行政評価の改善に向けて|コラム|スコラ・コンサルト
行政評価の改善に向けて

行政評価の改善に向けて

元吉 由紀子 | 2019.09.30

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行政評価の改善に向けて

2018年度と2019年度は、厚生労働省の行政事業レビューに外部有識者として参加させていただきました。昨年度は公開レビューにも参加し、今年は書面審査のみの関わりでしたが、2年続けて関わったことにより幾つかの傾向が見えてきました。また、その他地方自治体においても、総合計画を改定するのに合わせて行政評価のやり方を見直す支援をさせていただく機会がありました。そこで、国と地方二つの動向から今の時代に求められている行政評価の改善ポイントをお伝えしたいと思います。


量の削減から質の向上へ

厚労省で実施されている事業レビューでは、「行政の無駄の削減はもとより、事業の効果的、効率的な実施を通じ質の高い行政を実現するとともに、国の行政の透明性を高め(「見える化」を進め)、国民への説明責任を果たすために実施されるものである」とされています。そして、行政評価に関わる外部有識者には、「『そもそも国費投入の必要性はあるのか』、『同じ予算でより多くの成果を引き出す工夫はないか』、『より少ない予算で同等以上の成果を引き出す工夫はないか』といった観点から、外部の視点を活用したレビューの実施に取り組むもの」とされています。

一昔前、国でも地方でも「事業仕分け」が盛んに行われていた頃は、行政評価によって事業そのものの“廃止”や“縮減”など予算の額を削減することに大きな期待が寄せられていました。もちろんそのような無駄があれば当然取り除く必要がありますが、今ではずいぶん修練されて明らかな無駄はほとんど見当たらなくなりました。

一方、時代は大きく移り変わり、2019年4月から働き方改革関連法案が施行されているように、事業の進め方について一億総活躍社会の実現、生産性の向上につながる効率化や効果を高める運営が求められるようになっています。そのため、事業評価シートには、結果だけでなく、プロセスを見える化し、工夫や効率化策を具体的に記述していく必要があるでしょう。


関連事業、関連機関との効果的な連携

また、昨今の事業課題は複雑化、高度化しています。事業の展開にあたっては、所管部署の縦割りで運営するだけでは果たし得なくなっている現実があります。少ないコストで高い業績を生み出し、少ない人員で効率的な運営を可能とするためには、他部署や他機関とうまく連携していくことが重要になっています。

これについては、国では、事業レビューシートに「関連事業」欄を設け、幅広く記載するよう手引きされています。しかし、実際には「類似事業間での重複をしていない」という理由を記すに留まっていることが残念でした。地方自治体であれば、協働するパートナーといかに役割分担し、相互に連携を図っていくかが大切です。たとえ事業コストや目標が同じであったとしても、進捗段階によって相互の役割を変更し、地域、住民がより自立的に運営できるように働きかけていく必要がでてきます。その場合は、プロセスをシートの中に役割変化を記しておくとわかりやすくなります。


事業の優先度を示す、戦略との結びつき

昨今の時代環境の変化に俊敏に対応していくにあたっては、各事業を並列に並べるのではなく、政策の方向性や戦略の実現につなげて軽重をとらえていくことが欠かせません。国のレビューシートには、「政策体系の中で優先度の高い事業か」について記す欄が設けられています。

ただし、事業の「優先度」の高低は、「必要度」とは異なり、事業単体のレビューでは見定めることができません。より高次の“戦略”視点で事業との関係を明示したり、“施策”を構成する事業間で優先順位づけるなどの“施策レビュー”を実施する前提が必要です。行政が押しなべて一律に施策、事業を展開していた時代とは異なり、その時々の戦略に応じて、事業の優先度を見直し、ある時期に一気呵成に戦略軸で事業を束にして効果を最大化していくといった戦略マネジメントが、行政経営の中で求められていることになります。

「行政評価」という仕組みを導入した時代から、評価結果をいかに活用して、事業や施策の改善、戦略の見直しにつなげていくのか、行政評価を改善する運営力が行政経営の格差を生む時代になっているのだと思われます。

著者プロフィール

元吉 由紀子

元吉 由紀子

YUKIKO MOTOYOSHI

生活者起点で時代最適の価値を創造し続ける経営を実現できるよう、トップと現場の有志たちが連携・共振していくプロセスを一緒に築きあげている。

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