〈エンゲージメント対話のすすめ〉 <br/>ウィズコロナの今こそ「モヤモヤガタリ」をやってみる|コラム|スコラ・コンサルト
〈エンゲージメント対話のすすめ〉 <br/>ウィズコロナの今こそ「モヤモヤガタリ」をやってみる

〈エンゲージメント対話のすすめ〉
ウィズコロナの今こそ「モヤモヤガタリ」をやってみる

神田 卓 | 2020.08.12

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〈エンゲージメント対話のすすめ〉 <br/>ウィズコロナの今こそ「モヤモヤガタリ」をやってみる

「マスクは、ありますか?」
「現在在庫はありません、なお入荷は未定です」

思えば、自粛期間中のマスクが一番品薄な頃だったかと思います。ドラッグストアに行った私は、あればいいな、くらいの軽い気持ちで聞いたのですが、それに反応したレジの人のおびえるような目と口調には驚かされました。おそらく同じような質問そして苦情を相当数の来店者から投げかけられていたのでしょう。

「なぜマスクが売り切れなんだ」
「隠しているのではないか」
「ポイントカードやタイムサービスを廃止するなんておかしい」…
自粛期間中の店では、スタッフが自分たちの感染防止対策だけではなく、お客さまからのクレーム対応のために疲弊したと聞きます。

多くの生活者が未知のコロナウイルスや、この先の生活に対する不安、我慢を強いられる不満などでイライラの募る状態にあります。それはおそらく店の人にとっても同じことでしょう。しかし、私もそうですが、そんなときにはなかなか「自分もたいへんだけど、みんなもたいへん」というふうには思い至れないものです。

「自分しか見えない」孤立状態がモヤモヤを大きくする


私たちの働き方は、経験にない事態の中で大きく変わろうとしています。リモートワークや三密を避ける行動が推奨され、通勤時間の削減やオンライン会議によって効率化が進む一方、オフィスや仕事の現場で人とリアルに会って話す機会は劇的に減りました。

今まで必要に応じてできていた、ちょっとした相談や雑談をする機会が失われたことで、企業や組織においても、「自分だけがたいへん」だと思い詰めやすい状況が増えているのではないでしょうか。

ウィズコロナの日常では、個々のモヤモヤが増しているように感じます。

・自分ばかりが忙しくて、周りはそうでもない気がする。
・そもそも周りが何をやっているのかが見えない。
・これから先がどうなってしまうのか不安。
・感染がとにかく怖いから、よほどの用件以外は人と接する現場に行きたくないが、そんなことは言えない。

こういう不安を個々が抱えている状況の中で、「みんなもたいへんなんだ」と思えるようになれたらどんなにいいだろうか、と思ったときに、パッと頭に浮かんだのが「モヤモヤガタリ」です。

モヤっとしたら「口に出す」余白はあるか?


モヤモヤガタリとは、話し合いの場で、参加者がそれぞれ抱えるあい
まいで割り切れない気持ちをそのまま出し合って語り合う、オフサイトミーティングの手法のひとつです。ともすれば業務やコト中心になりがちな組織のコミュニケーションの中に、「人の感情や思い」を持ち込んでやりとりする機会(=余地・余白)を持たせることが狙いです。

モヤモヤと未整理な自分の気持ちを言葉にすることには、大きく二つのメリットがあります。一つめは、自分の中でモヤモヤしていたものが整理されてスッキリするという効果です。二つめは、お互いの主観的なモヤモヤを共有することによって、より客観的な見方をすることができ、「みんな同じなんだ」という共感や連帯感が生まれることです。さらに、そこから「じゃあ、どうしていこうか」と解決策が生まれることもあります。

前に挙げたようなモヤモヤの一つひとつは、些細に感じられるかもしれません。しかし、みんなそうだからそのうち慣れていくだろうと、手が回らないままに放置しておくのは危険です。このモヤモヤが組織をじわじわと蝕んでいくと、モチベーションの低下、エンゲージメントの低下を引き起こし、結果として、優秀な人材の流出につながることも考えられるからです。

共感か無関心か、を分ける「モヤモヤ」をつかまえる


「モヤモヤ」の正体には3つの種類があるように思います。

①コロナ禍の変化で生じた戸惑いや疑問
②身近な相談相手、気軽な会話の不足による心細さ
③実はコロナ前から生じていた問題意識や葛藤

①    コロナ禍の変化で生じた戸惑いや疑問

たとえば、以下のようなことは起こっていないでしょうか。
・インフラさえ整えばリモートワークが可能なのに、自部署だけが整っていないために出社しなければならない。
・自宅が職場に近いために、自分ばかり出社させられる。
・時差勤務の工夫によって通勤の満員電車を避けられるのに、評価や勤務体制の問題で融通がまったくきかない。

このような不公平や制度の硬直的な運用をそのままにしていると、メンバーのモチベーションも下がってしまいます。他社の対応との比較で、自社に幻滅してしまうこともあるため、会社としてすぐに対応すべきでしょう。

②    身近な相談相手、気軽な会話の不足による心細さ

コロナ以前は、困ったことがあっても職場で誰かと顔を合わせる機会があれば、「ちょっと聞いてよ~」と雑談レベルで解消できました。しかし、リモートワークでは、個々が孤立し、時間の使い方や仕事の仕方にも幅(余裕や余白)がなくなっています。やりとりの中身も業務関連のこと、やりとりの相手も業務上つながりのあるメンバーだけに偏りがちです。

そうなると、自分の不安や心細さなどの感情を表に出す機会がないため、口に出せれば解消できるモヤモヤ感が残ってくすぶり続けるのです。この場合は、個々がモヤモヤを吐き出すことで、気の重さやストレスはかなり減圧、解消されます。したがって、いかにこのような種類の話をする場に価値を置き、ものが言いやすい環境をつくるかが肝になります。

③    実はコロナ流行状況の前から生じていた問題意識や葛藤

企業によっては社員アンケートで、コロナの状況下で働き方の変化や気持ちの変化、問題点や意見などを吸い上げているところもあります。私たちがおつきあいをしている企業の方々の声や、そうしたアンケ―トの結果などでわかってきたことは、そもそも、今回のコロナ禍の環境変化によって急に新たな問題が生じているわけではなく、以前からあった問題がこの機に顕在化しただけだということです。

たとえば、部門の方針が現場にちゃんと伝わっていない、他部署との連携ができない、現場でのコミュニケーションがうまくいかず、業務プロセスに支障が生じる、といった問題は、実は以前から繰り返し指摘されていたことです。

逆に、そういう問題に積極的に取り組んでいた部署は、コロナで環境が変わってもうまく対応ができています。

考えてみると、今回のコロナの非常事態でくすぶっていた問題が顕在化したということは、ある意味で今までのあり方、やり方を見直し、一気に改革を進めるチャンスでもあります。なぜなら、急激な環境変化が外側で起こってしまったニューノーマル下では、これまで積み残してきた課題に最優先で手を打たなければ、事業や組織が立ち行かなくなってしまうからです。

さらに、「人の意欲や創意」を高める環境づくりは、これからの企業の変化対応力と持続可能性にも大きく関わるカギになります。

目下の変化が企業にもたらした現実とのギャップを、現場の意思と協力で一刻も早く埋めていくために、モヤモヤと引きずっている気持ちをリセットして前を向く「モヤモヤガタリ」の打ち手が有効だと思っています。

こんな時だからこそ、不安や不足を埋めるための「モヤモヤガタリ」を行なってみてはどうでしょうか。

著者プロフィール

神田 卓

神田 卓

SUGURU KANDA

常に相手の立場を最優先し、自分の意図や意思を相手に押しつけないで話を聴くことを心掛け、感じたことをそのまま相手に伝えるコミュニケーションを得意とする。

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