「モヤモヤ」は、魔法の言葉

「モヤモヤ」は、魔法の言葉

塩見 康史 | 2016.12.15

  • Facebook
  • Twitter

 

私たちはよくミーティングの場面などで、「まずは、モヤモヤしていることを話しましょう」と投げかけます。

この「モヤモヤ」という言葉、実にパワフルなキーワードなのです。

「モヤモヤを口にする」というのは、意見というほどにはまとまっていないもの、何となくの違和感をそのまま出し合ってみること。私たちが「モヤモヤガタリ」と呼んでいるそれには、ふだん感じていても言えなかった不満や本音を話すことができて、すっきりする、前向きになれるという効果があります。

お互いが腹を割って話し合うために、まずは個々の内にあるモヤを晴らして視界を開く。そのカギになるのが「モヤモヤ」なのです。

 

しかし、モヤモヤのすごさは、そこにとどまりません。モヤモヤは、新しい発想を引き出すための魔法の言葉でもあります。

手っ取り早く結果を出そうと思うなら、すでに知っている(知られている)知識を利用する、脳の記憶(経験)やウィキペディアなどから情報を引っ張ってくれば事足ります。でも、新しい発想で今までにないものを生み出そうとするなら既存の知識には頼れません。そのとき有効なのが、個々の中に“眠っている知”(=暗黙知)にアクセスし、利用することです。

人は言葉にできることよりもはるかに多くのことを、暗黙的・感覚的に“知って”います。しかし、そこにアクセスする術がなければ、その存在にも気づきません。この“眠っている知”がそこにあることを知らせるサインが「モヤモヤ」なのです。

 

“眠っている知”が浮かび上がって来ようとするとき、「何か引っかかるものがあると感じるけれども言葉にできない」という状態が引き起こされて、モヤモヤが膨らみます。その「モヤモヤ」を言葉にすることは、自分が(おぼろげに)知っているのだけれど、(はっきりとは)知らないことをクリアにしていくことであり、“眠っている知”にアクセスする大事なプロセスなのです。

経験上、とくにチームでモヤモヤを語り合うとき、メンバーみんなの“眠っている知”が相互に作用して混沌状態が起こり、そこから予想外のアイデアがダイナミックに呼び起されること(創発)がよくあります。

 

とはいえ実際の業務の現場では、感覚的なもの、曖昧さは排除されがちです。結論から話す、数字で話す、論理的に話す、など常に明晰であることが求められます。もちろん、それ自体、決められた仕事を効率的に進めていくためには必要なことでしょう。

しかし、それが求められすぎると、モヤモヤのような曖昧なものを扱うことができなくなります。その奥に埋もれている知にアクセスする扉も閉ざされてしまうのです。

新しい発想がほしいときこそ、内なる知の掘り起こし。まずは職場で「モヤモヤ」を語ることから始めてみませんか。

著者プロフィール

塩見 康史

塩見 康史

YASUSHI SHIOMI

人間や事業についての幅広い知識を駆使して、お客様と一緒に本質的な課題を多元的な視点から洞察する。バラバラで混沌とした状態から創造力豊かな仮説を構築する。

関連コラム

RANKING

CATEGORY

PROCESS DESIGNER

ARCHIVE

組織の風土改革のご相談、
各種お申込みはこちら
CONTACT US

page top

メールニュース登録