これらの問題は、たしかに噴出したのは昨年である。しかし、注意しておく必要があるのは、問題が発覚したのが昨年だったというだけで、もともとずっと前からそういう状態は続いていたのだ。昨年急に始まったわけではない。今まで隠れていたものが臨界点に達し、隠していられなくなって顕在化してきたのが2007年という年だったのだ。
時代の変革期には、今まで隠されてきた社会の矛盾がまさにこのような感じで出現してくる。だから、こういう状況はこれからもしばらく続くに違いない。

今まで隠されてきた社会の矛盾

問題があってもそれを隠してしまおうという力が強く働いている組織は、進化から取り残されていく。公務員の世界や公共事業体の世界、問答無用の独裁体制が当たり前になっている企業などは、こうした危険性を抱えている組織である。
問題を顕在化し、その解決のサイクルを回していく機能が働いていない組織は進化していかない。トヨタが強さを保っているのは、この問題解決のサイクルがまがりなりにも回り続けているからである。

組織の至るところで問題の解決がなされているのが当たり前の状態を早くつくらないことには、変革期を乗り越えることはできない。バブル崩壊後の混迷期がこんなにも長く続いたのは、まさに組織が進化していなかったからなのだ。日本が再び国際社会の中で輝きを取り戻す、いや、本当の意味で輝くためには、問題解決の機能を組織の中に組み込んでいく努力を避けては通れない。

日本が本当に変わっていくためのサポート

私たちスコラ・コンサルトの取り組んでいる風土・体質改革というのは、まさにこの問題解決の機能を組織の中に埋め込んでいくお手伝いである。考えることをやめ、「手持ちの対応策から選んで当てはめてさばく」ことが仕事になってしまっている人々に、考え抜くことの難しさとその喜びを取り戻していくお手伝いである。
日本が本当に変わっていくためには、このようなサポートを仕事にする存在が少なくとも今の数十倍は必要だと思う。組織の中にこうした真の問題解決の力を育てていく努力を一緒にしていく仲間を増やすことが、今年の大きな課題だと考えている。