活動を後押しする上司のスポンサーシップ
CSマン活動をどうとらえ、どのように応援されているのですか。
CSマン活動は、メンバーが自分たちで考えてリスクをとって行動を起こしている。そして、マーケットの声を聞き、マーケットに寄り添う仕事のしかたにチャレンジしている。だから、その精神やめざす姿を何よりも大切にしたいと思うのです。
こういう活動は、所属元の上長に活動の意味を理解して応援してもらわなければ持続しません。
たとえば、メンバーが業務時間内に安心してお客様のところに行けるような環境をつくる、といったことが必要になってきます。
幸いにしてCSマン活動については、いい意味でのPRができていて、他の部に知ってもらうためのパンフレットもつくることができました。本当にありがたいことに、社長自らがパンフレットを配って回ったり、幹部会議でも「発表したらどうか」などと後押ししてくれたりしたので、メンバーも前向きになれているのではないかと思います。
もちろん幹部や組織長は全員が活動のことを知っていますし、社長も活動成果を発表する改善大会に顔を出してエールを送ってくれました。社員のことを素直に認めて、素直にいいものはいい、悪いものは悪いということを伝える。社長が社員を盛り上げようと気遣いをしてくれているんですね。
ある意味、これがスポンサーシップになっているのだと思います。
階段を昇り降りして失敗もする「プロセス」が大事
活動を通じて変化を感じることは?
みんなのフットワークがよくなってきており、チームで頑張ろうとしています。
活動の期ごとに特色がありますが、全体としてメンバーが着実に成長しているし、やりがいを感じてくれているなと肌で感じています。
メンバーが自ら考えることを大切にする、任せることへの葛藤や悩みはありますか。
上司としては、過去からの流れや全体の位置づけなど大局的に見て問題がないかどうか、大きなリスクマネジメントをすることが大事だと思います。
細かく指示してくれる上司と任せてくれる上司、どちらも結果はそんなに変わらない。優秀な人間を集めたら成功するかというと、そうでもない。人の能力や本質はそんなに変わらないんですよ。
むしろ、メンバーが自分たちで考えて行動できる、安心・安全な環境をつくることが大切です。それがあれば能力を十分に発揮できますから。
コストを1割カットするよりは、生産性を1割上げることのほうがはるかに重要だと思っています。
CSマン活動にどんなことを期待されますか。
一歩ずつ、目の前の階段を登っていくことが重要だと考えています。成果を求めるのではなく、活動のプロセスが大切なんです。階段を昇り降りするプロセスに重きを置くべきで、目標や受注率などを定める必要はないと思っています。
結果として「前期よりもいい活動でした」となればいいし、数字が出なくても、そこで失敗したらそのほうがよっぽど学ぶものは大きいかもしれません。
よく活動に弾みをつけたいがために、活動を見える化してPRしようとか、経営として認めようとするのですが、プロセスを通じて人が成長することを考えるなら、そうしてはいけないと思っています。
ただ成果には、「経営に直結する成果」と「その成果を産むためのリソースや武器をつくるための成果」の2種類があります。私は、CSマン活動は武器をつくるための成果だと割り切っているんです。
前者は後者のあとからついてくるもの。本当に大事なのは成果を出すことでなく、武器をつくることによって自分たちが成長すること。それが結果につながっていくのだと思います。それを言い続けることが上司としてのスポンサーシップだと思っています。
CSマン活動のメンバーに伝えたいことは何ですか。
「CSマン活動にチャレンジできるという素晴らしい環境がある」ということですね。
自己研鑚研修はあるかもしれないですけど、それらはマニュアル的な研修。自分で計画を立てて、自分でやりながら成長できる研修ってまずないですよね。失敗してもいいような研修ってないじゃないですか。
ボランタリーかもしれないけど、やるからにはこのフィールドを思いきり有効活用してもらいたい。
自分に足りないものは自分が一番よくわかっているはずだし、自分のやりたいこと、どうすればいいかということも人それぞれに違うから、「こんなことをやりたい」と一人ひとりが計画して実践してもらえればいいと思っています。いい子にならず、そういうチャレンジングな取り組みを期待しています。