なぜ組織はティールへ向かうのか<br> ~主体的な選択によって進化していく組織

なぜ組織はティールへ向かうのか
~主体的な選択によって進化していく組織

東條 茂樹 | 2018.03.28

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少し前のフラッシュメモリやインターネット、スマートフォンがそうだったように、産業や社会生活を一気に変えてしまうほどのインパクトを生み出すAI。テクノロジーはいよいよ人間の脳機能の領域にまで及んでいます。

一方、人間の側では、限られたリソースの中で、潜在的な能力やエネルギーを引き出し活用していくダイナミックな組織やマネジメントが求められるようになっています。現実の変化があまりにも予測不能なために、動きながら自在に目的や結果を変えていく現場単位の対応力が必要になってきたからです。

チームメンバーの良心に、情熱や意欲に、裁量や知恵に、そして責任に任せることができたら、どんなに組織運営は楽になるでしょう。自らの意思でメンバーが主体的に考え動くこと、多様な個性が刺激し合うチームで新しいものを生み出していくことは、風土改革における目的のひとつとして、私たちがめざしている状態でもあります。

ただし、それは一足飛びに進むものではありません。ますます拡大していく外部環境とのギャップを感知しながら、時代の変化を取り込んで自らを変え続ける、主体的で柔軟な組織になっていくために、組織はどのような段階をたどって発展していくのでしょうか。

ここでは、ちょっと話題の「ティール組織」を参考にして考えてみたいと思います。

 

1. AIと競わず、自在で創造的な仕事ができるか

いまビジネス界でホットな話題といえば「AI(人工知能)」です。
先日もあるメーカーの方が、「競合がAIを導入したら、うちの会社は本当に潰れるぞ、おまえたちは真剣に考えてるのか!って、いきなり社長が騒ぎ出すんでホントに参りましたよ」と嘆いていました。「いろんなところから研究テーマにAIを加えたいと言ってくるので、仕事の優先順位をつけるのがたいへんですよ」と悩みを口にするのは、研究所でAIを担当するマネジャーです。

最近のAIは、人間の脳のしくみを模した「ディープラーニング」という手法を手に入れ、ビッグデータと連携することによって急激な進歩を遂げています。2045年頃には、AIが人間の知能を上回る「シンギュラリティ(技術的特異点)」に達し、ロボットとAIが広い範囲で人間の仕事に取って替わる時代が訪れるそうです。先にメガバンクが1万人規模の人員削減を進めると発表したことなども、その兆候といえるでしょう。

AIに代替されて人々が職を失うと、現在のように旺盛な消費社会を維持し続けることは難しくなります。そのため、すでにヨーロッパの国々を中心に、国民全員に対して一律の金額を国から支給する「ベーシック・インカム」制度の導入が検討されています。これによって、働かなくても遊んで暮らせると楽観視する人もいますが、働くという行為は、生活のため、収入を得るためだけにあるのではないように私は感じています。

 

知恵をめぐらせて仕事を完遂したときの達成感、お客様から感謝される喜び、社会に役立つことの満足感など、働くことを通じて得られるものはたくさんあります。働かなくてもいい生活が決して幸せな人生であるようには思えないのです。(とは言うものの、「給料のために働いている」という人が多い現実を見ると、シンギュラリティを待つことなく働き方を変えることが急がれるのでしょうけど…。)

シンギュラリティという新たに出現する未来が現実のものになるとしたら、人間と仕事の関係も、前史AIの時代にはなかった観点からの問い直しを迫られます。上司からの指示・命令に従って処理するだけの仕事、過去の実績やマニュアルに従ってルーチンワークを繰り返すだけの仕事、データを検索すれば結論を導き出せる仕事などは、順次、AIとロボットに置き替わっていきます。

しかし、自ら周囲の状況を観察・察知して、「いま何が起こっているのだろう?」「本当は何が問題なのか?」といった疑問を持ち、何をすべきかを主体的に考えて行動する生成的、創造的な仕事は簡単には置き替わりません。

 

AIに代替される仕事が増える一方で、現実の変化に自在に対応し、自らを変化させながら新しいものを生み出していく仕事もまた、それ以上に重みを増していくのがこれからの時代です。こうした“複雑さ”を前提とする環境下で、社員全員が常に感じ、考え、協力し合い、多様な相互作用を通じて学習し続ける組織は、機械の進歩と競争することなく、人間独自の能力や理念を高めながら栄え続けるのだと思います。

このような組織は「ティール組織」と呼ばれています。ティールというのは青緑色のこと。出所はケン・ウィルバーのインテグラル理論で、意識の発達レベルに応じた組織の形態を色で表現したものです。


2. 人と組織の進化段階

インテグラル理論では、組織の状態をレッド、アンバー、オレンジ、グリーン、ティールの5つのレベルに大別し、この順序で段階的に進化していくと言われています(一足飛びに進化することはない)。つまり、「我々の組織は、現在どのレベルにあるのか」を認識したうえで、まずは次のレベルをめざす、という変化を繰り返すことによって、ティール組織の状態へと到達できるのです。

5つの色で表される組織の特徴は、ざっと以下のような内容です。

(1) 衝動型(レッド):独裁的なリーダーが率いる組織

ワンマン社長が率いる中小企業によく見られる組織。感情的で予測できないトップの言動に振り回されて、メンバーは常に怖れを感じている。事業が拡大し、社員数が増えると、社長の直接の指示が末端まで行き届かなくなり、組織は機能不全を起こすため、次段階のアンバーに移行していく必要が生じる。

 

(2) 順応型(アンバー):社員の行動はすべて文書で規定されている組織

学校、宗教組織、公共機関などによくみられる規律を重んじる組織。管理部門が集中的に権力を持ち、厳格な規定・ルールにそって運営することで組織全体の秩序を維持する。ルールを遵守・適用する管理部門に対してメンバーは怖れや不満を抱く。外部環境に応じて自組織のルールを変えるといった柔軟性がないため、変化に直面すると存続できなくなり、次段階のオレンジに移行する。

 

(3)達成型(オレンジ):利益を高めるために効率を追求する組織

市場が拡大基調にあり、既存市場のシェア争いなど予測の立つ競争環境には適した組織。現代の大企業は、多くがこのレベル。計画にそって、さまざまなKPI(重要業績評価指標)を定義し、効率的に業績を追求することを至上命題とする。人も仕事もすべてが数字で評価され、定量化できない要素、人の意欲や感情、人間関係などはあまり重視されない。持続可能な企業や社会をめざすためには、自社の利益から全体的な利益・調和へと課題の視野を広げ、共感によってメンバーをエンパワメントする必要があり、次段階のグリーンに移行する。

 

(4)多元型(グリーン):すべてのステークホルダーへの貢献を目的とする組織

短期的な利益追求だけではなく、持続可能な社会の実現に向けて、ダイバーシティを重視し、長期的に持続可能な社会をめざす組織。理念に対する共感に基づく組織の求心性や、メンバーの個性、モチベーションを大事にする。その一方で、色濃い価値観をベースにした文化的特性を持つ集団になるにつれ、“異質”であること、“他者からどう見られるか”といった怖れも生じる。個人の自由な発想や潜在能力を引き出し、メンバーのエネルギーを最大限に生かす必要から、次段階のティールに移行する。

 

(5)進化型(ティール):組織の目的に向けて全員が主体的に動く組織

個々が強みを生かし合って、全員が組織の存在意義といえる目的にコミットし、それを判断基準として分権的、主体的に行動するのがティール組織。特徴的なのは、全体としての明確な戦略プランや詳細な行動計画を持たないこと。「どの方向に進むのか」を共有することで、メンバーが常に意見や知恵を出し合い、目的も柔軟に変えながら、よりよい結果を求めていく。組織は、メンバーが主体的に学び、協力し、責任を持って行動することをサポートする。

 

ティールの段階では、他のレベルの組織に存在している問題や怖れを克服し、メンバーの潜在能力とエネルギーを最大限に引き出すことが焦点になっています。管理・統制のための過剰な工数やエネルギーを使う必要がなくなるため、うまく機能すれば非常に経営効率の高い組織です。

草創期には、強い意志を持つトップがガバナンスをきかせる。

組織が大きくなるにつれて、一元的なルールや規則で秩序を守る。

事業拡大時には、効率重視の分業体制で計画統制的に動く。

成熟した社会や経済のもとでは持続可能性という課題に対し、内外を問わないメンバーの多様な個性を活用する…。

組織が進化するとは、選択的な変化によって対応の範囲が広がり、意味の厚みが増していくこと。まさに叡智がリードする進展です。こうした変化の選択に終わりはないのですが、現時点で、手の届きそうな近未来型の組織形態として見えてきた萌芽のひとつがティール組織なのでしょう。


3. 人が成長を続ける組織で、AIと共存していく ~ 変化の土台は「信頼」のネットワーク

ティール組織では、メンバーの潜在能力とエネルギーを最大限に引き出すことが焦点になっています。そこで条件として重視されているのが、個々の無力感やマイナス感情、牽制や自制的行動などをもたらす「怖れや不安」の克服です。

レッドからグリーンまでの各段階では、それぞれの組織特性に由来する“怖れ”の存在があり、組織と個人の間には依然として隔たりが残ります。メンバーが仕事における役割を“自分のものにする”ためには、怖れや不安と裏腹の関係にある「安心と信頼」を担保することが、どの時代の組織においても“隠れた課題”なのです。

スコラ・コンサルトが改革の基盤づくりとして用いている「気楽にまじめな話し合いをする場(=オフサイトミーティング)」は、互いの個性を尊重し、信頼し合える関係性を築くことが第一の目的です。

お互いが関心を持って話を聴き合い、気持ちのありのままを口に出せる。こうした対話による共感的な経験を通じて、参加者の内に、「何を言っても大丈夫」という安心感と、「自分が受け入れられている」という信頼感が形成されていきます。さらに、それぞれが自分の思いを語り合う中で、「私たちはこうしていきたい」という共通の思いを乗せた目的が育っていくのです。

これが、自分たちのめざす方向へと組織を動かしていくエネルギーになります。「組織の目的を実現するために、私はこれがやりたい」「こういう仕事はやめたほうがいい。なぜなら、それをやることは組織の目的から遠ざかることになるから」といった判断基準は、個々の思いが束になった目的から生まれます。判断基準が明確であれば、目の前の業務の優先順位に対する整理(傾注度とウエイト配分)が進み、働き方も向上します。一人ひとりが常に「いま自分は何をすべきか」を考え抜くこと、周囲と相談しながら主体的に判断・決定すること、その責任を持って行動することが習慣になっている組織では、人は自然に成長していくのです。

 

シンギュラリティが到来しても、人間が人間らしさを失うことなく暮らしていくために、メンバーが安心と信頼、自由と責任に基づいて主体的に動くティールのような組織のエッセンスをどのように学び取っていくか。

私たちは早急に考えなければなりません。
残された時間はそれほど多くないからです。

 

 

5つの色で表される組織の特徴は、以下のような内容です。

(1)衝動型(レッド):独裁的なリーダーが率いる組織

ワンマン社長が率いる中小企業によく見られる組織です。組織の中で行なわれる判断はすべて社長自身が下します。社員には判断の権限がなく、与えられた仕事を指示通りこなすことが求められます。社長の気分によって判断や評価が変わることも多く、感情的で予測できないトップの言動に振り回されて、メンバーは常に怖れを感じています。「社長に逆らうと飛ばされる」「毎朝、社長の機嫌を探って全員にメールすることが社長秘書の最大の仕事だ」などと社員が陰で言い合い、組織は社長の顔色を見て動きます。

ただし、事業が拡大し、社員数が増えると、社長の目も組織の隅々にまで届かなくなります。直接の指示が末端まで行き届かなくなると、組織として機能不全を起こすため、次のアンバーに移行していく必要が生じます。

(2) 順応型(アンバー):社員の行動はすべて文書で規定されている組織

学校、宗教組織、公共機関などによくみられる規律を重んじる組織です。管理部門が集中的に権力を持ち、厳格な規定・ルールにそって運営することで組織全体の秩序を維持します。レッドのように、経営者の気まぐれにおびえることはありませんが、ルールを遵守・適用する管理部門に対してメンバーは怖れや不満を抱いています。

組織のメンバーには、与えられた役割をマニュアルなどの規定書に従ってバラつきなくこなすことが求められます。個々が、自分の業務の意味や目的について考えたり、疑問を持ったりすることはありません。お客様からのイレギュラーな相談や要求に対しても、「規定にないので対応できません」と冷たく言い放つ態度がよく見られます。そもそも、「お客様」や「サービス」という概念さえ持っていないメンバーが多いのです。

外部環境が変化しても自組織のルールを変えるだけの柔軟性がないため、新たに競争環境が生まれたりすると存続できなくなり、次のオレンジに移行することになります。


(3)達成型(オレンジ):利益を高めるために効率を追求する組織

市場競争に常時さらされている現代の大企業は、多くがこのレベルにあります。計画にそって、さまざまなKPI(重要業績評価指標)を定義し、効率的に業績を追求することを至上命題とする組織です。

最上位のKPIは売上と利益です。それを最大化するため、組織は機械機構のように機能で細分化され、科学的、分析的な発想で管理・運営が行なわれます。人も仕事もすべてが数字で評価され、定量化できない要素、とくに個人の意欲や感情、人間関係などはあまり重視されません。組織のメンバーは、MBO(目標管理制度)によって期ごとに定量的、相対的に評価されるため、上司から高い評価を得て出世競争に勝ち残ることが大きな関心事になります。

組織は分業型で縦割りのため、メンバーにとっては自部署の利益を上げることが最優先になり、部署間の連携や協力はうまく進みません。全社的な問題が起こると、真っ先に気になるのはお客様のことではなく「自部署の責任なのかどうか」です。他部署の責任だとわかればホッと胸をなでおろし、“我関せず”の態度をとります。

市場が拡大基調にあり、既存市場のシェア争いなど予測の立つ競争環境には適した組織ですが、収益だけではなく、次々に現れる新たな社会課題や長期的な視野に立った地球レベルの課題といった大きな変化には対応できません。持続可能な企業や社会をめざすためには、自社の利益から全体的な利益・調和へと課題の視野を広げ、共感によってメンバーをエンパワメントするグリーンに移行する必要があります。

(4)多元型(グリーン):すべてのステークホルダーへの貢献を目的とする組織

CSRやSDGsに積極的に取り組んでいる先進的な企業はこのレベルに達しています。短期的な利益を求めるだけではなく、持続可能な社会の実現に向けて、人種、性別、年齢、価値観、場合によっては生物としての種をも超えて協力し貢献し合うことを大切にしています。

オレンジのように短期的な利益を求めるのではなく、長期的に持続可能な社会をめざすことを企業理念とし、その理念に対する共感が組織の求心性、推進エネルギーになっています。また、ES(従業員満足度)を大切にすることが、CS(顧客満足度)向上に寄与し、結果として長期的な社会貢献につながるという考え方から、メンバーの個性やモチベーションを大事にしています。

その一方、このレベルの組織に生じてくる問題は、「多様な価値観を大切にする」という価値観を信奉するがゆえに、スタンスの異なる価値観を持つ他者を認めず、否定することです。たとえば新しい化学物質の開発に不可欠な人体への影響を調べるための動物実験なども徹底的に非難したりします。「自分たちの価値観だけが正しい」とする主張は、グリーンが本来望んでいる理想とは逆に、不寛容な社会の形成を促進し、特に政治や宗教の世界においては破壊的な対立構造を生じさせます。

オレンジのレベルとは異なり、組織は定量的な管理指標だけでなく、目に見えない人の感情や意欲、対人関係などを大切にします。色濃い価値観をベースにした文化的特性を持つ集団になるにつれ、その意識によって“自分は異質ではないか”“他者からどう見られるか”といった怖れも生じてきます。個人の自由な発想や潜在能力の発揮が制限されることなく、メンバーのエネルギーを最大限に生かすためには、次のティールに移行することが求められます。

(5)進化型(ティール):組織の目的に向けて全員が主体的に動く組織

メンバーが各自の強みを生かし合って、全員が組織の存在意義といえる目的にコミットし、それを判断基準として個々が分権的、主体的に行動するのがティール組織の特徴です。
特に注目されるのが、全体としての明確な戦略プランを持たず、詳細な行動計画も作成しないことです。予見できない状況に対して計画らしきものを無理に仮構することが、外部環境の急速な変化に対する組織の柔軟な対応力を妨げてしまう怖れがあるからです。

「どういう結果を出すか」を明示する詳細な計画に代わり、「どの方向に進むのか」を示す大目的を共有することによって、多様な主体であるメンバーが常に意見や知恵を出し合い、目的までも柔軟に変えながら、よりよい結果を求めていくのもティールの特徴です。このような、現実の変化に合わせた自在性の高い仕事の仕方を可能にするためには、「仕事は計画に則って実行するものである」「PDCAを確実に回し続けることが組織を成長させるためには不可欠だ」といった組織管理の“常識”、 従来のパラダイムから脱する必要があります。

計画が上位にないため、相対的な実績評価はなくなります。これがメンバー同士の足の引っ張り合いをなくし、業務を進める上で、仲間の協力が常に得られる職場環境を形成します。
自分の立場や利益を守るために個々が情報を囲い込む必要もありません。必要な情報はすべてオープンにされ、組織はメンバーが主体的に学び、協力し、責任を持って行動することをサポートします。

 

メンバーは個人として尊重され信頼されているので、その信頼を裏切るような行為は減ります。メンバーの行動を管理するためのチェック業務も不要になります。仕事の手を抜くかもしれない、虚偽の報告をするかもしれないと相手を疑う必要がない組織では、自己の主張を裏づけたり、上司を説得するためだけに作成される会議資料や報告資料も大幅に減ります。社内の合意形成のためだけに要していた業務が減少すると、メンバーは直接業務に集中できるため、組織全体の仕事の質、利益率は高まります。

ティールのもう一つ大きな特徴は、機能分業型の完全ピラミッド組織ではなく、役割創造型の分権的なチームを単位としたモジュール形態の組織だということです。その意味で、大規模組織を有する大企業にいきなりティールを適用するには大きなハードルがいくつもあります。そのひとつとして予想されるのが、ピラミッドの上層で現場を統制している管理部門の強い抵抗です。組織の発達は、一気に塗り替わるのではなく、あくまで部分的に始まるもの。たとえ“まだら模様”であったとしても、既存の組織が持つ規範や習慣を覆すような変化に対する管理部門の姿勢は、秩序を守ろうとする防衛的なものだからです。

まずは経営トップの強い意志で、ティールの価値観を持つメンバーを集めたチーム、パイロット組織(分社も含めて)などで試行してみるのもひとつの方法だと思います。


●組織が次の段階へ移行していくための条件

ティール組織のもつ時代の要請を視野に入れながら、各レベルから次段階へとステップアップしていく際のポイントをみてみましょう。

【レッドからアンバーへ】
移行するために必要なの、トップ自身の意識変革です。個人の感情で部下を動かすことをやめ、権力を自分から組織に移すことです。
そのためにはルール、マニュアル、規定類を定めて、トップの指示命令がなくても組織が回るようにする必要があります。
部下にとっても、トップの指示を待つのではなく、組織の意思としての規則や規律を理解し、それに従って判断し行動することが求められます。

 

【アンバーからオレンジへ】
移行するためには、トップもメンバーも定式化され安定した業務や組織のあり方を見直して、外部環境に目を向けること。
市場の変化と組織の活動を定量的に把握・分析し、各自が仕事の効率化を常に意識することが大切です。
すなわち、売上と利益を最大化するために、継続的改善活動(PDCAを回すこと)を習慣にすることが求められます。

 

【オレンジからグリーンへ】
移行するためには、視座を地球環境レベルにまで高めることが必要です。
組織の外側の発展、あるいは事業の資源なしには組織の長期的な発展はありえない、という真実に基づいて、自組織のみの業績至上主義を捨て、地球全体の成長を意識することが求められます。

 

【グリーンからティールへ】
移行するにあたっては、それまで以上に、トップマネジメントにおける経営のパラダイム転換が必要になります。戦略を策定し、事業計画をつくり込み、それを管理・統制するといった、過去の事業運営においては常識だったマネジメントを手放さなければならないからです。すなわち、トップ自身が自らの役割とあり方を大きく変えることが求められるのです。

そもそも、計画立案と予実績管理は、環境変化が比較的穏やかだった時代には非常にうまく機能しました。ゆえに“成功体験=常識”として定着したのです。ところが、これから迎えるシンギュラリティは「予測(制御)不能な特異点」です。未来がまったく読めない時代が現実にやってくるのです。

机上でつくられる計画には、もともと現実が変化するものである以上、どこかで現実との乖離が生まれる可能性を含んでいます。しかし計画には、見えない未来を見えるようにする働きがあります。それによって現在の不安が減少するのです。
また、数字による予実績管理は、そもそもコントロールしきれない組織を、あたかもコントロールできているように見せる働きがあります。

これが悪い方向に進むと、「コントロールできているはずだ」といった思い込みが生まれます。
そうなると、計画は「タテマエ」になります。タテマエに反するような事実・実態を伝える「ホンネ」は、しだいに現場からは上がってこなくなります。トップや管理部門が“裸の王様”になってしまうのです。

グリーンの段階までは、多くのメンバーは上司の指示やマニュアルを受けて動きます。これに対してティールでは、全メンバーが周囲の環境変化を自分の肌や五感で感じ、組織の目標を実現するために、「いま自分は何をなすべきか」という問いを立てることが求められます。

この「問いを立てる」という行為は人間にしかできません。なぜなら問いは、いまだ言葉(データ)になっていない人間の無意識領域から、感覚を通じて生まれてくるものです。AIには、刻々と変わる事象を見ながら、さまざまな角度から“いままでの過去”を疑い放棄すること、非線形の目的や課題の創造が難しいのです。

その問いに対して、AIを活用しながら仮説を探り、自分の知識、経験と直観をたよりに主体的に考え、判断し行動するのがティールのメンバーです。メンバーがそれぞれの持てるエネルギーや能力を発揮し、協働して目的を成していくティールのような組織では、AIと人間が共創していけるのです。

著者プロフィール

東條 茂樹

東條 茂樹

SHIGEKI TOJO

人材育成部門で取り組んだ変革当事者としての風土改革活動の経験と、産業カウンセラー、キャリア・コンサルタントなど幅広いスキルを生かし、変革支援に取り組んでいる。

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