“モヤモヤした”問題意識を自由に出し合うのがオフサイトミーティングの特徴

最初の段階では、「言ってもいいこと」のハードルを下げて、日頃感じている「おかしいな」「なんだかしっくりこない」などの“モヤモヤした”問題意識を自由に出し合うのがオフサイトミーティングの特徴です。通常の業務上の会話には乗ってこない多様な情報ができる だけ引き出されるような状況をあえてつくる理由は、それによって参加者どうしの相互理解を深めるためだけではありません。問題に対する視野が拡がり、それをさらにみんなで議論しながら深く考えることによって、問題の本質への「いい気づき」が得られる可能性が高まるからです。
自分の頭で考え抜いた末に生まれる「ここが問題なんだ」「これが大事なんだ」といった気づきは、今までとはまったく違う問題解決への糸口の発見でもあります。そこに、最初の段階で十分時間をとってモヤモヤを出し切ることの重要な意味があるのです。

肝心なのは、せっかく生まれた問題意識と気づきをもとにして実際の改善や解決につなげていくこと

冒頭の質問について詳しくお話を聞くと、どうも「オフサイトでは、ありのままに聞き合うことが大事だから、出てきた問題を整理してはいけない」というふうに考え、そのことが議論の進展を妨げているようです。せっかく「何かが変えられるかもしれない」と高まったエネルギーが減退していくのは惜しいですよね。

結論からいうと、「問題を整理してはいけない」ことはありません。肝心なのは、せっかく生まれた問題意識と気づきをもとにして実際の改善や解決につなげていくことです。
そこで、私たちが支援の現場でよく使う問題解決の方法の中から、二通りをご紹介しましょう。
まず、問題の要因に応じて整理する方法です。さまざまな問題の要因を次の3つに分けてみます。

○個人の「意識」によるもの
○職場の常識・慣習など「環境」によるもの
○会社の「制度」によるもの

このような整理のたたき台をコーディネーターが示したうえで、これまで出てきた問題の要因は何か、と深く掘り下げることによって、問題の本質が見えてくることがあります。そうして明らかになった本質的な問題を克服するために、自分たちで課題を設定していきます。

何から手をつけていくのか、誰が何をするのか、を具体的に検討

もう一つは、設定した課題への取組み方に応じて整理する方法があります。

○自分の思い込みをはずせば変えられること
○他者と協力すれば取り組めること
○自分たちだけでは解決が難しく、本社や経営へのはたらきかけが必要なこと

さまざまな課題を設定したあとには、では何から手をつけていくのか、誰が何をするのか、を具体的に検討していきます。取り組む当事者全員でこのような思考のプロセスをたどっていきます。

コーディネーターや事務局の方にとっては、参加者の自由な話し合いの確保《=拡散》に傾注してオフサイトミーティングを進めてきただけに、問題整理・解決《=収束》のステップにいつ切り替えればよいのか、不安ではないかと思います。
そんなときは、参加者が“モヤモヤ”を出し切って、問題解決をしたいという気持ちになっているかどうかをよく見極めたうえで、前述のような整理の枠組みを示しながら、「そろそろ問題を整理してみませんか」と参加者に投げかけてみたらどうでしょうか。私も、次に進めるか、もう少しじっくり話し合いを続けるかについて参加者一人ひとりに意見を聞き、相談して決めるというやり方をします。

ぜひ、タイミングをみて問題の整理を促し、参加者が問題解決のステップを進んでいくことの手助けをしてみてください。