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働き方も多様性を増してきている
現在は、グローバル化、企業統合、事業再編、ダイバーシティ、多様な働き方、中途採用といったキーワードが飛び交うような時代です。
出身母体の違う中途採用者や雇用形態の異なる社員が職場メンバーに加わり、異なる企業文化で育った社内外のメンバーとオープンに仕事をするケースも増えています。さらに社員も多国籍になり、その働き方も多様性を増してきています。
たとえば、ある大企業では、何かを決めるときの判断軸として「○○らしいか?」(○○とは企業名)をよく上司から問われるそうです。
しかし、他の業界や他企業から来た途中入社者にしてみると、「これは○○らしくない」と言われても、あいまいすぎてなぜ否定されたのかがわかりません。「○○らしいとは具体的にどういうことなのか?」という戸惑いの声がよく聞かれます。
同じ組織文化で育った人間には、長年のうちにしみついた感覚や常識があるため、「何がうちの会社らしいのか」の判断はつきやすいもの。
でも「当たり前」が異なる外様人材には、「○○らしさ」がそもそも言葉として通じないのです。
構成員の変化に伴って、多様な価値観や常識が流入してくるこれからの組織。会社が大きなチームとして動いていくためには、「らしさ」や「理念」のような判断基準を共有したうえで、個々の視点や意見を生かすことが大事になってきます。
「違いを尊重し合う」文化はどのようにして醸成されるのか
もっと別の角度から「ダイバーシティ」を考えさせられる出来事がありました。昨年の秋、約80カ国から組織開発に関わる人たちが集まる世界カンファレンスに参加したときのことです。 他国の参加者にはもともと「一人ひとりの個人は違って当たり前」という認識があるためか、各テーブルで対話を始める前に「自分が人からやられて嫌なこと」を互いに出し合ってから本題の対話に入ります。 まさにお互いの違いにアンテナを立て、「違いをリスペクトしてコミュニケーションする」ことを普通に行なっているのです。
こうした「違いを尊重し合う」文化はどのようにして醸成されるのでしょうか。ある人からダイバーシティ国家と言われるオランダについての興味深い話を聞きました。オランダでは初等教育の中に「ケンカの仲裁方法」のような授業があり、 「一人ひとりに違いがある」ことを前提に「立場の違いを乗り越える」といったことを、子どもの頃から実践的に学んでいるというのです。教育システムも個々の能力や資質、本人の希望によってさまざまな選択が可能で、留年も小学校の段階で、本人や保護者の希望によって決めることができるのです。
その背景には「一人ひとりの学びのペース、興味関心、特性は異なる」という認識があります。社会全体が、個々の違いを尊重して個人を伸ばしていくことを大事にしているからなのでしょう。
まさにダイバーシティの本質は、性別や年齢、国籍の違い云々の話ではなく、「そもそも人は一人ひとり違うのが当たり前」という前提に立つことではないかと思います。
同時にそれは、表面上の差異はあっても「されど同じ人間」といった“人という共通性”に、まず真摯に向き合い、受け入れていくことでもあるのです。