どうやって社員が会社を変えたのか
バブルの末期、経営危機に直面するいすゞ自動車で繰り広げられた風土改革は、社員発の「社員の力」で会社を再建しようという異色のプロジェクト。それはスコラ・コンサルトが初めて手がけた本格的な風土改革、今日のスコラ式風土改革の原型となるプロセス型アプローチの試みでもありました。
本書は、4章にわたる語り部の独白を、当初からこの改革を見守ってきた神戸大学・金井壽宏氏が回顧しながら解説。失われた20年、チームの崩壊という現代病にむしばまれて進化の時計が止まったままの日本企業に向けて、3人が伝えたいのは、チームワーク不全を克服するための手がかりと改革当事者の知恵です。
書籍情報
- 著者
- 柴田昌治、金井壽宏
- 発行
- 日本経済新聞出版社(2013年)
- 価格
- 1780円(税込)
著者からのメッセージ
20年も前になされたいすゞ自動車の改革を、あえて今書く意味とは何なのでしょうか。成功物語だから記録に残したい、というわけではありません。「成功か失敗か」と問われれば、改革のすべてが成功だったとは言えない、というのが私の立場です。しかし、この改革のもたらした意味は非常に大きい、ということだけは胸を張って言うことができます。
というのも、実はスコラ式風土改革アプローチはほとんどすべてといってもよいほど、あのときの改革の試みから生まれているからです。オフサイトミーティングもそこから始まり、コアネットワークという考え方もこの時に生まれたのです。
20年前、私たちがもしいすゞの改革を支援する機会を得なかったとしたら、今日のスコラ式は存在しなかったかもしれない、とさえ思うほどなのです。そういう意味で、スコラ式風土改革アプローチの原点はこの本の中に見ることができる、と私は思っています。

柴田 昌治
MASAHARU SHIBATA
株式会社スコラ・コンサルト プロセスデザイナー代表/創業者 1979年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。大学院在学中にドイツ語学院を…