組織の免疫機能とコンプライアンス|コラム|スコラ・コンサルト
組織の免疫機能とコンプライアンス

組織の免疫機能とコンプライアンス

山科 雅弘 | 2016.07.15

  • Facebook
  • Twitter
組織の免疫機能とコンプライアンス

「このようなことはあってはならないこと、大変申し訳ありません」と、深々と頭を下げる経営者の姿。 

このところ、燃費試験の不正行為、杭打ち施工データ偽装、免震ゴム偽装、不正会計など、社会を欺くような企業の不祥事が相次いでいます。

こうした行為が長年築き上げてきた企業価値を一夜にして地に落とし、経営を窮地に追い込むほどのダメージを与えることを考えると、コンプライアンスが重要な経営課題であることは言うまでもありません。

これまで、企業はコンプライアンス強化のためにさまざまな対策をとってきました。
監視体制の強化、行動基準の策定、社内規定・マニュアルの配布、研修の実施、文書管理の徹底など、重層的な管理の仕組みはほぼ整備されてきています。それにもかかわらず不祥事は後を絶ちません。

 

不祥事が起こる原因として必ず指摘されるのが「企業風土」の問題です。

・「『たこつぼ文化』のため、上を見て、発言を控える」
・「危機感が希薄、社員が自立していない」
・「議論を好まず、他人の言動に介入して事を荒立てない」
・「上司の意向に逆らえない」

「組織の自浄作用が働くようにするためには、こうした企業風土の改革が不可欠である」という指摘です。確かにこういう認識は以前に比べると、ずいぶん拡がってきています。

しかし、実際に風土改革というテーマと正面から向き合い、解決の努力をしている企業はまだ決して多くはないと思います。 その理由として、「企業風土改革とは、何をどう変えることなのか、何がポイントか、具体的に何をすればよいのか」というような考え方や方法論がまだ十分に理解されていない状況があると思います。

 

私たちは、人間が「自らを修復・進化させていく力(自己免疫力)」を持っているように、人の集合体として生きている組織も本来、その力を内在していると考えています。

しかし、決められたことに従うだけの組織では、社員は当事者としての姿勢と自ら考える力を失い、自力で物事を改善・好転させる力が低下していきます。 つまり、不祥事を防ぐために重層的な管理の仕組みを導入したとしても、「おかしなもの」を感知して正常化しようとする組織の免疫機能が低下している状態だと、その効果は限定的であり、問題が起こるリスクは高いままなのです。

 

組織が免疫機能を高めるためには、まずバラバラな社員が自発的につながってやりとりをすること、自分たちがめざすものを共有し、そこに近づこうとする当事者を増やすことによって、非なるものを質す環境をつくることが必要です。

具体的には、経営と社員がともに、自分たちの仕事のそもそもの目的や意味を問い直し、「自分たちは何をめざすのか」「そのために一番大切にしなければならないものは何か」などについて、対話を積み重ねながら共有していくことが出発点になります。

 

こういうやりとりによる相互作用のプロセスが判断基準となる倫理観を育て、仕事に誇りを取り戻すことにもつながっていきます。 多くの社員が会社への愛着や誇りを持ち、自分の力を発揮して家族に胸を張れるような仕事が日常的にできていれば、おのずと自分や組織にとって不健康なもの、不誠実なものを退けていきます。そして、こうした前向きな社員の力によって会社は元気に成長していくのです。

 

コンプライアンスで大事なのは「法令違反をしない」ことではなく、「社会の要請に応えて健全に成長し続ける企業になる」というその先の姿です。

だとすれば重要なのは、重層な管理の仕組みで社員を縛るのではなく、社員が前向きになる「元気のでるコンプライアンス」をめざすことではないでしょうか。 

著者プロフィール

山科 雅弘

山科 雅弘

MASAHIRO YAMASHINA

営業・マーケティング部門の支援を得意とし、「自ら考え、行動しよう」という現場の主体的なエネルギーを、経営的な課題解決に生かすための支援に力を注いでいる。

関連コラム

RANKING

CATEGORY

PROCESS DESIGNER

ARCHIVE

組織の風土改革のご相談、
各種お申込みはこちら
CONTACT US

page top

メールニュース登録