〈ニューノーマルの全員参画経営〉 なぜ、リーダーは意思決定における判断を説明する必要があるのか|コラム|スコラ・コンサルト
〈ニューノーマルの全員参画経営〉 なぜ、リーダーは意思決定における判断を説明する必要があるのか

〈ニューノーマルの全員参画経営〉 なぜ、リーダーは意思決定における判断を説明する必要があるのか

簑原 麻穂 | 2021.10.11

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〈ニューノーマルの全員参画経営〉 なぜ、リーダーは意思決定における判断を説明する必要があるのか

激変する時代に対応する力として、リーダーシップの必要性、とりわけ「決めたことを伝えて動かす」力が求められています。

ビジネスをとりまく環境変化や技術革新がめまぐるしい中、経営やビジネスの判断は“正解”を求めることが難しくなっています。この不確実さを前提にしたとき、大事になってくるのが、事実情報を的確につかんで最適解を見いだし、仮決めしたことをいち早く実行につなげること。そして、その反応や結果から検証しながら、可能性のありそうな方向や道筋を模索し探り出していく、という物事の進め方です。

そこで、リーダーが判断したさまざまな決定をメンバーが理解して受けとめ、納得して動くために必要なのが、リーダー自身の言葉で意思決定の背景や意図、判断基準をしっかりと伝えて共有することなのです。

意思決定の前段階からメンバーを巻き込み、「決定」を強化する

そもそもリーダー個人の判断には、その人ならではの考え方や価値観、情報にもとづく判断基準が含まれています。そこには他者のうかがい知れない部分があり、ブラックボックスになりがちです。
そのまま決定内容を伝えるだけだと、メンバーが自分なりの解釈をする、理解や納得ができず置き去りになる、ということが起こります。

それゆえにリーダーは、自分がどういう判断をしてその決定に至ったのか、ブラックボックスの中身である背景や意図などを筋道としてメンバーに説明する必要があるのです。

たとえば、判断材料になる事実情報ひとつをとっても、情報の集め方、受け取り方、扱い方は人によって異なり、事実の見え方や解釈もまた変わってきます。リーダーといえども人間ですから、無意識に自分がほしい情報を集め、受け取りたいように聞き、情報を扱ってしまうという宿命的な“個人の限界”があります。
また、普段からメンバーの個性や志向性を理解し、ある程度は本音が言える関係性が築かれていなければ、建前的な言葉や表面的な態度に覆い隠されて、人や組織の事実や実態は正しくつかめないでしょう。
ものの見方が偏り、バイアスがかかるのは当たり前なのです。

それが前提でありながら、リーダーが一人で考え、一人で決めて、「これをやることにする」「これをやめることにした」などの結論だけを指示として言い渡してしまうと、メンバーの中にある知恵や新しい発想、アイデアなども取り入れられず、よりよい判断・意思決定に近づくための検討機会が生まれません。
さらに、メンバーにとって決まったことを受け身でやらされるだけの状態は、不信感や不納得感につながります。
結果的に、「試行錯誤し検証する」という大事な実行プロセスも開始しないままなのです。

次々に現れる新たな課題を条件として組み込みながら、スピーディーに決めたことの具体化・実行と検証のサイクルを回して修正し、最適解を探っていくためには、それを促進するリーダーシップが不可欠です。

そのためにリーダーは、意思決定の前段階の情報収集からメンバーを巻き込み、自分がどういう判断をして決定に至ったのか、経緯や筋道、その思いを自分の言葉できれいごと抜きに説明し、メンバーからの反応や意見を取り込みながら“決定を強化”するのです。

そうしたやりとりを通じて、メンバーが自分の考えをどのように理解し受け止めているかを知ることで、リーダーの考えもより明確になっていきます。お互いの理解が深まることは、難しい課題の具体化や動き方を一緒に考えていくための安心の足場、相互信頼につながります。

ますます必要になる、リーダーの「考えを伝える力」

2年にわたるコロナ禍で在宅勤務へのシフトが進み、日常のコミュニケーションがオンライン主体になると、組織全体や個人の状態をリアルに把握することが難しくなりました。
普段から部下との関わりやチームマネジメントを積極的に行なっている企業の部長でさえ、部下や業務の状態がつかめなくなり、組織としての実体や動きがまるで実感の持てないものになったと言います。
テレワーク下でのマネジメントは、今なお現在進行形の課題です。

こうした状況下で、リーダーが難しい判断やスピーディーな意思決定をしていくためには、たとえ“正解”が示せなくても自分の考えをはっきりと伝え、意思決定の過程をできるだけオープンにしていくことが大切です。メンバーが自分ごととして一緒に考え始めるこのプロセスを通じて、リーダーは自分の決定を「みんなの決定」にしていくのです。

ともすればリーダーは、自分が考え抜いて決めたことを早く形にしたい、実行して結果を出したいという思いが強ければ強いほど、有無を言わせず押し切りたくなるでしょう。強いリーダーがトップダウンで部下を動かして成果を上げてきた成功体験は、いまだに多くの企業組織で幅をきかせています。
しかし、今の時代の人とコトはそう単純に型にはめることはできません。過去の成功体験の型を手放し、企業組織も、人が人として素直に響き合う、気持ちが動く自発の特性をうまく生かしていくことが大切です。

リーダーが決めるプロセスにメンバーを巻き込み、「みんなの決定」に向かいながら、自分の考えを言葉でしっかり伝える。このシンプルな行動は、わかりやすく人の心に響いて、一緒に未知の領域へ踏み出してみようと思わせる、血の通った全員参画を引き出すのです。

著者プロフィール

簑原 麻穂

簑原 麻穂

ASAHO MINOHARA

2021年3月スコラ・コンサルト代表取締役就任。 温かみある伴走者として、経営者やリーダーの強みと挑戦をとことん引出す粘り強い支援が特徴。 中堅企業の事業・サービス改善、大企業の組織やオペレーショ…

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