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学ぶことは変わること
私も今年一年をふり返ってみると、思ったとおりにうまくできたことからも、できなかったことからも、何もしなかったときに比べるとはるかに多くのことを学んでいること、そしてそれらの経験を通じて、昨日と違う新しい自分がつくられていることに気づきます。
だからこそ、今、自分の中でどのような変化が起こっているのかをきちんと感じ取り、効果的に身につけていくことが、明日起こる新しい出来事にチャレンジするために大切だと思っています。私は、このことを「学ぶことは変わること」という信条にして、いつもふり返ることを忘れないようにしています。
「自ら考えて、動き出す」職員をどう増やしていくのか
例えば、毎日のように景気後退のニュースが飛び交っています。暗い話題ではあるものの、その反応のスピードは以前と比べて飛躍的に速くなっているように感じられます。80年前の世界恐慌、円高不況、バブル崩壊などの教訓や、ITの進化、ビジネスのグローバル化、雇用形態の多様化など、様々な時代に対応した経験が、この新しい危機を乗り越えようとする反応の速さにつながっているのではないでしょうか。対策の中身(コンテンツ)の良し悪しを語る前に、この対応力(プロセス)の進化に目を向けてみると、困難を乗り越える力が湧いてきそうです。
自治体においても、企業の法人税収の減少を見込んで、いち早く予算の見直しを進める動きが出ています。私たちが支援しているある行政組織では、目先の財政問題を処理するだけではなく、このピンチをきっかけに、政策を優先づけてとらえる戦略思考を高めようと、経営幹部が戦略オフサイトミーティングを始めることになりました。この動きは、自治体改革や行政改革が、制度やシステムなどハードの仕組みを構築する段階から、ハードを有効に使いこなしていく体質を強化する段階に進化していることを表しています。
拙著『どうすれば役所は変われるのか』に、下記のような問いかけをしています。
「あなたの自治体に改革は必要ですか」
「あなたの役所では改革をやっていますか」
「あなたは改革をどれぐらいやっていますか」
まさにこれからは、組織レベルの改革から、「自ら考えて、動き出す」職員をどう増やしていくのか、職員レベルの改革に軸足が移ろうとしているのだと言えるでしょう。今年をふり返りながら、上記の問いかけを自組織に、そして自分自身にしてみてもいいかもしれません。
しかし、自分一人ではなかなか「変わる」ことは難しいものです。
「今どんな状態にあるのか」「何を目指して変わるのか」「何から変えていけばいいのか」、これらの解を見出していくためには、一緒に語り合い、困り、考えて、力を合わせていく仲間が必要です。
私たちスコラ・コンサルトのメンバーも、全国で改革への想いをもつ皆さまの仲間であり、また、その職員の方々に支えていただいていることに感謝しながら日々の支援活動をしています。
来る新しい年も、皆さまと一緒に考え、仲間を増やし、改革や改善の実践に向けて、新たなチャレンジをしたいと思っています。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。