「『社員の成長を応援できる会社になる』
この事に大きな手ごたえを感じ取れる一年にします。」
上記は、5ヶ月前に風土改革に取り組みはじめた経営者Aさんから頂いた年賀状の一文です。
Aさんがこのように決めたきっかけになったのは、各店舗の代表が集まる販売コンテストでした。コンテスト開催中、イキイキとした社員さんの姿、昨年よりも一段と成長したパートさんの姿を目のあたりにし、自分の役割は、社員やパートさんの成長を応援し、みんなが働きがいの持てる会社にすることだと、深く感じたのです。
働きがいと業績の向上のために、
「See-Plan-Do」を新たなサイクルに変える
そこで、どうしたら社員やパートさんが達成感や働きがいを感じることができるのかというテーマについて、Aさんの会社では、経営層と有志メンバーで20時間の話し合いを行いました。
達成感は、仕事の質を上げなければ感じ取れない。そのために「○○を徹底する」「△△を指導する」といった対策がいくつか出されました。出された対策を考えていたとき、若手メンバーから、次のような声が上がったのです。
「ホワイトボードに書かれた対策自体が、すべて上から目線ではないか。これで本当に社員やパートさんに働きがいにつながるのか」
この若手メンバーの意見に、全員がはっとさせられたのです。
「徹底ではなく浸透が大事なんだ。なんでもかんでも上から徹底して物事を進めるという仕事のし方が、いつのまにか当たり前になっている。ここを変えていかなければ、変わらない」
「徹底ではなく『共感⇒浸透⇒手直しのプロセス』を大事にしよう」これが、参加メンバーの結論でした。
今までの「See-Plan-Do」の習慣は、以下のようなものであったと言えます。
(1)See(振り返り
=経営層が中心に現場報告を参考に課題を創出する
(2)Plan(実行計画)
=経営層がシナリオを描き、社員に説明する
(3)Do(実行)
=計画とのギャップを全体会議でレビューし後押しする
この習慣では、社員の成長につながる「自己決定感を持つこと」、業績の向上につながる「衆知を集めで課題解決を実行すること」が限定的になってしまっていたのです。
「ずっと続ける事だからこそ
『共感→浸透→手直しのサイクル』を回し、本物にします」
上記は、Aさんの部下で風土改革の世話人をやっているBさんからの年賀状の一文です。
「短期間での問題解決には、このサイクルは適していないかもしれない。しかし、長期的によい会社にしていくためには、『共感→浸透→手直しのサイクル』を回し続けて本物にしてきたい」Bさんは、いつも打ち合わせの度にこのように話しています。 そして現在、新たな習慣への体質改善に挑戦中です。
新たな習慣とは、
(1)See(手直し)
=実際に動かすメンバーに集まってもらい改良案を集める
(2)Plan(共感)
=集まった改良案を元に、責任者が最終決定する
(3)Do(浸透)
=一定期間、責任者の決定を受け入れて改良案を実行する
新しい習慣で物事を進めるには、今までの習慣と行きつ戻りつすることも多くありますが、Aさんの会社では、様々なところで新しい習慣の試みがなされています。
たとえば、
(1)方針の共有のし方(少人数でやりとりしながら共有する)
(2)営業戦略をつくるプロセス(案をして現場になげ、現場の知恵を取り入れ決定する)
(3)実行するプロセス(一定期間動かした結果をもとにつくり変える)
(4)権限の委譲(現場に任せることを明確にする)
(5)権限の保持(経営層が決めることを明確にする)
などです。
実感できる風土改革の成果とは
「当たり前」を変え、社員の成長と業績の向上を実現すること
私たちプロセスデザイナーが実感する風土改革の成果とは、企業の当たり前が変わり、社員の成長と業績の向上の双方が実現することです。
当たり前の状況は、各社各様です。たとえば、「言われたことをやるのが当たり前」から「自ら考え動くことが当たり前」という体質に変わることや「一台でも多く売るのが当たり前」から「お客様のカーライフをバックアップするのが当たり前」というように仕事そのものを変えていく場合など、様々な形での変化があります。
2008年も私たちは、この「当たり前を変えること」に挑戦していきたいと思います。
今年も、どうぞよろしくお願い致します。