職員が健康でイキイキ働けているか

行政職場では、かつて公務員の働き方として「休まず、遅れず、働かず」と言われていた時代がありましたが、今では大きく様変わりしています。行政改革が進み、コスト削減により組織内の定数が削減され、職員の担当する業務は増える一方です。一人ひとりがかなり余裕をなくして仕事をしている状態にあるのではないでしょうか。

だからこそ、業務改善など効率化を進める必要があるのですが、実際にはそれが追いついていない。誰か一人でも職場で病欠が出てしまうと、それをカバーするためさらに多大な負担がかかり、元気だった人さえもバテてしまいかねない状況です。

職場の上司には、いかに職員が健康でイキイキ働けているか、健康状態に目配り、気配りをしておくことが欠かせなくなっています。
特に、今の職場は正規職員のほか、非正規の臨時職員や派遣職員、退職後の再雇用者など、多様な雇用形態の職員で構成されるようになりました。同じ「公務」に従事していても、仕事に対する向き合い方や働き方、働きがいやライフスタイルにはずいぶん違いがあるものです。周りから見て「これぐらい」と思えることでも、本人にとってはダメージになっていることがあるかもしれません。

また、パワハラやセクハラ、個人情報の取扱いも厳しくなっています。個々の様子を容易に聞き出しにくいことが、昨今のマネジメントの難しさにもつながっています。一方、職場での飲み会も、年に幾度か数える程度であり、職員どうしが横のつながりの中で何気なく気づく機会は減っているようです。

健康面でのヒアリングをベースにふり返りをする

そこで、お勧めしたいのが、上司と部下の間で実施する “健康面談”です。

健康は、世界保健機関の前文に「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態」と定義されています。
職場であれば、毎日元気に出勤しているか、仕事をきちんとこなすことができているか、業務を通じて把握できる側面だけではなく、生活全般においても無理をしていないか、ゆっくり睡眠を取れているか、偏った食事をしていないか、適度な運動をしているか、家庭や地域、職場の中で孤立していないか、対応に困ったときに相談に乗り、助けてくれる人はいるかなど、精神面や人との関係性からも健康を管理しておくことが大切です。

このことについて上司と部下があらためて時間を取り、しっかり顔を合わせてケアしていくことは、職場のマネジメントにおいて貴重な時間となるでしょう。

地方自治体では、地方公務員法の改正により、平成28年度から全国すべての自治体に人事評価制度が導入されるようになりました。これは、能力評価と業績評価を行ない、給与にも反映していく流れにあるものですが、目標は組織の上から与えるだけでは成り立ちません。一人ひとりの職員が業務と向き合う「現場」の仕事に体力、気力、能力を注ぎ込める健康状態があればこそ、目標に向かって進んでいくことができるのです。

年度半ばのこの時期に行なう人事面談は、目標と現実のギャップを見定め、年度後半に向けてそのギャップを埋める対策を練っていくことにねらいがあります。そこでは、いかに正しく実態を把握し、上司と部下が腹を割って今後の相談をし合えるかが重要なポンイトとなります。面談にあたっても、健康面でのヒアリングをベースにふり返りをしていくことが、個々の健康面にも配慮しながら年度後半の目標達成度をアップすることにつながることでしょう。

なお、面談後、年度後半に向けて人材育成の働きかけをするにあたっての内容は、以下でご紹介していますのでご参考ください。

 

▼月刊『地方自治職員研修』 2014年11月号
【連載】職場のPDCAマネジメント実践講座
「仕事の中でぶつかる壁を乗り越える人材に育成する」