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「こうしなくてはならない」という行動様式が強い枠型
「枠型経営」の特徴としてわかりやすいのは、よく“金太郎アメ”と表現されるお役所仕事でしょう。誰が出てきても同じようなことを言い、同じような対応をするマニュアルどおりの行動に対して、そういう言い方がなされます。
しっかりとしたマニュアルがあること自体は悪くありませんが、ビジネス環境が急激に変化しているにもかかわらず、マニュアル依存の対応だと、市場や社会の変化に取り残されてしまうのです。
このようなケースでは「こうしなくてはならない」という行動様式が強い枠となって社員の行動やあり方に縛りをかけています。そして、この枠を外れた行動をとることは許されないのです。
たとえばマニュアルで決められたことに対しても「なぜそれが必要なのか」という目的や意味などが問われることはありません。それは外してはならない枠として存在しているのです。
自分で考えて動くときに使われる判断基準が軸型
これに対して「軸型経営」では、集団が大事にするものを軸としてしっかりと共有したうえで、一人ひとりが自由に考えて行動します。
軸とは「これをなくしたら自分たちではなくなる」というほど会社が大事にしているもの、「自社はこういう存在でありたい」という経営の強い意志でもあります。
軸は、現場の誰にとってもわかりやすいものである必要があります。 なぜなら軸というのは、社員一人ひとりがそれぞれの現場で、会社の代表として自分で考えて動くときに使われる判断基準だからです。
その意味でビジョンやスローガンのような抽象度の高いイメージではなく、一人ひとりが現場で判断に迷ったときにブレないようにするための実用的なものなのです。
時代の変化とは無関係の枠に縛られた組織なのか、それとも価値軸という同じモノサシを持って自由に動き回ることができる組織なのか。 変化の激しい時代を生きていくという意味では、この両者には決定的な違いが生まれます。
何を原動力にして成長していくのか、自分で考える当事者を現場にどれだけ増やせるかが、会社の生き残りにとって決定的な要素になってきているのです。
こうした「軸型経営」の代表格といえるのがヤマトグループではないかと思います。
「サービスが先、利益は後」という明快な軸を持っ て「全員経営」を行なうヤマトグループの人材育成をテーマにした本、『クロネコヤマト 人の育て方』がこのたび出版されました。
ぜひご一読いただければと思います。