【前編】広島県が取り組んでいる 「チームイノベーション道場 in 広島」について|コラム|スコラ・コンサルト
【前編】広島県が取り組んでいる 「チームイノベーション道場 in 広島」について

【前編】広島県が取り組んでいる 「チームイノベーション道場 in 広島」について

元吉 由紀子 | 2019.01.30

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【前編】広島県が取り組んでいる 「チームイノベーション道場 in 広島」について

現在、人口減つまり生産年齢人口の減少の中、県内総生産の7割を占め、特に、成長の原動力である「人財」を主要な経営資源とするサービス産業の生産性向上をサポートするミッションに取り組んでいます。 

生産性の向上について申し上げますと、「生産性」を測る指標は、さまざまありますが、一般的には、「一人あたりの労働生産性」は、「給与総額、営業利益、租税公課で構成される企業が生み出す付加価値額」(分母)を「労働者数」(分子)で割るという、数字の関係性で表されます。
もう少し簡単にいえば、分子は、サービスの革新等の「革新ビジネスの創出」「付加価値の向上」、分母は、「ムダ・ムリ・ムラ」の改善等の「効率の向上」ということです。 

今回のコラムは、このサービス産業の生産性向上の取組みとして、広島県が取り組んでいる「チームイノベーション道場 in 広島(Team・Innovation・And・Empowerment・School略して「T・I・E・S」=参加者の結びつき)」について、なぜ取組みを始めたのかと取組みの特徴について、私、梅田から、次回は、この取組みに参加している参加者の模様と変化について、スコラ・コンサルトの岡村プロセスデザイナーから、前・後編でお伝えします。


●取組みの経緯・背景

サービス産業生産性向上をサポートするミッションについて、どのように取り組むかを考えていましたが、一つ、ひっかかることがありました。
 
私は、これまでは、新商品開発・販路開拓等の事業化・市場化のプロジェクトのサポートに多くかかわってきました。その中で、経営者・代表者と社員の間で、プロジェクトについての認識の乖離が要因で、社員が取り組まない、あるいは、取り組めないという状況となり、プロジェクトの遅延や失敗を目のあたりにしてきた経験から、「中小企業において生産性の向上を実現するには、いかにして、社員が動くのか」ということが大事だと痛感しました。

会社を動かしているのは、経営者であり、社員でもあります。
経営者自身は意欲があっても、社員が動かないことは、生産性が伸びない要因の一つとして考えられます。分母の「効率性の向上」・分子の「付加価値の向上」という生産性向上に取り組む自体においても、社員自身が取り組むことになるはずですから、やはり、社員が動くか否かにかかってくることになると思います。
 
つまり、このことの解決なくして、果たして、生産性向上はできるのか。
まずは、このことを解決することが、生産性向上に取り組む前段ではないのか。
この問題提起を契機に、「T・I・E・S」で、この問題の解決に取り組むことにしました。

そして、この課題を解決するには、「まずは、事業化・市場化に取り組む前に、会社のミッション・経営方針を腹に落とし込み、社員が、自律的に行動するための社内環境づくり、つまり組織風土改革が必要」という、一つの仮説を立てました。

この仮説の実現に向けて、経営者、社員、誰もが認識しているが、なかなか、着手することが容易でない、根源的な問題にチャレンジし、会社の原動力で社員のやる気を引き出し、社員のパワーで、会社を成長させるというシナリオを考えました。

しかしながら、「組織風土改革は一筋縄でいかない」と悩んでいる中、スコラ・コンサルト創設者で、現プロセスデザイナー代表の柴田昌治さんの著書「日本企業の組織風土改革~その課題と成功に導く具体的なメソッド」に出会いました。
 
「組織風土改革は、やる気のある社員が集まり、事業を進める、そのためのバックアップしてくれる経営者・上司の方々で構成されるコアネットワークがあれば、出来る。」という内容でした。
 
このことは、私見も入りますが、まさに、学生時代の学びの中で記憶していた、人間は、合理性を求める経済人の面を持つだけでなく、情緒に影響され、仲間意識を大切にする集合体の、「インフォーマルな組織」が生産性を上げるという、ホーソン実験で発見された経営学の「人間関係論」、そして、チーム内で相互の思いやり・配慮のある「心理的安全性」が働いている環境があることが、生産性向上の要因として発表した「Googleのプロジェクト・アリストテレス」が、実証してくれています。

この書籍との出会いがきっかけで、スコラ・コンサルトの岡村プロセスデザイナー、ほかの皆さまと出会うことで、具体的な仕掛けで取組みができると確信し、「T・I・E・S」の開催に至ることができました。


●取組みのねらい

この「T・I・E・S」を通して、参加者が牽引役となり、自社内で、『社員のやる気を引き出し、社員が自律的に行動できる、環境整備や組織づくりにより、社員自らが、「分子の付加価値の向上」である革新的なサービス・商品を開発する等のイノベーションを創出する、好循環の正のサイクル』を目指します。

●取組みの内容 

参加者は、ディスカッション科目とプロジェクト科目の2つの科目において、経営実務に直結するナレッジ・スキル等の修得と、それらを、具体に活かして、イノベーションを生むための、社内の環境・組織づくりを実践します。

ディスカッション科目では、チームワーク、マインドセット、デザイン思考、レジリェンス、データ分析などの、科目・テーマに沿って、「生の具体的な経営事例の素材を基に、参加者どうしのディスカッション」を通じて、テーマについての本質や真の課題を探り、参加者各自が、自社の経営・自分の仕事に、テーマを関連づけ、意識付けしていく習慣化や、イノベーション創出に必要なスキルを修得していただきます。

プロジェクト科目では、ディスカッション科目で学んだ知見やノウハウを活用して、現場で、社員が自発的・自立的に革新的なサービス・商品を創出するための、社内で、所属や立場を超えて、ディスカッションする「オフサイトミーティング」を繰り返し行ない、相互理解を深め、経営の方向性を共通認識・共有化し、やる気のある社員を集め、コアメンバーによる、社内環境を変える組織づくりを目指します。


●取組みの特徴

仕掛けに特徴があるのではないかと思います。

中小企業の多くが有するであろうテーマを複数用意し、一つのテーマでは解決できない仕掛けとしています。
講師陣は、助言に留め、参加者自身が、常に、経営や仕事の中で、意識し、悩むことで、テーマ・課題に向けて何らかの行動・取組みに結びつける力を身に付けていきます。

取り組むべきテーマについて、一つのテーマでは、自社内の課題解決に至らないため、それぞれのテーマを、いかに、点と点を線として結び付け、面となり、さらには、立体化することが大切になり、そのこと自体にも、参加者自身に気付いてもらいます。

また、前述のとおり、組織づくりについては、社内の公式な組織部門の創設をねらっているものではなく、公式な組織では、組織の枠組み・制約に縛られ、結局、社員の自律性や自発性が育たず、やらされ感が蔓延し、逆に、社員のやる気をそぐ可能性があります。
やる気のある社員・人財の集合を、コアメンバーとする、非公式でフレキシブルな組織づくりを通じて、経営指針・ミッションという一点突破による、サービス・商品の創出を継続的に行なうことが肝要と考えており、従来の、事業化や市場化の取組み自体をサポートするのではなく、その前段階の組織づくりをサポートすることが、大きな違いです。

さらに、経営者だけでなく、社員も原則が参加することが、この取組みのポイントです。
社員も参加することで、社員の視点だけでなく、経営者の視点での、モノ・コトを見る力を養われるとともに、経営者も他社の社員とのディスカッションを通じて、現場視点を取り込むことを目指しています。


●参加者の特徴

「ものづくり」から「サービス」へと変革するビジネスモデルの創出等、「ものづくり」と「サービス」の業種区分も明確でなくなっている現状を踏まえ、飲食業、宿泊業、卸・小売業、倉庫業、IT情報サービス業等のさまざまなサービス産業の他に、製造業の事業者にも参加していただき、イノベーションを創出するのに必要な多様化を、あえて、目指す場としています。


●やってみての感触、感想

勤務日・勤務時間でありながらも、参加者の皆さま方が、積極的に、事前に宿題に取組み、T・I・E・Sの場でも、発言・発表等により、場を盛り上げていただき、当日の講義等が円滑に進んでいることに、主催者としても、大変、感謝しています。


●最後に

このT・I・E・S自体を作るのに、上司である部長や課長が、われわれ担当者が取組み易い環境、つまり相互に配慮し合う心理的安全性(ディスカッション科目のテーマでもある)が働く環境を作っていただき、また、関係者の調整等様々なサポートをいただいたおかげで、開催することができたことは、まさに、この「T・I・E・Sで取組んでいること」と同じケース事例であることを申し添えて、終わりにさせていただきます。

次回は、この取組みに参加している参加者の模様と変化について、スコラ・コンサルトの岡村プロセスデザイナーからお伝えいたします。

広島県商工労働局
イノベーション推進チーム 中小・ベンチャー企業支援グループ
梅田宏行

著者プロフィール

元吉 由紀子

元吉 由紀子

YUKIKO MOTOYOSHI

生活者起点で時代最適の価値を創造し続ける経営を実現できるよう、トップと現場の有志たちが連携・共振していくプロセスを一緒に築きあげている。

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