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変革当事者としての人材育成の取組み

2014年12月15日

変化が常態化している今日、組織を取り巻く環境が今後どうなるのか、どうやって対応するのか、それを誰が決めるのか、非常に重要なテーマとなっています。
この秋、経営層に向けて中堅・若手社員が会社の改革テーマに関して、チームで提案を行なう場に同席させていただきました。

この会社は、全国の電力各社の原子力発電所で発生する使用済燃料や廃棄物を、青森県六ヶ所村の施設などに輸送する原燃輸送株式会社です。社長をはじめ役員は、株主である各電力会社などの出身者です。各社の利害関係や出身母体の企業文化の違いなどから、プロパー社員の人たちは自社の方向性や一体感について長年、不安や不満を抱えていたようです。かといって、何か自分たちからアクションを起こしていたかというと、業務特性も加わり、依存的、受け身的な組織風土や意識であることも自覚されていました。

一昨年就任した社長は、電力業界を取り巻く急激な環境悪化と、自社が今後直面する厳しい経営状況に危機感を持ち、経営層で議論して策定した経営計画について、説明会を開催し、自ら社員に説明しました。しかし、社員にとっては、今までの安定的な収益構造の中で、当事者としてどう変化に対応していくべきかという思いは持てていない状況でした。
そこで社長は、中堅・若手プロパー社員が自ら会社の改革を考える機会を通して成長し、組織活性化と弾性力(レジリエンス*)を強化することを目的に、4月から自ら挙手したメンバーで、組織変革プログラム「毘沙門’s」を立ち上げました。

 

このプログラムは、大きく二部で構成されています。第一部は、3カ月間の学習フェーズとして、

 (1)課題図書を個人およびチームで読み込み、自社に照らし合わせて何がいえるのかを発表する
(2)輸送業界各社から第一線で活躍した方を講師に招いて、主に安全の取組みからレジリエンスについて学ぶ

というインプットを中心とした内容です。
第二部は、自社の改革プラン提案を策定するというアウトプットのフェーズですが、学習フェーズで得た知識や問題意識をベースに、自ら関心をもったテーマごとのチームで、自社が将来に向けて実施すべき施策を経営層に提案することが目標です。

本社と六ヶ所の事業所、海外への派遣員および社外への出向者(イギリス・大阪)によるメンバーで編成されたテーマ別の8チームは、2カ月の間、テレビ会議システムや無料IP通話ソフトなどを使って就業時間後の時間も自主的に議論を続けたり、社内イントラ上のメンバー限定の広場で自由な意見交換を行なうなどして、目標を共有していきました。

私は社長や事務局と一緒に、3回の「中間報告・指導会」で各チームの議論の途中経過についてアドバイスをする役目でしたが、さらに社長自らがコミットする4回の「相談会」を含めて、チームの議論を深めていきました。各チームとも、最初は迷走したり、抽象的だった問題意識が徐々に明確になっていき、単なる不満や他律的な問題提起では、経営に改革提案ができないことに気づいていきました。

ヒアリングや現状分析を通して、具体的な事実に基づき、当事者として自分たちから始められる改革、周囲を巻き込む情熱と問題提起の方法、そして何より、チームワークと仲間としての信頼が醸成されていきました。

 

10月下旬の経営層への発表会は、六ヶ所・大阪からもメンバーが参加し、緊張しながらも、全員が会社を自分たちで変えていくという自信を持って発表する姿に、経営層からも温かい支援メッセージが寄せられました。現状から変えていく具体的な提案は、すべて採用されることを前提に、経営層が受け止め、議論していくことが決まりました。

このプログラムを通して、多くの変革当事者が生まれ、今後の実践段階において、彼らのチームワークが必ずや活かされるのではないかと感じた半年間の変革当事者育成のプログラムでした。

 

<ご参考>「若手改革案、全採用へ」電気新聞記事、平成26年11月17日

*レジリエンス(resilience)とは、「復元力」「耐久力」という意味の心理学用語で、ここでは、変化に強い組織や人の力で、許容できる結果(成功)を最大化することを目的としている。

宮入 小夜子

宮入 小夜子(みやいりさよこ)

メーカー(日系・外資系)、サービス、物流業など多くの企業変革における風土改革のプロセス支援の実績を持ち、また自治体や運輸などの公共組織支援にも注力している。

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