています。
「組織ケイパビリティ開発」とは、組織が持つダイナミック・ケイパビリティを強化し、オーディナリー・ケイパビリティを変えること
企業のケイパビリティには、通常の事業オペレーションのための「オーディナリー・ケイパビリティ」と、環境の変化に適応して自らを変化させていく「ダイナミック・ケイパビリティ」の2種類があります。
これらのケイパビリティは、経営者個人の能力、組織が持つ能力、の両方であるとされていますが、日本企業の場合は組織が持つケイパビリティが強みだといわれています。
VUCA環境下で求められるダイナミック・ケイパビリティは、環境変化に適応して新たなビジネスモデルを生み出し、それに合わせてオーディナリー・ケイパビリティを刷新する能力です。
「組織ケイパビリティ開発」は、組織が持つダイナミック・ケイパビリティを強化し、オーディナリー・ケイパビリティを最適化していく戦略的な方法論です。
“個人能力の総和” 以上の能力を生み出すシステム=組織
そもそも組織とは、一個人ではできないことをチームワーク、協働で生み出し実現するための〈創発と協働〉のシステムです。
組織の中では、常に「個人の能力」を引き出し、その総和以上の「組織の能力」に変えていく、さまざまな機能が働いています。たとえば、コミュニケーション、協力の関係性構築、めざすものの共有、役割の分担、それらを促進するマネジメントなどです。
これらの機能が効果的、相乗的に働けば、個人の能力の総和以上の組織能力が発揮されます。逆に、必要な機能が不足している、あるいは相殺的に機能していれば、個人の能力も生かされず、組織全体の能力も低下していきます。
組織ケイパビリティの源泉は「協働プロセス」にある
こうした組織の能力を左右する機能は、具体的には、協働のために行なわれる個人間の情報のやりとりや、現状認識のすり合わせ、目的の共有、役割の確認、モニタリング、フィードバックなどの相互行為によってもたらされます。
これらの相互行為は「協働プロセス」または「組織プロセス」といわれます。
組織論の父と呼ばれるチェスター・バーナードや組織化理論を提唱したカール・ワイクは、組織の構成要素を「個人」ではなく、こうした「個人間の相互作用」すなわち「協働プロセス」であるとしています。
こうした原理に基づき、組織ケイパビリティ開発では、組織の構成要素である「協働プロセス」にまで範囲を広げ、その機能を高めたり、欠落したプロセスを新たにインストールする、あるいは相互行為の仕方を変えるといったことを通じて、組織のケイパビリティとパフォーマンスを高めていきます。
人的資本価値を高める2 つのアプローチ
これまで日本の多くの企業では、優秀な人材の確保や人材育成など個人の能力にフォーカスした人材戦略をとってきました。
しかし、組織は単なる個人の集合体ではありません。組織には個人の能力を引き出し、それらの総和以上の組織の能力に変換する「協働プロセス」が働いています。
特に、エンゲージメントのレベルに大きく左右される人的資本の価値を高めるためには、人材確保や人材開発だけでなく、多様な人材の能力を組織の能力に昇華させていく協働プロセスにも注目し、組織ケイパビリティ開発をあわせて行なうことが重要です。
プロセス「組織ケイパビリティ開発」のプロセス
組織の最小単位「チーム」のケイパビリティを高める
組織ケイパビリティ開発は、組織の最小単位である2人以上からなる「チーム」を焦点に、その能力と機能を高めていくアプローチが基本です。
チームワークが機能するために必要な一連の協働プロセス、コミュニケーション、相互信頼関係の醸成、現状認識の共有、めざす目的の共有、克服課題の選定、役割の相互認識、行動のシンクロナイズと連携、相互支援などを、チームメンバー自らが実際にチームで思考・行動しながら修正、機能アップしていきます。
こうした一連の協働プロセスをチームワークのルーティンにしていくのが〈創発型チームワークサイクル(the Emergent Teamwork Cycle:ETサイクル)〉です。
これは、新しいコトやモノを生み出し、チャレンジによって変化し続けるチームの基本的な行動のサイクルです。このサイクルを連続して経験することによって、チームのルーティンに「創発的な協働行動」が定着していき、チームメンバー間の信頼関係やチームワークレベルもスパイラルアップしていきます。
あらゆる階層、職場のチーム能力を高め、そこで創発された新たな動きや変化をつなぎ、連動させて企業全体のケイパビリティにしていく
経営幹部チーム、ミドルマネジメントチーム、各職場チームで〈創発型チームワークサイクル〉が日常的に回り始めることで、そこから新たなモノやコトが創発され、変化が生み出されます。
こうした新たな動きや変化をつなぎ、連動させていくことで、チーム能力の総和以上の企業のケイパビリティが発揮されていきます。
このように組織ケイパビリティ開発は、
①各チームのチームワーク機能を高める〈創発型チームワークサイクル〉のチーム学習
②チーム間の連携や協働を促進してより大きな組織能力にしていくプロセスデザイン
という2つのアプローチで企業全体のケイパビリティを高めていきます。
サービスの特徴「組織ケイパビリティ開発」の特徴
- 特徴01チーム単位の取り組みとそれらを全社展開に広げる〈組織技術〉を伝える
- 特徴02日常業務の中で〈創発型チームワークサイクル〉を実践・習得するOn the Job Learning(OJL) 方式
チーム単位の取り組みとそれらを全社展開に広げる〈組織技術〉を伝える
組織ケイパビリティ開発には、経営幹部チームやミドルマネジメントチーム、各職場チームにおいて〈創発型チームワークサイクル〉を新たなルーティンにする取り組みと、それらの動きを促進し、動き同士の連携やシナジーを組織全体に広げて企業のケイパビリティ向上につなげる戦略が必要です。
ご紹介するプログラムでは、取り組みを「自分たちのもの」にし、自律的に発展させていくために必要な〈組織技術〉を標準装備としてトランスファーします。
日常業務の中で〈創発型チームワークサイクル〉を実践・習得するOn the Job Learning(OJL) 方式
これらのプログラムは、【On the Job Learning(OJL)方式】を基本としています。
チームが抱える課題への取り組みを通じて、創発的な協働行動とプロセスを学び、〈創発型チームワークサイクル〉を定着化させていきます。
【OJL方式】のプログラムは、
①組織ケイパビリティ開発やチームワークに必要なプロセスの理解(知識学習)
②シミュレーション(体験、演習)
③職場実践(試行錯誤、身体知化、ルーティン化)
を基本構成にしています。
支援事例
大手電機メーカーA社様:全社組織開発展開
会社概要
業種 | 大手電機メーカー |
---|---|
年商 | 約8兆円 |
連結従業員数 | 約27万人 |
1.抱えていた課題
- 経営ビジョンや事業戦略を実現すると同時に社員が働きがいをもてる組織を、自分たちでつくっていく組織開発のノウハウを獲得したい。
- 自社が保有する事業、人材、知識、技術など多様なリソースを活かした新たなイノベーションを生み出し続ける組織や企業文化を構築したい。
- 対話やワークショップなど組織開発的な手法の単発的な導入だけでは大企業は変えられない。戦略的、システマティックに企業を変える能力を獲得したい。
2.支援内容
- 全社推進体制の整備(事務局体制、経営層の理解とスポンサーシップ確保)
- 組織開発の意味付けと社内コンセンサスの形成
- 職場マネージャー層への組織開発リテラシーの普及(マネージャー層向けeラーニング、研修の開発)
- 組織開発スキルを持った人材の養成 (組織開発実践者養成プログラムの開発)
- 上記全社向け施策のほか、事業部単位での事業戦略に合わせた組織開発展開
3.成果
- 当初担当者1名でスタートした組織開発展開も、全社経営における組織戦略として位置づけられ、全社事務局を中心として各カンパニー・事
業部専任事務局体制の構築が進められている。 - 事業部単位での展開では、それぞれの事業戦略に合わせた組織開発の取組みが行なわれ、モノづくり品質の向上、両利きの経営戦略実現のた
めの組織構築など、具体的な事業・業績面での成果に結びつけた展開事例が広がっている。
関連する支援実績
担当プロセスデザイナー
三好 博幸
HIROYUKI MIYOSHI
体質問題を、「風土・体質=組織のソフトウェア」という観点から構造化し、大組織の変革をシステマティックに展開していくアプローチの開発に取り組む。
〈人的資本経営と組織戦略を考える〉② 人材開発と両輪で進める「組織開発」~新たな経営課題に自己変革で対応し…
塩見 康史
YASUSHI SHIOMI
人間や事業についての幅広い知識を駆使して、お客様と一緒に本質的な課題を多元的な視点から洞察する。バラバラで混沌とした状態から創造力豊かな仮説を構築する。
心理的安全性をつくる秘訣は「小さなアクション」の習慣化にある
水迫 洋子
YOKO MIZUSAKO
組織開発に関わる実践者のコミュニティであるODNJの理事・事務局長を務め、組織開発が当たり前になる社会を目指し、活動中。
本当のダイバーシティ
木原 玲子
REIKO KIHARA
業績的成果と働きがいの向上を狙うには個人の能力を引き上げるだけだと限界がある、と感じて組織風土改革を専門領域とする。本領発揮の条件をクライアントと一緒に試行錯誤しながら、つくり込んでいく。
「人のバリューチェーン」で顧客価値をつくり込む (後編)~ 「つなぎ」の機能を高める部門間のバトンパスワー…
神田 卓
SUGURU KANDA
プロセスデザイナーとして、かつての自分のように「閉塞感」を感じながらも「現状維持」になってしまいがちな組織や個人の支援を得意とし、そこから一歩踏み出すきっかけを共に育めることにやりがいを感じている。
自由に意見を出し合う場の収拾に困ったら!対話のモードを切り替える「チェックナウ」
よくある質問
組織開発の経営的な意味や必要性に関して経営層の理解を得る段階から相談にのってくれますか?
組織開発展開の目的や意味について社内のコンセンサスをどうつくっていくかが展開開始時には最も重要かつノウハウが必要なポイントとなりますので、そのプロセスづくりからご支援します。
なるべく自分たちで組織開発を展開していきたいのですが、そうした知識や技術を高めるコンサルティングをお願いできますか?
組織開発の基本は「自分たちの組織は自分たちで良くしていく」ということですので、そういう能力を獲得し、高めて頂くことがスコラ・コンサルトのご支援の中心になります。また、社内の事務局や組織開発実践者を養成するプログラムも取り揃えていますので、ご相談ください。
組織開発の取り組みは大体どれくらいの時間がかかりますか?
対象とする組織規模や成果定義、組織メンバーの方のコミットメント度合いにより異なります。
大企業の事業部レベル(数百人~千人規模)であれば、早ければ数か月後に 組織の変化が感じられ、経営や事業面での成果が認識できるようになまでに1~3年くらいというのが一般的なイメージです。