改善活動の事務局機能(前編)|コラム|スコラ・コンサルト
改善活動の事務局機能(前編)

改善活動の事務局機能(前編)

元吉 由紀子 | 2020.02.28

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改善活動の事務局機能(前編)

年度末のこの時期になると、各自治体で改善事例の表彰や発表会が行われています。それでも、職員の人数が減り、人事の面談も入る時期に、年度末の業務の締めや3月議会の準備などで多忙だとの理由から、全庁的な発表会を開催している自治体は限られている状況です。

発表会をするか、しないかは自治体の自己選択です。しかし、発表会がないからといって「改善」が不要になることは決してありません。また、発表会さえしていれば、改善がうまく進んでいるとも限らないものです。それだけに、改善活動をどのように推進し、庁内で改善事例をいかに共有して、活動を進展させていくのかについては、改善活動を所管する事務局の果たす役割が大きく左右します。

そこで今回と次回のコラムでは、改善活動を支えている事務局機能について述べていきます。事務局機能には、大きく分けて3つ、トップ(首長)を補佐する機能、職場のマネジメントを支援する機能、職員の改善力を育てる機能があります。


トップ(首長)を補佐する機能

1) 戦略の理解、推進について

首長の選挙にあたっては、あらかじめ取り組む政策をマニフェストに明記するようになったことから、就任後には、それを果たすことに首長の最大の関心事があると言っても過言ではありません。

また、かつて行政の計画は、すべての政策・施策を扱うことから“総花計画”で、すべての住民に対して“一律平等”に提供しなければならないと思われてきました。しかし、昨今では限りある資源をもとにするため、政策・施策に軽重をつけ、戦略的に推進するようになっています。

そこで、改善活動を進めるにあたっても、政策・施策の重要度を意識して行うことが期待されています。改善であれば何でもよいといった段階から、より効率的効果的に進めていく段階へ、改善活動についても戦略的な取組み方に転換する時期に来ているのではないでしょうか。

改善活動の事務局には、トップが発信するメッセージや、施政方針、予算編成方針などから、どこに注力ポイントがあるのかを理解して、それぞれの年度ごとのテーマを設定するなど活動にメリハリをつけて行うことが重要になっています。

2)総合計画や法制度とのベクトル合わせについて

改善は、より良くするための活動ですが、何を持って“良い”ととらえるのか、向かう方向や目標をとらえておくことが前提として欠かせません。

それには、方針や計画の中でも、総合計画は自治体経営の軸となる計画であることから最も重要です。ただし、総合計画基本構想に関する法的な義務付けがなくなったので、取り扱いは自治体によって異なり、基本構想や基本計画が議会の議決対象になっている場合もあります。また、2019年度は、まち・ひと・しごと地方創生総合戦略の改定時期にあたります。策定当時は総合計画と別に設定されていましたが、改定時期に合わせて地方版人口ビジョンは基本構想に、KPIを設定した施策は基本計画に、総合計画に組み入れる可能性があるでしょう。

一方、国では、働き方改革関連法案が施行されました。政策の実現にあたっては、成果を見るだけでなく、業務プロセスにおける改革が求められるようになりました。庁内で毎年同じように「改善活動」と名付けられた活動であったとしても、時代の変化とともに何を目的とするのか、どのように進めるのかの課題認識や目標設定のあり方は、都度異なってきています。

事務局においては、これら上位の計画や法制度の動向を見て、各自治体に適した改善の成果が得られるよう、各職場における改善活動や目標の考え方をすり合わせていくことが重要な役割になっています。

3)首長交代時の方向転換について

自治体によっては、首長が交代したときに、全庁で一斉に繰り広げていた改善活動を取り止めてしまうことがあります。その結果、職員は、「首長が替わったら改善活動がなくなった」と、単純にとらえて、改善活動に関するモチベーションをダウンさせてしまうことがあるようです。

しかし、職員にこのような理解をさせてしまっているとしたら、それはまさに事務局機能の不足と言えるでしょう。なぜなら、事務局には、改善活動を取り止めた理由をキチンと職員に説明する必要があるからです。

たとえば、「首長が交代したことによって、経営のめざす方向、注力すべき戦略が変わったから」などの理由があるのではないでしょうか。
さらに言えば、「新しい首長による経営がスタートしてしばらくの間は、ビジョンや戦略を見直す時期にあります。そのため、各部署ではそれぞれの事業や業務について、今までと同じ方向で進めていけばいいのか、それとも何らかの方向転換をする必要があるのかについて、しっかり話し合ってください」と、改善活動を
中止している間にもやるべきことがあるということを職員に伝えて、モチベーションが下がらないようにする必要があるのです。

自治体は、二元代表制で運営されているため、首長が替わったからと言って、すぐに総合計画や行財政改革プラン、個別計画などを改定できる(改定する)とは限りません。それゆえ、このような大きな方針や計画の取扱いについては、首長の近くにいる管理部門でなければわからないことがあるのです。また、管理部門の中でも、企画、財政、行革、人事は、それぞれ所管している計画や方針、仕組みが異なることから、お互いに情報共有して、これらの方針や計画、仕組みをいつ改定するのか、いかに維持するのかについて一緒に検討しておくことが肝要です。

改善活動の事務局としては、これらの動向を総合的に把握したうえで、特に方向転換される政策・施策と時期を見極めながら、どのように改善活動を再開していくのかのタイミングを見定め、計画しておく必要があるでしょう。一人ひとりの職員は、目の前の業務に追われ、なかなか庁内全体を俯瞰しきれないものです。改善活動の再開を唐突に伝達するだけでは“やらされ感”を増すことになりかねません。そこで、事務局としては、首長や各部門長と連携し、あらかじめ新年度の組織運営方針・組織目標に盛り込んでもらうよう働きかけをしておくといった一工夫をすることがお勧めです。これら職場のマネジメントに関する支援については、次回改めてお届けいたします。

 

改善活動は、職員、職場の自主性、主体性をもって進めていくことが大事です。しかし、自主性、主体性に任せるだけならば、毎年同じような改善活動を繰り返すマンネリ化に陥る危険性があります。より効率的、効果的な行政運営を図るために、まず初めに事務局機能の改善から踏み出していきましょう。

著者プロフィール

元吉 由紀子

元吉 由紀子

YUKIKO MOTOYOSHI

生活者起点で時代最適の価値を創造し続ける経営を実現できるよう、トップと現場の有志たちが連携・共振していくプロセスを一緒に築きあげている。

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