1年で起こった変化

1年前にお邪魔したときに、「こんな会社、変わるはずがない」と言っていたコアメンバーが「世界一の工場を目指すんだ」と熱く語る表情と、かつては被害者意識が強かった現場の方々の前向きな姿勢に驚きました。そして今回お邪魔して、現場の知恵が込められた治工具類や仕事のやり方、自信を持って自分のラインや改善について話してくれる社員の方々の姿に、さらなる進化を感じました。
もちろん業績指標は大幅な改善が図られています。親会社でも改革は進んでいるのですが、今では子供が親を上回る高生産性を実現しています。どこまで進化するのかと思えるほど、勢いよく変化しています。

「変わり続ける会社」に変わっていくプロセス

企画部門が机上で構想をつくり、膨大で綿密な改革計画を立て、上からの指示命令によって現場に機械的に実行させていくことはしていません。
トップからボトムまで立場を離れた「思い」のあるメンバーが、密度の濃い対話を通じて目指す方向・目標を共通認識として持つ。
それに向かって改革課題を見つけ、解決への構想を練る。実行にあたっては必要なキーマンに働きかけて、できるところから手をつけていく。うまくいけば他の部門やプロジェクトに展開したり、さらに難度の高い課題へと取り組みを進める。ダメならば、そのときは別のやり方を試してみる。自分たちだけの限界が見えたら外部に知恵を求めることもします。改革課題は、製品戦略に関わるような経営マターや、部品在庫を削減するといった業務課題まで大きさも種類もさまざまです。

もちろん、そこまでの道程は決して平坦ではなく、組織の秩序安定を維持しようとする力に揺さぶられ、コアメンバーの心の葛藤には相当なものがありました。しかし、仲間や上位者との信頼関係に支えられて、そういった壁を乗り越え、自分たちで考えて実行するプロセスを体験してきました。そのプロセスによって学習・変化のサイクルが高速回転し、結果として、個人が成長し、組織も強くなっていくのです。

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