地方創生に取り組むプロジェクトの必要条件|コラム|スコラ・コンサルト
地方創生に取り組むプロジェクトの必要条件

地方創生に取り組むプロジェクトの必要条件

元吉 由紀子 | 2018.10.15

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地方創生に取り組むプロジェクトの必要条件

地方自治体では、地方創生に向けて様々な取組が進められるようになりました。
まち・ひと・しごと創生総合戦略に重要業績評価指標(KPI)が明示されたことから、いろんな事業が進められ、また、新たに事業を創造するプロジェクトも立ち上がってきています。

さて、みなさんの自治体では、これらの事業やプロジェクトは、うまく進んでいるでしょうか。

先日ある自治体で、地方創生に向けた庁内横断のプロジェクトチームを立ち上げることになりました。
首長は、「意欲ある職員を集めてくれ」と指示しました。
指示を受けた地方創生課長は、各部門に「意欲ある職員を集めるように」とのコメントを伝え、部門ごとに一人ずつ
職員を指名してプロジェクトチームを立ち上げました。

しかし、プロジェクトは思うように進んでいきません。
一つは、メンバーからなかなか前向きな意見が出てこないこと。
もう一つは、プロジェクトの会合に人が集まらないことでした。
出席率は、2回目には半数、3回目には3割という状況にありました。

報告を受けた首長は、「意欲あるメンバーを集めてくれと言ったはずだが、どうしてなんだ!?」と質問しました。
地方創生課長は、「部門長には、意欲あるメンバーを選出するように依頼しました。
ただ、欠席者の理由を聞くと、業務多忙でなかなか出席がかなわないとのことでした。
次回の管理職会議では、プロジェクトの重要性を再度共有し、参加メンバーの所属長に対して業務を調整してメンバーが参加しやすい環境をつくるように依頼しておきます」と返答されました。

結果は、参加者が若干名増えたものの、まだ半数にも満たない状況が続いています。
首長も地方創生課長も、所属長も、プロジェクトメンバーも、みながプロジェクトの重要性や必要性は認識しています。
それぞれに、与えられた範囲内で一生懸命に対応しているはずです。
それでも、問題を解決することが困難なのは、なぜでしょうか。

根っこにある要因として考えられるのは、プロジェクトをスタートするときのメンバーの選定方法です。

既存の業務課題について対応策を検討する場合であれば、各部門から1名ずつ「指名する」やり方でもそれなりに対応ができるでしょう。
しかし、“地方創生”が求められている地域は、少子高齢化、人口減という深刻な状況に陥っています。
プロジェクトのメンバーには、複雑で困難な問題や課題と向き合い、部署や役職の立場を超え、新しい発想でアイデアを生み出し、これまでに誰も経験したことのないような解決策を考えたり、創造したりしていくだけの内発的動機と主体的に行動していく自発性を持っていることが重要な要件となります。

それゆえ、メンバーを選定するときには、できるだけ公募制など職員が自主的に手を挙げ、それを所属として認める「選任する」やり方を取ることが望まれます。

上司が指名しようとした人と手を挙げた人が結果的に同じであったとしても、「既存の課題を遂行する」意欲と、「新しい課題を創出する」意欲との間には、そこから発揮される力に大きな差が出て来るものなのです。
同じ鳥でも、鳥かごの中で飛ぶのと、鳥かごを出て飛ぶのとの間に違いがあるのと似ているかもしれません。
発揮能力の差は、保有能力の差よりも、本人が自己の能力をどこまで発揮しようとする意欲を持っているのか、周りが能力を発揮しやすい環境をどこまで用意できるのかにかかっています。

今回のように、新しい課題や事業を創り生み出していく創生プロジェクトで、もしメンバーを指名して選定した場合には、その後の進め方の中に、既存の思考や行動の「枠を外す」プロセスを盛り込んでいくことが有効な打開策になるでしょう。

例えば、当初予定されている会合の回数や場所、進め方に縛られず、メンバーでもっとよい方法がないか話し合って、外部に視察に行ってみたり、プロジェクト以外の職員の意見を聴いてみたりして、「枠を越える」取組みをしてみてはいかがでしょうか。
自分たちで何かを変えていく経験が、発想の広がりや意欲の豊かさを持つことにつながる可能性があります。

もしくは、既に決まっているメンバー以外に、自主研究活動などで自発的に取り組んでいるメンバーを加えたり、地域で活動している団体と交流したりして、「枠を破る」機会をつくってみてはいかがでしょうか。
自らのエネルギーで動くメンバーと触れ合うことで、内発的動機や創造力を高めやすくなるかもしれません。

プロジェクトのやり方、環境設定を変える機会をつくっていくことが、過去の延長線上にない新しい道を拓く発想と行動を生み出すきっかけになると考えられます。

それには、もう一つ、このプロジェクトを所管する地方創生課の担当職員が、自ら事務局としての殻を破るスタンスを持っておくことがとても重要です。
プロジェクトに参加するメンバーにだけ「既存の業務の枠を出る」創生を求めても、事務局職員が、担当業務の殻の中に閉じこもっていたのでは、内発的動機は開花しきれないものです。
事務局職員も、同様に担当業務を超え、自らの思いを持って自発的に動き、新しい仕事のやり方を創造していくことができるかどうか、プロジェクトの環境設定を変えるには、それが大きな要因となってきます。

地方創生の実現に向けて、未知の課題の解決策を創出していくプロジェクト活動には、まずそこに関わる職員自身が未知の仕事のやり方、プロセスを創り出していく内発的動機を持ち、主体的に行動していく、自発性を持つことが必要条件となっているのです。

著者プロフィール

元吉 由紀子

元吉 由紀子

YUKIKO MOTOYOSHI

生活者起点で時代最適の価値を創造し続ける経営を実現できるよう、トップと現場の有志たちが連携・共振していくプロセスを一緒に築きあげている。

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