役場の職員が町民と一緒に協力していくきっかけ

昨年度はちょうど合併10周年にあたり、町では各種の記念事業が行なわれました。そこから、町民の方々の未来につなげる取組みに刺激を受けて、役場の職員が町民と一緒に協力していくきっかけをつくり、さらに前に一歩進んでいく(М1)改善につなげることをねらいとして開催されました。発表事例には、職員が「町民にとってどうか」を考え、いい行政経営をめざして行動を変革し、自らの業務を創意工夫で改善することによって成果につながった取組みが選定されています。

ただし、職員は日々地域や町民のことを必ずしも身近に感じながら仕事をしているとは限りません。職場によっては、役場内の事務仕事で終わっていることもあります。
発表事例には、会計課で倉庫の整理整頓をしたという事例などがありました。それでも、このような職場の環境づくりが、その先にある地域に役立つ仕事のもとになっているので、職員の資質養成には欠かせません。

経営方針の項目に沿った3部構成の発表

役場では、毎年町長が立てる「町長経営方針」のもとで、各課長が「課長経営方針」を立てて課を運営しています。
そこで、改善事例も、経営方針の項目に沿って「重点取組み」「業務の円滑な推進と改善改革」「職場の活性化と人材育成」の3部構成で発表されました。

建設課からは、多くの市町が外部に委託している橋梁の点検業務を、人材育成の視点で職員が自ら道路管理実務者(橋梁初級Ⅰ)の資格を取得することによって経費削減するという取組みが紹介されました。
教育委員会からは、駅伝の選手集めやコーチ体制の強化に関する業務改善の取組みが発表されました。

そして、最後に発表されたのは、防災課と福祉課が連携して取り組んだ健康体操でした。南伊勢町は、高齢化率が県内一高く、南海トラフの地震被害が懸念され、「安全安心を実現し、希望をもち誇れる南伊勢町」という町のめざす姿が掲げられているため、重点取組みになっていたのです。
取り組むプロセスには数々の業務改善が込められていました。
そして、「えがおで」「るんるん」「がんばりすぎずに」「あつまろう」という言葉の頭文字と「エルダー・ガード(老化防止)」の意味から「えるがあ教室」と名付けられたように、壇上には約20人の高齢者たちが参加して、笑顔で元気いっぱいの体操を披露してくれました。
まさに町民とともにつくりあげる町の姿が見えました。

会場は町民文化会館で、休憩スペースには、高校生がカフェを設置していました。職員による発表後は、招待事例として、南伊勢高校から防災持ち出し用「Myゼロパック」の取組み事例も紹介されました。

地方では、「地方創生」の流れから「総合戦略」が策定され、今後は成果指標の達成率が測られるようになってきますが、結果を変えていくためには、プロセスから変えていくことが必要です。
そのプロセスも、今や行政職員だけがつくる時代ではなくなっています。地域の住民と協働して事業を推進していくことが増えてくれば、業務や事業の改善もまた住民とともに進められるようになってくるでしょう。
そして、改善発表会もまた、地域にオープンに設営され、住民と協力して発表されるやり方が増えていくことになりそうです。

南伊勢町の改善発表会に関する過去のコラム