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何が制約条件になっているのか
今、公共組織の皆様は、行政改革や顧客満足度向上などの推進に向け、さまざまな取組みをされています。また同時に、財政赤字や人員削減、住民サービスの向上、クレーム対応、コンプライアンスなど、山積する課題の対処にも、日々取組まれています。それらの取組みは、なぜ、思うような動きや成果に結びついていかないのでしょうか。
なぜ改革の方針が浸透しないのか、どうすればよいのかという点に関して、私たちが支援するある公共組織の管理職を対象に、アンケートで、「活動を推進していくにあたり、何が制約条件になっているのか、その理由は何か」という問いかけをしてみました。その結果、原因としては「公務員だから」という回答が目立ったのです。
「活動や取組みがうまくいかない、方針が浸透せず、本気になって実行されないのは『公務員だから』」
これは、どういうことなのでしょうか。アンケート後、ミーティングの場でその意味するところを聞いてみると、昔からの慣習のなかで、次のように思っている人がいると感じているようです。
・やってもやらなくても給料は変わらないし、クビにはならない
・利害関係者すべてに対応するためには、明確な回答は避ける
・前例踏襲、前職から引き継いだとおりに仕事をこなす
・国や関係省庁の通達に従っていればよい
・数年で上司か自分が異動になるから、余計なことは言わない
・職務分掌に従い、他の担当の仕事にまで口を出さない
さらに、「改革を実現するために必要なことは何か」という問いに対しては、「職員の意識改革」という答えがほとんどでした。
「袋小路型思考」に管理職が陥っている
総合してみると、改革がうまくいかないのは「公務員だから」という回答に集約される上記のような意識や行動がネックになっているということになり、改革を推進するためにはそれを変えていく「意識改革」が必要ということになります。でも、それではどのようにしたら意識改革ができるのか、という点に関して具体的なイメージをもっている人は少ないようです。
これは、思考の枠組みを自分たちでつくってしまっている、ということではないでしょうか。公務員という立場が公務員的な意識を持たせているのだから、公務員である以上意識改革は難しい、その結果改革は進まない、仕方がない、という「袋小路型思考」に管理職が陥っているということです。
実は、このような管理職の思考の枠組みこそが、公共における改革を阻んでいるのではないかと感じています。管理職が思い込み、あきらめているのでは、何も変えることはできません。逆に、管理職自身が「そんなことはない」と殻をやぶり、腹をくくって逃げ道をふさいでみると、制度や慣習などが制約条件ではなくなってくるのです。
改革の実効性が高まる職場環境をつくる
公共組織を取り巻く環境は変わり、求められる仕事の質とスピードが格段に違ってきています。私たちの支援先には、これまでのやり方をなぜ変えなければならないのかを自分の言葉で繰り返し語り、どのようにすればうまくいくのかを、みんなで知恵を出し合えるような職場会議をしている管理職の方もいらっしゃいます。
この方は、改革のコアメンバーとして、自部署での管理職がどのような行動を大事にしていくのか、新年の誓いを全員から集めて職員に宣言したり、職場を良くしていくためにまず何から始めるか、WEB上の掲示板で意見集約したりなど、つねに部下に働きかけ、支援するような活動を続けていらっしゃいました。
このように、管理職の方たちが自らの判断基準を整理し、明確にしながら、積極的に改革の実効性が高まる職場環境をつくれることが、改革のスピードや成果に大きく影響していくのです。私たちスコラ・コンサルトのプロセスデザイナーは、このような管理職の方が増え、職員の皆様一人ひとりが本気になって改革を進めていける環境づくりを、外部の視点を通じてお手伝いしています。