相手の意見の背景を聴く

私は、その可能性を「対話」に見いだしている。「対話」の大切なポイントは、「相手の意見の背景を聴く」ということだ。

業務上の会話は相手の意見を聞いて、それに同意するか、自分の意見を述べて意見を戦わせるかにとどまる。この姿勢によって企業の多くの場所で、力を持つ人の意見への建前での賛同や、効果を生まない妥協案が生み出される。多くの人のコミットメントが伴っていないこのような決定は、実現されないことが多い。そして、いい結果をもたらさない決定は、不信頼の壁をますます高くしていく。

表に出てくる意見というのは、その人が思っていることの一部分でしかなく、「なぜ相手がそんなことを言っているのか」「その背景にはどんな事実や経験があるのか」を深く聴くことなしに、その意見の本当に意味することを理解するのは難しい。

相手の話の背景を聴いていく勇気と努力が必要

協力が必要な人との間に壁を感じている人には、相手の話の背景を聴いていく勇気と努力が必要だと思う。この時、自分と違う意見に対するいらだちや「なぜ」と問うことに対する恐れを感じるかもしれない。しかし、そんな聴き方を自ら行なう人が増えることによって、組織の中の壁は少なくなり、目に見えないつながりが生まれ、組織に変化が現れてくるのだろうと私は感じている。