商品への誇りが揺らいでいないか|コラム|スコラ・コンサルト
商品への誇りが揺らいでいないか

商品への誇りが揺らいでいないか

岡村 衡一郎 | 2015.12.11

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商品はある瞬間、売上確保の道具に変わる。
大手企業の情報隠蔽、データの改ざんや偽装は、この典型だろう。

「何のため、誰のための」が見えにくい仕事は、自己保身に向かって暴走する。逆に「何のため、誰のための」が共有化された仕事はお客様だけでなく、働く人たちを花開かせる。

 
今、昔つぶれかかったレストランチェーンで野菜が主役のランチを食べている。セルフドリンクバーの珈琲を席まで持ってきてくれた。12人のお客が席待ちで並んでいる。ランチタイムも閑散としていた以前とはまったく別の店になっている。

改革の軸は、セントラルキッチンだのみではなく「人が手をふるう」料理の提供にあったようだ。価格競争に翻弄され、自社の強みである「シェフの腕」を忘れかけたゆえの暴走路線に気づき、勇気を持って転換したのである。
料理を運んでくる店舗スタッフからも、その自信が伝わってくる。

 
日本経済は拡大成長期を終え、成熟期のただ中にある。それでもまだ、先達が築いた商品をただ漠然と革新を加えることなく売っていても過ごせる。守ろうとする仕事でも事足りる。
ややもすると、黄色信号が点滅している事実に目をつぶり、その信号が赤に変わったとき、赤を青に見せかけるのが偽装や改ざん。
でも、赤信号になってからでは遅いのだ。

そもそも商品は、最初は、誰かが誰かのことを想って知恵を絞り、形にしたものだ。相手への気づかい(相手に共感し手助けしようとする心もち)の結晶とも言える。

電気が十分に行き渡っていない頃、日本を明るくするとがんばった人。
国産車に日本の浮上を賭けた人。先達の取り組みは、日本への気持ちであった。

今の充足した時代には、かつてのような「不足」が見えにくいのも事実だが、日本企業に不足しているものは「気づかいの弁証法」であると私は思っている。
先達の気づかいが形になった商品に、自分たちの気づかいを掛け算し、商品を通じて新しい価値を提供していこうとする取り組みである。

 
こうした価値革新の取り組みを、足下にある自社の「一品」から始めてほしい。
会社の青信号、活気ある状態は、自分たちの仕事の結晶としての商品への確信と、市場や他者からの承認、そして日々ともに動いているなかでの実感から生まれるものだから。

著者プロフィール

岡村 衡一郎

岡村 衡一郎

KOUICHIRO OKAMURA

顧客満足度を高める要因、低下させる要因を企業風土・体質面からとらえ、業績向上につなげていくアプローチに持ち味を発揮。

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