「ムダな頑張り」の角度を変える

「ムダな頑張り」の角度を変える

手塚 利男 | 2016.09.03

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はじめて部下を持つことになった管理職。

上からの期待に応えるために部下をうまくしていきたいリードと思っても、なかなか動きを噛み合わせていけない。問題が起こったら場当たり的に処理を急ぎ、根本的な解決や改善が進まない。
頑張ってはいても打つ手打つ手が空振りして結果が出せず、上司と部下の間で苦しんでいる中間管理職が多いように見えます。

もしかすると頑張る方向が間違っているのかもしれません。
八方塞がりに思えたら、そんな想定のもとに問題解決のスタンスや物事を見る目を変えてみてはどうでしょうか。

ある企業の製造課で起こった出来事を紹介します。

 

組み立てラインの完成検査工程で、ボルトの「締め付け力不足」が発見された。早速、再発防止を図るために課内で改善会議が開かれた。

課長の指示で部品の組み立てを担当した作業者のAさんも参加して「なぜなぜ5回」の手法を使った原因調査と対策の話し合いが行なわれた。会議の目的は、二度とミスを起こさないための原因分析と対策を考えることだった。

しかし話し合いは、問題が起きた状況よりも「なぜ、全部のボルトを締めなかったの?」「なぜ、締めつけた後にボルトの締め付け強度を確認しなかったの?」と、ミスをしたAさんに質問が集中した。

問い詰められたAさんは「私の注意不足でした。気がゆるんでいました」と反省の言葉を口にするばかり。

そして会議は、改善策として「ミス防止!」「もう一度確認を!」と、うっかりミスを防ぐための注意を促す精神論的な掲示版を作業場に貼ることを決めて終了した。

 

ところが後日、再び同じ問題が発生した。しかも今度はAさんより熟練度の高い作業者がミスをしたのだ。

後日ミスの原因がわかった。

そもそも決められた時間内にすべてのボルトを規定の強度で締めて、最後に測定確認をすることなど今の工法ではムリだったのだ。その作業時間は、現場を知らないスタッフが机上で算出したものだった。

そこに根本的な原因があり、作業者が「注意する」とか「気を引き締める」レベルでは解決できなかったのである。

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定石といわれる手法もコトの見方や問題解決のスタンスを間違えてしまうと真の対策が打てず、再び問題が発生することになる、という例です。


部下に頑張りを強いるだけでは「人」と「コト」は動きません。
以下のような部下の目線で接してみたことはありますか?

  • 部下が動かないのは、動けない理由や背景の事情を見過ごしているからかもしれない。
  • 部下が「できない言い訳をする」のは、できない理由に、上司がやらなければならないことが入っているのかもしれない。
  • 部下が上司のせいにするのは、「上が…」という普段のあなたの言動にならっているのかもしれない。
  • 問題点が挙がっても実行されないのは、無理やり出させた問題だからかもしれない。
  • 部下のホンネが出てこないのは、部下を本気にさせていないからかもしれない。
  • 職場で決めたルールが守られないのは、仲間を大切にする気持ちが薄れているのかもしれない。

頑張っても効果や成果の実感が持てないときは、自分の見ている努力の方向に死角がないか、ぜひ点検してみてください。

 

●○ 新刊に寄せて

このたび出版した『中間管理職の教科書』では、部下を持つ立場になった人が「ムリなく人を動かすコツ」を紹介しています。いずれも、私が風土改革支援において多くの中間管理職の皆さんと行動を共にするなかで学んだものばかりです。ぜひお役立てください。

部下からも会社からも信頼される『中間管理職の教科書』(手塚利男著/同文館出版)

http://www.scholar.co.jp/publication/detail.php?id=74

著者プロフィール

手塚 利男

手塚 利男

TOSHIO TEZUKA

前職でいすゞ自動車の全社風土改革推進を担当し、変革当事者であり推進者の経験を持つ。その経験を生かし、自動車や電機、機械といったメーカー系企業の支援を得意とする。

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