経営に対する信頼感

経営に対する信頼感

| 2006.03.08

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私たちは、行く先々の企業で「会社の方向性が見えない」「経営は方向性を打ち出してほしい」といった声をよく耳にする。そうかと思えば、年度の方針や方向性が発表されるやいなや、「抽象的だ」「現場をわかっていない」といった批判が相次ぐ。それに対して経営の側では、「現場の意見をきちんと取り入れて考え、全社員に明文化して伝えているはずだ」と話す。
 このようなギャップは、なぜ生じてしまうのだろうか。

 いろいろ考えられる理由の中の一つに、「経営に対する信頼感」というものがある。
 もともと信頼関係ができていない現場社員と経営層とでは、そもそもお互いに聞く耳を持っていないことが多い。現場の社員のほうには、過去の失敗の積み重ねから、「うちの経営陣は何をやってもだめ」という思い込みがあり、「今回もどうせ同じだろう」というレッテルを 貼ってしまう。
 一方、経営層のほうでは、なぜこちらの思いが伝わらないのか、社員はなぜ理解しようとしないのか、結局はやる気の問題ではないか、という思い込みを持ってしまう。

 企業によっては、トップ自らが現場に足を運び、自分の口から直接社員に伝えるといったやり方をしているところもあるだろう。ところが社員にとっては、間近に社長の言葉を聞くことで多少はその思いを 感じはするものの、多くの場合、そういう場は社長の独演となって双方向のやりとりがなされないため、共感し、納得感を得るまでには至らないようである。

 では、経営と社員との信頼関係を構築するにはどうすればよいのだ ろうか。

 ある企業では、「全社で価値観を共有しよう」というプロジェクト を社員が主体となって進めている。何十時間もの議論を経たのち、メンバーは、この活動の支援者として、もう少し広い視野をもったメンバーを入れ、一緒に仲間として考え議論をしたいという思いで、役員層に参加をお願いした。
 役員層はこの活動に対して、当初からの議論に参加していなかったため、途中参加したばかりのころは社員の議論を傍観し、批評し、あるべき論ばかりを語っていた。しかし、しだいに議論が深まっていき、新たな議論のテーマが出てくると、役員も社員もお互いに立場を忘れ、同じテーマについて共に悩み、知恵を出し合うという状態に変化していった。
 そして、議論が終わると、社員は役員と同じステージで対等に議論ができたことに驚きを感じると同時に、役員層に対しても「同じ仲間なんだ」と思えるほどに距離感も変化していた。

 私たちは、つねに起こりうる階層間や部門間の「対立」や「認識のギャップ」に対処するために、まずは「立場・役割を離れて本音で議論する」ということを大切している。そして、お互いが自分の言葉で語り合うそのプロセスを踏むことこそが信頼関係をつくる第一歩だと考えている。

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