改革というゴールの見えない山の歩き方 ~体験と知恵を分かち合う〈ベースキャンプ〉を力に|コラム|スコラ・コンサルト
改革というゴールの見えない山の歩き方 ~体験と知恵を分かち合う〈ベースキャンプ〉を力に

改革というゴールの見えない山の歩き方 ~体験と知恵を分かち合う〈ベースキャンプ〉を力に

辰巳 和正 | 2018.11.16

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改革というゴールの見えない山の歩き方 ~体験と知恵を分かち合う〈ベースキャンプ〉を力に

会社の仕事が「やらされ」ではなく、一人ひとりが意味と意思をもって取り組む主体的なものであれば、人や組織のはたらく中身はもっと豊かになっていくはず――。

30年以上も前から日本企業の組織風土改革を通してスコラ・コンサルトがめざしてきたのは、そんな人間らしさを大事にする企業や社会が当たり前になっていくことでした。
それが、働く人にとっての幸せだけではなく、企業や社会の健全で持続的な発展に寄与すると考えてきたからです。


●「はたらく」の中身は量から質へ


個人にとっての幸せの定義はさまざまです。長時間労働をしている人が自由な時間を得る幸せ、金銭的な対価を得て豊かな生活を過ごす幸せもあるでしょう。
しかし、日々の生活時間の大半を仕事に費やしている企業人にとって、毎日の仕事に意味や目的を求め、そこに自分の意思を込めることは、「はたらく」というベーシックな営みの質(=クオリティ・オブ・ワークカルチャー)を高めることそのものなのです。

やらされてやっている仕事ではなく、一人ひとりが自分事として意味を感じられるようにするためには、第一に、日々の仕事(方針や目標)に良質な問いを立てる習慣が必要です。

たとえば、会社から「来期、あなたの事業部は10%コストカットをするように」という指示が出たとします。この指示を受けた部署は、ほとんどの場合「どうやって10%のコストカットを実現するか?」という問いを前提にした検討の議論を始めます。

しかし、この問いは10%の削減率目標を達成する手段を問うもの。その延長線上にどんな事業の姿があるのか、そのためにどんな革新が必要かといった全体像を共有し、職場の一人ひとりが自分事として意味・目的を考えながら発展的にチャレンジすることはできません。

自分なりの意味や目的を考えることを大切にする場合、最初に発すべき問いは「どうやって」ではありません。
「なぜ10%の削減なのか」「そもそも10%のコストカットは本当に必要なのか?」…といった「そもそも私は~をどう考えるのか?」から問いを始めることが大事なのです。

この少々メンドクサイ「私にとっての意味」を考えること、それを上司や職場の仲間と一緒に議論していくことで、10%コストカットという課題を、会社主語の会社から与えられた課題ではなく、自分にとっての自分主語の課題に変えていくことができるのです。

それは働きがいに寄与するだけではありません。一人ひとりが自分主語で仕事をしていくことが当たり前になれば、仕事はただ昨日の延長線上でこなすものではなくなります。その目的ややり方自体を日常的に問い直すことにつながり、環境変化にも柔軟に対応できる仕事の文化が育っていくのです。


●「意味や目的を考えて仕事をする」という理想と現実とのはざまで


そうは言っても、意味・目的を考えることで仕事を自分事にしていこうというメッセージは、残念ながら現状を考えると、多くの企業人にとっては正論に過ぎません。私たちがことさら「意味・目的を考えて仕事をしよう」と強調しているのは、裏を返せば、それができない現実があるということなのです。

多くの企業のお手伝いをするなかで、私たち自身もその葛藤に直面することが少なくありません。

「この仕事の意味は何ですか? と聞いたところで『上からの指示だから仕方がない』で終わってしまう。自分だけが考えても何も変わらない。苦しいだけ」「意味や目的にこだわり、仕事をよりよく変えていこうと意思を持てば持つほど、周囲からは疎ましく思われる。出る杭は打たれる。こんなことなら傍観者のままでいたほうがよかったかもしれない」

いいはたらきや仕事の意味を深く考えていくと、今まで常識だと思っていたことに対する違和感が生まれてきます。しかし、今までのやり方が当たり前だと思い込んでいる人からすれば、問題だと感じる人のほうが問題なのです。単に「余計なこと」を言っている意識の高い人に過ぎません。
そういう環境の中で、あきらめはジワジワと浸透していくのです。

こうした現実を認めたうえで私たちは、当事者意識の高い個人が自分の意思で考え動くことをあきらめずに済むような“組織環境をつくる”ことが、同時に不可欠だと考えてきました。

一人にならない、同じ思いの仲間と一緒に変わる、タテヨコ・ナナメのネットワークをつくる…。私たちのやり方には、当事者がぶつかる壁を乗り越えるためのノウハウが数多くあります。
組織の風土を変えていくことは、まさに頂上の見えない山を登る行程にも似て簡単なことではないのです。

〈コアネットワーク〉という概念もその一つです。コアネットワークとは、簡単にいうと“一人では戦わない”ということ。やりがいや夢の持てる組織で働きたいという思いを持つ者同士が所属や立場・役割を越えて組織化していく、しごく実践的なインフォーマルネットワークです。

登頂ゴールの見えない険しい山道を登っていくと、必ず行く手を阻む高い壁に何度も遭遇します。そこで一緒に山頂をめざす仲間の知恵や力を借り、情報を集め、エネルギーをチャージしながら登り続けることができれば、高い山へのアタックをあきらめないで登り続けることができるのです。

11月20日は「組織風土の日」です。
http://a04.hm-f.jp/cc.php?t=M870200&c=43291&d=fd73

この記念日に、2018年度は初の具体的なアクションとして〈いい風土ベースキャンプ〉を開催することにしました。
http://a04.hm-f.jp/cc.php?t=M870201&c=43291&d=fd73

ベースキャンプとはその名のとおり、頂上の見えない険しい山にアタックするためのチームの拠点を意味しています。

いい組織風土をめざす思いは同じでも、その道筋やめざすものは、会社ごと、置かれた状況ごとに異なります。現状をよりよく変えていく改革の試みについては、誰もが初めから地図や設計図は持っていません。
それは頂上の見えない険しい山を登ることに似ています。

だからこそ、組織や職場・役割立場、さらには企業という枠をも超えて、同じ思いを持つ者同士が集まり、それぞれのチャレンジで得たリアルな知恵を共有したり、変革の山を登り続けるためのエネルギーをチャージし合えるような場所が必要だと思うのです。

〈いい風土ベースキャンプ〉は年に一度、11月20日の組織風土の日に「いい組織風土をめざす」、そのための拠点でありたいと考えています。

著者プロフィール

辰巳 和正

辰巳 和正

KAZUMASA TATSUMI

大手金融会社管理職で組織変革の経験をもつ。2015年7月、スコラ・コンサルト代表取締役に就任。

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