「自分で答えをつくる人」を増やす ~主体性の発揮に必要な「自分軸」の形成|コラム|スコラ・コンサルト
「自分で答えをつくる人」を増やす ~主体性の発揮に必要な「自分軸」の形成

「自分で答えをつくる人」を増やす ~主体性の発揮に必要な「自分軸」の形成

山科 雅弘 | 2021.10.08

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「自分で答えをつくる人」を増やす ~主体性の発揮に必要な「自分軸」の形成

絶対の答えがない時代は、自分で「答え」をつくるしかない

未来予測に基づく戦略と明確な目標、それを達成するための効率的・効果的な手段。計算が立ち、成功の筋書きが持てる時代に鉄板だった枠組みです。私たちは長い間、企業成長の糧としてそこに価値を置いてきました。
そのために、決められたゴールに向かって直線的に考えることが身に染みついてしまい、本来ならば広く展望して自由に思考すべきことも、きわめて限定的にしか考えられなくなってしまっているように思います。

効率追求というのは、いかに最短距離・最小エネルギーでゴールに到達するかですから、チームの思考やコミュニケーションも「いかにやるか」が中心の収束型です。そうした思考の習慣が、「なぜ?」「何のため?」「本当に必要なことは何か?」というような答えのない問い、本質的な問いと向き合って発散的に考えることを「ムダ」とみなして排除してきたように思います。

しかし今、私たちが身を置いているのは、計算が立たず、正解のない不確実な環境です。この変化にどう対応していけばいいのか、未来に向かって自分たちは何をすべきなのか。その答えは、従来の成功の方程式にあてはめても出てきません。

もとより正解自体がないのだとすれば、答えは自分で考えて決めていく以外にありません。自ら答えを見つけて道を拓いていく、そういう力があらゆる分野で必要になっています。

「答えをつくる力」は「答えのない問い」を考え抜くことから

「自ら答えをつくる力」は、もともと人間が持っている能力です。しかし、答えを与えられて効率的に動くという機械のような仕事の仕方を長く続けてきたことで、その能力は発揮されることなく塩漬け状態になっています。私たちは、それを大急ぎで回復しなければなりません。

現在、ある企業グループの一社で、全社員(数千名)を対象にした研修を支援しています。内容をひと言でいうと「自らのミッションを見出して、自分の軸を持つ」というものです。

一般的に「個人のミッション」というと、会社がすでに表立って掲げているミッションを個人の仕事に落とし込んだものであり、社員にとってみれば「上から降りてくるもの」「割り当てられた役割」になっているのではないでしょうか。

「与えられるミッション」というのは、何をすべきかがタスクベースでわかりやすく行動に移しやすいもの。半面、その枠の範囲内で考え、できること(上から期待されていること)をする、という限定的な思考・行動になりがちです。

それに対して、この研修では「自らが主体的に見出すミッション」を考え抜き、言葉にしていきます。そして、そのプロセスにおいて自分の根幹をなす“ものの見方・考え方”を明確にし、それを判断や決定の拠りどころになる「自分の軸」としてしっかり持つことを主眼にしています。
枠にとらわれることなく、自分が定めた軸に基づいて広く自由に考える体験を通じて、「自分は本来、何をすべきか」の答えをつくる力を引き出していくのです。

具体的には、いくつかの角度から立てた「問い」に対して、オープンスタンスで他者の意見を取り込みながら自問自答を重ね、「自分のミッション」と「自分軸」にアプローチしていきます。
もちろん、これらの問いに正解や模範解答はありません。答えは、一人ひとりが自分で考えて見出していくものです。

1. 自分起点で(自分を主語にして)ミッションを考える

2. 他者起点で(他者の立場から)ミッションを考える
1-⑥で見出した「自分のミッション」を、今度は他者の立場から考えます。それによって、会社が掲げているミッション、進もうとする大きな方向性とのつながりを見出していくのです。

このように、自分のミッションについて主体的に考えるプロセスをたどることで、未来に向かって自らが実現したいことと、根幹をなすものの見方・考え方が明確になってきます。これが、自ら考え、何をすべきかの答えを見出していく際の判断基準(=自分軸)となるのです。

プロセスの肝は、常識や感情を揺さぶる「多様な関係者との相互作用」

まず「自分起点」で将来について思いをはせ、自分の望むことや「こうしたい」という思いと向き合い、価値観を自覚する。そして、それが全体に対して独りよがりになっていないかどうか「他者起点」で問い直してみる。
この、「問い」に基づいて「自分のミッション」を導き出していく実際のプロセスは、かなりオープンでダイナミックなものです。

これらの問いを考える上では、自分を「一人」ではなく「他者との関わり」でとらえていきます。それを前提に、自分と関わりのある上司や業務チームのメンバー、問いに関係する他部署や、顧客や社会の目となる人など、他者と徹底的に話し合いながら思考を広げていく進め方が重要なポイントです。

座して一人で考えるのではなく、他者との関係を「開いた」状態にすることで、自分の常識や固定観念は覆されたり塗り替わったりします。いろんな見方が出てくると、何が正しいのかわからなくなることもあるでしょう。そんな想定できない揺れをもたらす「相互作用」の中で、自問自答しながら考えていくのです。

実際に、このプロセスを一人ひとりが進めていくとき、他者のいろんな意見や情報が交錯する中で“自分らしい答え”にたどり着くためには、それを支えてくれる背骨のような自分なりの見方や考え方が必要になります。「自分軸」を導き出していく過程には、その必要性に直面する機会も含まれています。

「枠」には期待できない「軸」の効果

自分軸がしっかり定まっていると、「自分は何をすべきか」の答えを探るとき、それを判断の拠りどころにして答えを出せるようになります。
たとえば目標を考えたり、上司の指示に対しても、軸をしっかり持てていないと、与えられた枠の範囲内でできそうなことを考えるか、自分は何をすべきかの答えを誰かに求めることになってしまいます。

さらに、一人ひとりが自分の軸を持つことで、個性や能力、価値観や意思がわかりやすくなり、他者との違いを本質的に理解して尊重できるようになります。
他者を理解・尊重するとは、許容して妥協するとか、ものの見方・考え方を誰かのそれに合わせる(同調する)ということではありません。表面的な好き嫌いを超えて、互いが違いを認め合い、それを生かし合える関係になるということです。
また、軸を持つ上で、会社としてのミッションや進もうとする大きな方向性を共有していることは、一緒に仕事をする上での信頼感につながります。

自分軸を通じた相互理解や信頼感は、互いを生かし合う連携を可能にし、その関係性がまた、一人ひとりが自信を持って自分なりの答えをつくっていく主体的な行動の足場になります。
単なる意思表明のアウトプットではなく、一人ひとりが他者と関わり、自分との対話を重ねて「自分軸」に結実させていくプロセスは、個人の考える力を回復するだけではありません。多様な仮説、いろんな答えがいきいきと生み出される源泉となって、組織の能力を大きくしていくのです。

著者プロフィール

山科 雅弘

山科 雅弘

MASAHIRO YAMASHINA

営業・マーケティング部門の支援を得意とし、「自ら考え、行動しよう」という現場の主体的なエネルギーを、経営的な課題解決に生かすための支援に力を注いでいる。

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