変わるきっかけ

Aさん自身、オフサイトミーティングという議論の場や、話を聞いてくれ、いろいろなことに気づかせてくれる外部プロセスデザイナーという第三者がいなかったら、自分が変わるきっかけはつかめなかったと言う。
しかし、まずAさん自身の中に、「何とかできなかったら辞めよう」と覚悟して上司と正面から向かい合う、といった行動を取るだけの強い問題意識や思いがなければそうはならなかっただろう。
もともとAさんには、「こんな状況で本当にいいのか」と感じる気持ちの裏側に「こうなったらいいな」と願う「ありたい姿」があり、その思いと現状とのギャップの中で強い問題意識が不満となって現れていたのである。

不平不満にも種類がある

不平や不満の類いにも、Aさんのように前向きな行動に変わり得るエネルギーをもっているものと、いつになっても外野から野次を飛ばしているだけの傍観者的なものとがある。その違いを考えてみると、自分の中に「こうありたい」という思いを持っているか、さらに自分が問題解決の当事者になろうとするかどうか、が大きなポイントではないかと思う。
それは外からは簡単には見えないだけに、Aさんのような問題意識を持つ人が前向きに行動しようと思えるきっかけになるような、エネルギーを引き出す「話し合いの場」が大切なのである。