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「褒める文化」をつくるマネジメント

2016年08月04日

組織風土を変えようというとき、「どんな風土をめざすのか」という議論の中で必ずといってよいほど出てくるのが「褒める文化」ということです。

できていないことや欠点を指摘して正す。問題の原因を追及する。
現場に来る部署長や管理部門の担当者は、できて当たり前という前提で問題点をチェックし、指摘するのが仕事になっている。
これでは、「受容・承認・重視」という、働くことの喜びや成長を感じる原動力が失われ、自律的な人材が育つことは困難でしょう。


一方、「自分たちが若い頃は褒められたことなんかなかった」「いつも怒られて育ってきたので、褒め方がわからない」「下手に褒めると舐められるのではないか」「甘えている」など、上司の側も、褒めることの
意味や方法がわからないのが正直なところのようです。



以前、ある現場長さんから「褒めて現場力を高めた」という話を伺ったことがあります。


この現場長は着任早々、半年以内に100人以上いる部下全員に同行して話を聞く、という目標を立て、週3回ほど現場を回りました。マンツーマンで気楽に話を聞いて名前を覚え、休憩所でも対話して、何でも話せる関係、話しやすい環境をつくる努力をしたそうです。

そこでは、一人ずつの「いい話」と「改善点」を記録して、「いいところ」を伸ばすために気づいたことを管理職と共有することを率先垂範。
さらに4人の助役にも、同様に現場を回って情報を毎日アップするように言いました。

当然、助役さんたちは戸惑います。一人ひとりの良いところがなかなか見つけられず、また、改善点も「○○できていない」といった指摘になりがちでした。

それでも毎回、現場の人たちとの対話を重ね、記録を続けるにつれて、徐々に「それぞれの良さが現れたいい行動」の話が引き出せる対話力が身についていきました。
また、改善点にも、その場で具体的に「もっとこうしたほうがいいぞ」「このルールができたのはこういう理由だから、しっかり守らないといけない」など適切な指導をしたことが記録されるようになってきました。



この取り組みにあたって現場長は、助役を「アドバイザー」と呼ぶことで、現場社員が気楽に相談・報告できる、問題を口にしやすい環境をつくりました。それによって「褒める」ネタ探しが進んだのです。

現場長は、対話を通じて集めた部下一人ひとりの「いい行動」と「改善点」の件数をグラフ化し、毎月数名に、具体的行動を褒めた手書きの「感謝状」カードと現場長報奨を贈りました。

助役さんたちが集めた日時や行動が記された記録は、現場のメンバーにとって「ちゃんと見てくれていたんだ」という喜びとモチベーションにつながります。それに伴い、自発的に現場の業務改善や安全活動に取り組むコアなメンバーが育っていきました。


もう一方では、助役の対話の回数もグラフ化され、働きかけの質と量のどちらも見える化されることで、助役の現場マネジメント力も高まりました。そのことが事故防止やメンタル問題の解決にもつながったのです。

「褒める」ことを単なる個人の褒め方のスキルやセンスと捉えるのではなく、

1.日々の観察の中から、その人の変化や進化を読み取ること
2.できばえ(結果)ではなく、組織目標に向かって努力したり工夫したりするプロセスを見ること
3.対話を通した信頼関係(この人に認めてもらえた)をつくること


こうしたマネジメントのしくみとしてサイクルを回していくことが「褒める文化」の構築につながるのではないかと思います。

宮入 小夜子

宮入 小夜子(みやいりさよこ)

メーカー(日系・外資系)、サービス、物流業など多くの企業変革における風土改革のプロセス支援の実績を持ち、また自治体や運輸などの公共組織支援にも注力している。

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